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大学・研究所にある論文を検索できる 「Synthesis and Evaluation of PtW Solid-Solution Nanoparticles and Bioactive Metal-Organic Frameworks」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Synthesis and Evaluation of PtW Solid-Solution Nanoparticles and Bioactive Metal-Organic Frameworks

Kobayashi, Daiya 京都大学 DOI:10.14989/doctor.r13460

2022.01.24

概要

現在、持続可能な社会構築を志向したクリーンエネルギーの創出やCO2回収・資源化、環境浄化等のための高機能な材料創出が求められている。ボトムアップ型の材料合成手法は、元素組成および構造の制御が可能であり、設計指針を合成物に反映できる特徴がある。例えば白金ナノ粒子は、水素発生反応触媒やCO2還元触媒として有用であることが知られており、触媒活性をさらに向上させる試みとしてボトムアップ型の合成手法による合金化などが報告されている。合金ナノ粒子は、単金属とは異なる電子状態や性質を示すことから、触媒活性の向上が期待できる。白金の合金化に関する報告は8-11族との組み合わせがほとんどである一方、8-11族よりも低い仕事関数を持つ3-7族との合金化例は少ない。そこで、白金の電子状態の大きな変化による触媒活性の向上を期待し、6族のタングステンとからなるPtW固溶合金ナノ粒子を創出し、得られたPtW固溶合金ナノ粒子の水素発生反応触媒、CO2還元触媒としての評価を行っている。また、環境浄化材料 (生理活性材料)についても検討している。金属イオンと有機配位子で構成された金属–有機構造体(MOF)は、フレキシブルな骨格設計、有効成分の溶出速度の制御、耐久性の向上などの利点から、生物・環境・食品分野の生理活性材料として注目されている。MOFが金属イオンと有機配位子から成ることに着目し、生理活性を有する亜鉛イオンとチアベンダゾールを組み合わせることで金属イオン系と有機系の両方の作用を有する生理活性MOFを創出する事を目的に研究をおこなっている。

1.PtW固溶合金ナノ粒子の合成と水素発生反応触媒としての評価
水分解水素発生反応 (HER: 2H+ + 2e- → H2)における白金触媒の高活性化には、水素原子と触媒表面との吸着エネルギーの調整が重要と考えられており、これまで白金を基本元素とした固溶合金ナノ粒子による改善が検討されている。
本研究では、PtW固溶合金ナノ粒子に着目している。タングステンが還元されにくく、白金とタングステン前駆体カチオンの酸化還元電位差があることを考慮し、熱分解法を用い、カーボン担持後のECクリーニングを経て合成した。収差補正走査透過電子顕微鏡のEDS分析より、合成した固溶合金はタングステンが数パーセント白金にドーピングされた直径約5 nmのPtW 固溶合金ナノ粒子であることを明らかにした。このPtW固溶合金ナノ粒子を用いて、HER特性を評価した。10 mA/cm2の電流密度に必要な過電圧は、白金単体のおよそ7割程度であることから、高効率な水素発生反応触媒であることを明らかにしている。さらに、PtW固溶合金ナノ粒子の単位白金質量当たりの活性は白金よりも3.6倍高く、水素発生効率が劇的に向上することも見出した。これらのPtW固溶合金ナノ粒子の高活性化のメカニズムは、理論計算より、タングステン原子に隣接する白金原子が負電荷を帯び、水素原子との吸着エネルギーが弱められる事によって、触媒上で還元された水素原子が水素分子としてさらに放出されやすくなるためである事を明らかにした。

2.PtW固溶合金ナノ粒子のCO2還元触媒としての評価
逆水性ガスシフト反応 (RWGS: CO2 + H2 → CO + H2O)は、CO2を有用な化学原料であるCOに変換するという観点から重要な反応である。金属酸化物に担持された遷移金属触媒は、RWGS反応用触媒として広く研究されている。特に、Pt系触媒はCO生成の選択性が高く、H2を活性化する能力が高いため、低い反応温度領域から良好な変換効率を示す。今回、初めてPtW固溶合金ナノ粒子をRWGS反応触媒として用いた評価を実施した結果、PtW NPs/Al2O3は白金の高い選択率を維持しつつ、200 ℃および300 ℃の低温において、Pt/Al2O3の 16倍および17倍の高い活性を示すことから、有望なRWGS反応用触媒になり得ることを明らかにした。PtW固溶合金ナノ粒子の活性向上は、PtとWの固溶合金化によって白金ナノ粒子のシンタリング耐性が向上することに加え、触媒上でのCO2の吸着とCOの脱離が促進されたことに起因するものと結論づけた。

3.チアベンダゾールを配位子とする金属–有機構造体の合成と評価
亜鉛イオンには優れた抗菌活性、チアベンダゾール (TBZ)には高い防カビ活性があることが広く知られている。これらをMOF化する事で、亜鉛単独、TBZ単独よりも広い抗微生物スペクトルを有し、かつ徐放性と高い耐久性を併せ持つ新規生理活性材料を開発した。今回、塩化亜鉛とTBZより二次元平面ネットワーク構造を形成するTBZ-MOF-1を、補助配位子としてテレフタル酸を加えたものより一次元直鎖構造を形成するTBZ-MOF-2を合成し、単結晶X線構造解析により構造を明らかにした。2つのTBZ-MOFから生じる生理活性成分の水溶出濃度は大きく異なることから、有効成分を制御して放出することができるものと考える。合成された2つのTBZ-MOFの物性差異は、ボトムアップ型合成によって構築されたZn2+とリガンドの配位様式に関連することが示唆された。

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