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大学・研究所にある論文を検索できる 「日本人一般住民における家族性高コレステロール血症関連遺伝子のバリアントが血清低比重リポ蛋白コレステロール値に与える影響」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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日本人一般住民における家族性高コレステロール血症関連遺伝子のバリアントが血清低比重リポ蛋白コレステロール値に与える影響

佐々木 結萌子 東北大学

2022.03.25

概要

【背景】FH (familial hypercholesterolemia; 家族性高コレステロール血症) は、重度の高 LDL コレス テロール血症、腱黄色腫、および早発性冠動脈疾患の 3 つの臨床症状によって特徴づけられる遺伝性疾患である。FH は主として常染色体優性遺伝形式を示す疾患で、一般住民における有病率は 200 人から 500 人に 1 人と推定されている。FH は、一生涯にわたり低比重リポ蛋白 (low-density lipoprotein; LDL) コレステロール値の上昇を引き起こし、早発性冠動脈疾患の発症リスクを高める。FH の原因は、LDLR (low density lipoprotein receptor; 低比重リポ蛋白受容体)、APOB(apolipoprotein B; アポリポ蛋白B)、PCSK9 (proprotein convertase subtilisin/kexin type 9; プロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9 型) を含む遺伝子変異であることが知られている。一般住民におけるこれらの FH 関連遺伝子バリアントの種類および頻度は明らかでない。

【目的】日本人一般住民のゲノム情報を用いて FH 関連遺伝子バリアントの種類および頻度を同定し、遺伝情報と血液生化学データを併せることで、血清 LDL コレステロール値に対するこれらの遺伝子バリアントの影響を明らかにする。

【方法】本研究では、東北メディカル・メガバンク機構コホート研究でこれまでに収集された全ゲノムレファレンスパネル 3.5KJPN のうち、血清 LDL コレステロール値や心血管疾患既往などの臨床情報が紐づけされた 2,554 人のデータを用いた。FH 関連遺伝子バリアントは、機能喪失型である LDLR のバリアントと ClinVar によって FH に関連付けられるとの注釈のある LDLR、 APOB、PCSK9 のミスセンス変異を選択した。これらの遺伝子バリアントの有無で、血清 LDL コレステロール値を比較した。

【結果】91 人 (全体の 3.56%) に 14 個の FH 関連遺伝子バリアント (LDLR 11 個、 APOB 1 個、PCSK9 2 個) が同定された。FH 関連遺伝子ヘテロバリアント保有者における LDL コレステロール値は、非保有者よりも有意に高かったが、その差はわずか 9mg/dL であった。さらに、保有者および非保有者における LDL コレステロール値の密度分布は、大部分 (85.7%) が重複しており、密度分布がピークとなる LDL コレステロール値はバリアント保有者と非保有者で同様であった。さらに、バリアント保有者の半数以上が高 LDL コレステロール血症を呈していなかった。

【結論】私は、日本人一般住民における FH 関連遺伝子バリアントの種類と頻度を初めて同定した。血清 LDL コレステロール値に対する FH 関連バリアントの影響は、有意に上昇させるものの、その程度は脂質異常症や冠動脈疾患患者を対象とした遺伝子解析の既報に比べて小さかった。これらの FH バリアントは、すべてのバリアント保有者の LDL コレステロール値に等しく影響を与えるのではなく、同じバリアント保有者の少数の集団のみがこの遺伝的要因の影響を強く受け、重度の高 LDL コレステロール血症を発症するものと推察された。

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