リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「筋組織修復を制御する新規マクロファージの同定と進行性骨化性線維異形成症への関与」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

筋組織修復を制御する新規マクロファージの同定と進行性骨化性線維異形成症への関与

尹, 文強 東京大学 DOI:10.15083/0002006943

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名尹

文強

本研究は、筋組織再生におけるマクロファージの同定を通して、マクロファージによる筋
組織修復への関与を明らかにし、進行性骨化性線維異形成症 (FOP)における筋組織損傷後
異所性骨化を発症するメカニズムを解明することを目的としたものであり、下記の結果を
得ている。
1. 筋組織損傷に応答して筋損傷部位に集積し、筋組織再生を促進する新たなマクロファー
ジサブセット Mrep (macrophage directing tissue repair)を見出した。LysM-cre/DTR マウスを
用い、ジフテリアトキシンでマクロファージを除去したところ、筋組織再生が著しく障害
されたが、Mrep を移入すると筋組織再生が回復した。
2. シングルセル RNA-seq 解析結果を基に、フローサイトメトリーで確かめた結果、Mrep
は Ly6ChiCX3CR1loPodoplanin+CD9+として定義されることがわかった。さらに、Mrep は
FOP で認められる変異型 ACVR1 受容体のリガンドである activin A を高発現することが明
らかになった。In vitro で Mrep と変異型 ACVR1 間葉系前駆細胞との共培養を行ったとこ
ろ、間葉系前駆細胞は骨芽細胞へ分化した。
3. Mrep での activin A 発現誘導機構を明らかにするために、シグナルパスウェイ解析を行
った結果、TLR シグナルカスケードが Mrep で有意に亢進していることがわかった。
Ticam1–/– (TRIF 欠損) マウス、または TLR4 阻害剤を投与したマウスでは activin A の発現
が顕著に低下し、Mrep における activin A の発現が TRIF シグナルに依存することを突き止
めた。最後に、TLR4 阻害剤の投与は、FOP モデルマウスで観察される筋組織損傷後に発
症する異所性骨化を顕著に抑制した。
以上、長らく不明であった FOP における筋組織損傷による異所性骨化発症の分子機構が解
明され、FOP に対する新規治療法の確立に向けた分子基盤が築かれた。以上から、本来筋
組織修復を促進する善玉であるはずの Mrep が FOP 患者では異所性骨化を発症させる悪玉
として作用してしまうことが判明した。本研究は、筋組織修復のみならず希少疾患である
FOP の病態メカニズムの理解に新しい知見が得られ、FOP に対する新しい治療アプローチ
を提供した。
よって本論文は博士( 医 学 )の学位請求論文として合格と認められる。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る