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大学・研究所にある論文を検索できる 「薬物投与設計を指向したsupport vector regressionの応用研究 : バンコマイシン、シクロスポリン」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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薬物投与設計を指向したsupport vector regressionの応用研究 : バンコマイシン、シクロスポリン

山口, 泰弘 YAMAGUCHI, Yasuhiro ヤマグチ, ヤスヒロ 九州大学

2022.03.23

概要

【目的】
 人工知能技術の1つであるsupport vector regression(SVR)はエリスロポエチンの投与量予測や心電図信号を用いた中枢性無呼吸イベント中の努力呼吸評価などにおいて有用性が指摘されており、薬物動態解析への活用も期待されている。しかしながら、薬物の血中濃度推定や投与量調節においてSVRを用いた報告はない。そこで、本研究ではSVRの投与設計への活用に向けた前段階として、バンコマイシン、シクロスポリンを対象に血中薬物濃度の推定を行った.

【方法】
解析対象データ
バンコマイシン投与患者データ:バンコマイシン点滴静注を投与し、血中バンコマイシン濃度を2回以上測定した患者79名を対象とした。
シクロスポリン投与患者データ:シクロスポリン点滴静注を投与し、血中シクロスポリン濃度を異なる日に2回以上測定した患者39名を対象とした。

解析方法
・母集団薬物動態解析(Pop):バンコマイシンではYamamotoらの報告をもとに薬物動態パラメータを算出した1)。シクロスポリンではJacobsonらの報告をもとに母集団薬物動態パラメータを算出した2)。
・ベイジアン解析(Bayes):バンコマイシンではトラフの血中薬物濃度を参照データとしバンコマイシン「MEEK」TDM解析ソフトのBayes推定機能を用いて血中薬物濃度を推定した。シクロスポリンでは投与開始から3時間目に採血した血中薬物濃度を参照データとしTDMソフトBMs-PodのBayes推定機能を用いて血中薬物濃度を推定した。
・Generalized reduced gradient非線形エンジン(GRG):Microsoft® Excelソルバー機能generalized reduced gradient非線形エンジン用いて血中濃度1点から一義的に薬物動態パラメータを算出した。
・SVRによる解析(DirectSVR):各薬剤を投与された患者数(N名)から1名分のデータを除いた情報(N-1名)の患者背景、臨床検査値、血中薬物濃度を学習させ、血中薬物濃度を求める予測モデル式を構築した。構築したモデル式に除いた1名のデータを当てはめ、血中薬物濃度を推定し、同じ操作をN回繰り返すことで予測精度の評価を行った(図1)。
・Pop、BayesまたはGRGにSVRを加味した場合の血中薬物濃度推定:Pop、BayesまたはGRGで算出した薬物動態パラメータをSVRに学習させ、Direct SVRと同様の方法で薬物動態パラメータを推定した。得られたパラメータをバンコマイシンでは2-コンパートメントモデルに、シクロスポリンでは1-コンパートメントモデルに当てはめ血中薬物濃度を算出した。

上記の各手法を用いて、i)第1観測点のデータを参照し、第1観測点の血中濃度を推定、ii)第2観測点のデータを参照し、第2観測点の血中濃度を推定、iii)第1観測点のデータを参照し、第2観測点の血中濃度を推定した。

推定精度の評価方法と統計解析
 推定精度の評価は平均誤差(ME)および平均絶対誤差(MAE)を指標とした。また、独立多群間の比較には一元配置分散分析法(One-way ANOVA)およびTukey-Kramerpost-hoctestを用いた。対応のある二群間の比較にはpaired t-testを用いた。有意水準は5%以下とした。

【結果・考察】
 薬物動態パラメータを用いないDirect SVRではBayesと同様の推定精度を示した。また、Pop、Bayes、GRGで算出した薬物動態パラメータにSVRを加味しても血中濃度の推定精度は改善しないことが示された。対象データの特性を解析したところ、時間経過に伴う病態の変化や体内動態の変化が小さく、血中濃度の個体内変動が小さい場合にはSVRによる推定は有用であったが、教師データ用の血中薬物濃度の個体内変動が大きいような場合にはSVRを用いても推定精度は向上しないことが示唆された。このことから、病態の変化などに伴う血中濃度変動の大きい薬物では、SVRによる推定には限界があることが明らかになり、解析対象データの特性やサンプル数については慎重に考慮する必要があると考えられた。

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