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大学・研究所にある論文を検索できる 「Application of remote sensing and resource assessment techniques for the single-tree management system of high-value hardwood species in northern Japan」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Application of remote sensing and resource assessment techniques for the single-tree management system of high-value hardwood species in northern Japan

チョー トゥー・モー 東京大学 DOI:10.15083/0002006387

2023.03.24

概要





















チョー

トウー・モー

高価値広葉樹は森林管理において経済的に重要な役割を持つ。北日本の針広
混交異齢林では、ウダイカンバやハリギリ、ミズナラから商業的価値の高い木
材が生産される。高価値広葉樹の優良木は個体数が少なく森林内に点在するた
め、単木管理のもとで適期に収穫されている。優良木の探索や測定は地上調査
に依っているが、作業に要する人的、費用的負担は大きい。リモートセンシン
グ技術、特に無人航空機を用いたデジタル空中写真測量(UAV-DAP)の適用に
よって、高価値広葉樹の単木情報を効率的に収集し、地上調査の困難さを克服
できる可能性がある。また、高価値広葉樹の資源推移を評価・予測する技術の
適用により、高価値広葉樹の持続的資源管理が可能になると期待される。そこ
で本論文では、リモートセンシングと資源評価の技術を組み合わせ、高価値広
葉樹の単木管理システムに応用するための手法について検討を行っている。
本論文では第 1 に、高価値広葉樹(ウダイカンバ、ハリギリ、ミズナラ)の
大径木を対象に、UAV-DAP による単木樹高推定の精度評価を行った結果が記述
されている。東京大学北海道演習林(北演)の 36・59 林班に生育する計 178
本の高価値広葉樹について、単木位置、樹高、胸高直径(DBH)を地上調査に
より測定している。また、単木位置と調査地のオルソ画像から対象木の樹冠を
抽出し、航空機レーザー計測(LiDAR)と UAV-DAP により生成した林冠高モ
デルを用いて樹高を推定している。3 つの方法で推定した樹高の値を比較した結
果、
UAV-DAP は LiDAR および地上調査と高い相関を示したと記述されている。
地上調査による樹高の推定精度は樹種によって異なること、UAV-DAP は
LiDAR に比べて樹高を過小推定する可能性のあることが示唆されたとしている。
第 2 に、UAV-DAP を用いて高価値広葉樹の単木位置の特定と DBH の推定を
行った結果が記述されている。北演 36・59 林班の UAV オルソ画像に多解像度
分割アルゴリズムを適用し、樹冠情報をもとに樹種分類を行っている。個々の
樹冠区画のスペクトルおよびテクスチャ属性を抽出し、ランダムフォレストを
用いて分析した結果、3 種の高価値広葉樹、その他広葉樹、針葉樹の 5 つのグル
ープに分類することができたとしている。また、UAV-DAP による樹高とオルソ

画像による樹冠面積を変数とする DBH 推定モデルを構築し、LiDAR や地上調
査による樹高・樹冠面積を変数とした場合と同等の精度で単木の DBH を推定で
きることを明らかにしている。
第 3 に、択伐施業下にある針広混交林での高価値広葉樹資源の持続可能性に
ついて、長期測定試験地データを用いて評価を行った結果が記述されている。
北演の天然林施業試験地 31 箇所における 1968~2016 年の測定データから、立
木本数密度と胸高断面積合計(BA)、BA 増加量(BAI)、進界木と枯死木の各
本数、樹種別本数比率の経年変化を分析している。結果として、高価値広葉樹 3
種の立木本数密度と BA、BAI はいずれも増加傾向にあったこと、高価値広葉樹
の DBH 分布は概ね逆 J 字型のパターンであったこと、枯死木本数には有意な傾
向が見られず進界木本数は測定期間中に増減していたこと、ウダイカンバとミ
ズナラの本数比率は増加したこと、が示されている。これらの結果から、択伐
が行われた針広混交林では、林分構造が長期的に変化しているものの、高価値
広葉樹資源の持続性は達成可能と結論付けている。
第 4 に、同じ長期測定試験地データを用いて、針広混交林における高価値広
葉樹の単木成長モデルを構築した結果が記述されている。期首の DBH、立木本
数密度と BA、択伐木の BA を固定効果とし、単木、プロット、測定年をランダ
ム効果とする線形混合モデルを構築し、3 つの樹種別に単木の BAI を予測して
いる。Leave-one-out 交差検証を行った結果、いずれの樹種においても BAI の
実測値と予測値との間に高い相関がみられ、予測値の二乗平均平方根誤差はそ
れぞれ 10.44、7.91、11.62 cm2/年であったとしている。構築したモデルにより、
BA 増加率が一定と仮定して、DBH が 30 cm の単木が 50 cm に達するまでの所
要年数を算出したところ、それぞれ 29 年、28 年、48 年と予測され、ミズナラ
が他の 2 樹種に比べて 2 倍近くの年数を要することが示唆されたとしている。
以上のように本論文は、リモートセンシング(UAV-DAP)と資源評価の技術
が、単木情報の正確かつ空間明示的な収集と、計画的・持続的な資源管理を可
能にし、高価値広葉樹の単木管理の効率化と省力化、および精密林業の実現に
役立つものであることを具体的に示したものである。これらの研究成果は、学
術上応用上寄与するところが少なくない。よって、審査委員一同は本論文が博
士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。

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