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大学・研究所にある論文を検索できる 「無機材料による酸化反応 : 担持金触媒によるメタクリル酸の合成およびリチウムイオン電池の正極活物質による炭酸ビニレンの生成」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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無機材料による酸化反応 : 担持金触媒によるメタクリル酸の合成およびリチウムイオン電池の正極活物質による炭酸ビニレンの生成

邱, 逸飛 QIU, YIFEI キュウ, イツヒ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

Oxidation reactions with inorganic materials:
synthesis of methacrylic acid by supported gold
catalysts and formation of vinylene carbonate
by cathode active materials of lithium-ion
batteries
邱, 逸飛

https://hdl.handle.net/2324/6787410
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(理学), 課程博士
バージョン:
権利関係:

(様式3)





:邱

逸飛

論 文 名 : Oxidation reactions with inorganic materials: synthesis of methacrylic acid by
supported gold catalysts and formation of vinylene carbonate by cathode active materials of
lithium-ion batteries
(無機材料による酸化反応:担持金触媒によるメタクリル酸の合成およびリチウムイオ
ン電池の正極活物質による炭酸ビニレンの生成)






















酸化還元領域は石油化学業界、医薬業界などに不可欠な領域の一つである。その中に、多くの有
機化合物は気相、または液相で触媒によって合成されている。学界であれ産業界であれ、触媒によ
る反応に大きな関心が持たれている。ガソリンやプラスチックから、農薬や薬品など様々な製品へ、
触媒は重要な役割を果たしている。言い換えれば、適切な触媒がないと、それらの製品が作り出せ
なかったり、高コストになったりするのであろう。そして、酸化反応によって合成された製品が多
くの場合にそのあとのプロセスにおける重要な反応中間体となって、最終製品のコストにかかわっ
ている。例えば、アクリル樹脂の生産プロセスの一部として、メタクロレイン(MAL)をメタクリ
ル酸(MAA)へ酸化する時に高温(>300℃)および触媒寿命低下の問題が存在している。その一
方で、予想外の酸化還元反応は悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、二次電池であるリチウムイ
オン電池が充電されたら、正極材料は高酸化状態になり、電解液が酸化分解される問題がある。そ
こで、本論文は、温和な条件下で担持金触媒による MAA の合成およびリチウムイオン電池の高酸
化状態の正極による電解液の酸化メカニズムの解明を目標とした。
第一章では、酸化反応の背景、本論文の研究目的を述べた。
第二章では、リチウムイオン電池の電解液を用いて、その酸化分解生成物を同定することにより
電解液の酸化分解メカニズムを分析した結果を述べた。リチウムイオン電池はほかの二次電池より
高いエネルギー密度があるため、携帯電話などの小型移動式電子製品から、電動自動車などの大型
製品へ幅広く利用されている。しかし、リチウムイオン電池は長期的に使用すると、場合によって
熱安定性が低い電解液が正極に酸化分解され、ガスの発生や火事などの安全性が依然として未解決
な問題となっている。本研究で使われた酸化状態の正極(Li1−xCoO2、4.5V)は、正極材料である LiCoO2
を原料として、電気化学的脱リチウムを行うことで作製した。それを事前に準備した電解液溶媒(エ
チレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC))に入れ、50℃の環境で電解液からの分
解生成物を同定して、EC から VC の生成が確認できた。そして、Li1−xCoO2 を 4.5V から 4.1V に変
化すると、VC の形成速度が低下したので、VC の生成は正極の酸化状態に関わっているとわかった。
さらに、電解液添加物とする LiPF6 が存在する場合に VC の生成加速が観察された。NMR 測定から
LiPF6 の分解生成物である PO3F2−と PO2 F2−が検出され、PO2F2−が VC の生成を大幅に促進すること
が分かった。また、重水素標識の EC-D4 とシン位置に重水素を置換した EC-D2 を使用して、GC、
GC-MS、NMR および ASAP-MS によって、速度論的同位体効果と立体特異性を分析した。その結果
として、EC は、二つの水素が主に立体化学的にシンの位置から脱離されることで、VC を生成した

ことが示され、k H/kD = 2.9 と算出された。
第三章では、より温和な条件下で MAL を MAA へ選択的酸化できる触媒を検討して、性能が一番
良かった触媒を用いて、特性評価をしたことで、MAL 酸化反応が促進される要因を述べた。近年に、
低温でも CO 酸化に高活性な Au 触媒に多く注目されている。私はそれを出発して、単金属 Au 担持
触媒から、Au-Mn バイメタル担持触媒まで様々な触媒を評価し、1wt%Au-0.6wt%Mn/TiO2 が 50℃で
反応しても MAL 酸化反応に高活性(MAL コンバージョン:94%、MAA 選択率:88%)を観察し
た。そして、0.6wt%Mn/TiO2 を触媒として使用した場合に、MAA がほとんど生成しないため、活性
種が Au であることが分かった。また、1wt%Au-0.6wt%Mn/TiO2 に対して、TEM、XPS および H2-TPR
によって特性評価が行われた。その結果として、触媒表面の活性種 Au 濃度の増加は MAL 酸化反応
を促進する要因の一つだと考えられる。そして、高活性の触媒により多くの酸化状態 Au が観察さ
れたので、酸化状態の Au がこの反応進行に有利であると考えている。
以上より、本研究では、従来の研究方法で報告されていない速度論的同位体効果と立体特異性を
分析することで、電解液酸化分解の中間生成物である VC が主に EC のシンの位置にある水素の脱
離により生成されたとわかった。そして、メタクロレイン酸化反応に関してほとんど研究されてい
ない Au 触媒を幅広く検討し、従来 300℃以上の反応温度を 50℃に下げても高活性を持つ触媒を発
見した。

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