リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Detecting Adverse Drug Events Through the Chronological Relationship Between the Medication Period and the Presence of Adverse Reactions From Electronic Medical Record Systems: Observational Study」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Detecting Adverse Drug Events Through the Chronological Relationship Between the Medication Period and the Presence of Adverse Reactions From Electronic Medical Record Systems: Observational Study

寺本, 圭 大阪大学

2022.02.28

概要

〔目的〕
電子カルテに蓄積される処方オーダデータ、注射オーダデータ、血液検査データなどのリアルワールドデータから薬剤の副作用を捉えることができれば、薬剤市販後調査に膨大な費用や労力をかけることなく、薬剤ごとの有害事象の発生率が明らかになる。薬剤性肝障害(DILI)の診断は、薬剤服薬期間と血液検査結果との関連により原因薬剤の特定を行うため、電子カルテの処方歴から薬剤の服薬開始日と終了日を推定する必要がある。我々は、予備実験において、電子カルテに蓄積された処方オーダに存在する処方終了日と次の処方開始日の間に発生する重複や空白期間を推定される残薬によって補正し、患者ごとの禁剤服薬期間を推定可能なデータベース(服薬歴DB)を開発している。服薬歴DBの開発により服薬の開始日と終了日が推定可能となり、DILIの診断をコンピューターで機械的に判定することができると考えた。

本研究では、電子カルテに格納された処方オーダ歴から服薬歴DBを構築し、コンピューターで服薬期間と血清ALT値の変動を捉える手法(服薬歴法)を用いることによって、薬剤ごとのDILIを判定しその発生率を求めた。服薬歴法によるDILI診断の有用性を評価するために、カルテレビューと既存の診断手法として知られるRUCAid法との比較による精度評価を行った。

〔方法〕
大阪大学医学部附属病院、国立循環器病センター、鹿取大学医学部附属病院の電子カルテデータベースから抽出したAspirin、Clopidogrel、 Ticlopidineの服薬患者26,059、5,076、3,974例の処方オーダ歴から服薬歴DBを構築した。服薬歴DBの構築には、電子カルテメーカごとに異なる処方オーダ歴に対応するため、薬剤ID,患者ID,処方開始日,処方日数などのデータを中間処理データベースに格納し、プログラムによる服薬歴DBへの変換処理を行った。生成した服薬歴を基準に「服薬開始後に血清ALT値が基準値の2倍以上上昇する」、 「服薬期間中は血清ALT値の異常が持続する」、「服薬終了後に血清ALT値がPeak値より半減する」「アルコール性肝障害やウイルス性肝炎の基礎疾患がない」を満たす場合、を肝細胞生涯型DILIと判定した。

〔結果〕
Aspirin、 Clopidogrel、Ticlopidineにおける肝細胞障害型DILIの発現頻度は、3.33% (26,059例中868例)、3.70% (5, 076例中188例)、5.69% (3,974例中226例)であった。服薬歴法によりDILIと判定された症例に対し、大 阪大学鳥取大学の診療記録をもとにカルテレビューとRUCAM法による精度比較を行った。カルテレビューでは、服薬歴法により検出されたDILIの93% (43例中40例)において、医師によるDILIを疑う記載が確認された。RUCAM法で診断対象となる血清ALT値200>IU/Lの症例において、服薬歴法では64例、RUCAM法で14例がDILIと判定された。RUCAM法によるDILI検出率が本法と比較して大きく下回る原因は、血清ALP値データの欠損によるものであった。

〔考察〕
本研究では、複数の医療機関の電子カルテから抽出した臨床データを用いDILIの判定を行った。服薬歴法は、医師の診断思考に従ったDILIの診断方式を取り、服薬期間と血清ALT値の変化をとらえることを必須としている。そのためRUCAM法では対象外となる血清ALT値が200IU/L未満な軽度な肝機能異常についてもDILIとして捉えることができた。その一方で、本法においては、検証対象薬剤と同一期間で服用している併用薬がDILIの原因薬剤となった可能性を否定できない。本研究では血清ALT値と服薬期間の関係から肝細胞障害型DILIの診断を行ったが、白血球減少、腎機能障害(Cr上昇)など、血液検査で捉えることができる有害事象の判定が可能となる。服薬歴DBは薬剤疫学研究の基盤となるDBになり得る。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る