複数種の赤潮の消長過程におけるウイルス叢遷移様態の網羅
概要
令和 4 年度
京都大学化学研究所 スーパーコンピュータシステム 利用報告書
複数種の赤潮の消長過程におけるウイルス叢遷移様態の網羅的解析
Comprehensive analysis of viral succession during the transition of multiple types of algal
blooms
高知大学自然科学系理工学部門
高橋迪子
研究成果概要
本研究では、京都大学科学研究所スーパーコンピュータシステムを利用し、高知県浦ノ内
湾で採取した海底泥から単離されたアメーバ感染性ウイルス 16 株の配列解析を行った。本研
究で単離されたアメーバ感染性ウイルスは、特徴的な形態とバクテリアに近い大型の粒子サイ
ズであることを顕微鏡観察により確認しており、それらの系統推定が待たれていた。本研究で
は、ウイルス由来の DNA から NovaSeq によるシークエンスを行った後、本システムのソフトウェ
アおよび計算資源を用いてリードの前処理、ゲノム構築、遺伝子予測、分子系統解析等を行
った。その結果、16 株中 13 株においてはウイルス科の同定に成功した。同一試料から少なく
とも 4 タイプの巨大ウイルスが単離されたことを形態観察から推定していたが、これを分子系統
解析によって裏付けることができた。残る 3 株については、形態観察結果とゲノムデータの不
一致、あるいは配列データの不足などの理由から、再度検証する必要がある。現在、分子系
統解析の完了した 13 株のデータを用いて、論文執筆中である。 ...