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大学・研究所にある論文を検索できる 「Urinary mulberry bodies as a potential biomarker for early diagnosis and efficacy assessment of enzyme replacement therapy in Fabry nephropathy」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Urinary mulberry bodies as a potential biomarker for early diagnosis and efficacy assessment of enzyme replacement therapy in Fabry nephropathy

余西, 洋明 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
Fabry病は、リソソーム内酵素であるα-galactosidase Aの遺伝子に変異が生じることで発症する糖脂質代謝異常症である。酵素の欠損に伴い、globotriaosylceramide(Gb3)が全身の細胞に蓄積する。その結果様々な臓器障害をきたし、腎不全の原因になる。Fabry病の腎病変に関しては、腎機能低下や蛋白尿といった臨床所見出現以前よりポドサイトの足突起の融合やGb3の蓄積等の組織所見が認められることが知られている。臨床所見出現後に酵索補充療法(ERT)が開始された場合、予後改善効果は限定的であるため早期診断が重要となる。早期に腎生検を行い脂質の蓄積を確認することは早期診断に有用であるが、一般的に臨床所見を呈していない症例では腎生検が施行されない。そのため蛋白尿に代わるFabry病腎病変特異的なマーカーが求められている。そこで、申請者らは尿中マルベリー小体というFabry病患者に特異的に認められる尿沈渣所見に着目した。臨床所見が乏しいにも関わらず尿中マルベリー小体を契機にFabry病が診断された症例報告が過去に散見されるが、尿中マルベリー小体に関する研究はほとんどなく、その正体および由来について不明な部分が多い。本研究ではFabry病腎合併症における尿中マルベリー小体の臨床的意義ならびに尿中マルベリー小体の正体および由来について検討することとした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
2011年1月〜2019年3月に大阪大学医学部附属病院を受診したFabry病患者51例を対象とし、尿中マルベリー小体並びに蛋白尿の有無の4群で患者背景を比較検討した。蛋白尿が陰性にも関わらず、尿中マルベリー小体が陽性であった患者は21例(41%)も認められ、尿中マルベリー小体が蛋白尿に先行していることが示唆された。続いて尿中マルベリー小体の由来を検討するために尿沈渣に免疫染色を行った。Gb3ならびにリソソームマーカーであるLAMP- 1が尿中マルベリー小体に共局在し、尿中マルベリー小体はGb3が蓄積したリソソームで構成されていることが示された。次に尿中マルベリー小体が腎臓構成細胞のどの部位から由来するのか探索するため、ポドサイト、近位尿細管、遠位尿細管それぞれのマーカーで免疫染色を行った。結果ポドサイトのマーカーであるPodocalyxinに陽性であり、ポドサイト由来であることが示唆された。Fabry病患者の腎生検所見では、ポドサイトにはGb3が蓄積することで空砲変性を示すことが特徴的な所見として認められる。尿中マルベリー小体はGb3の蓄積したポドサイト由来であることが判明したため、腎生検標本を用いて尿中マルベリー小体の量と糸球体当たりの空胞変性の程度の関係を調べることとした。尿中マルベリー小体の量は2015年から当院で独自に導入している4段階の半定量評価(none, few, moderate, many)で評価した。腎生検を施行した7例で検討したところ、尿中マルベリー小体の排泄量とポドサイトの空砲変性の割合は正の相関を示した(P = 0.03 for trend)。一方で蛋白尿とボドサイトの空砲変性の割合には相関が認められなかった。次にERTが尿中マルベリー小体に与える影響に関して検討した。半定量法で尿中マルベリー小体を評価された37例をERTの治療期間で4群に分けたところ(中央値:60.4ヶ月)、治療期間の長い症例ほど 尿中マルベリー小体の排泄量は少なかった(Ρ = 0.018)。治療期間と蛋白尿あるいは糸球体ろ過量には有意な関係は認められなかった。最後に新規にERTを開始した9例を対して、治療前後の尿中マルベリー小体の変化を検討したところ、18ヶ月間の酵素補充療法でマルベリー小体は有意に減少を示した(Ρ = 0.03)。一方で、ERTは蛋白尿ならびに糸球体ろ過量に有意な影響は与えなかった。

〔総括(Conclusion)〕
尿中マルベリー小体はポドサイトに由来し、腎障害の一般的なマーカーである蛋白尿より先行して出現することが示唆された。さらに尿中マルベリー小体は、蛋白尿よりも組織病変と強く関連することが明らかとなった。また治療により尿中マルベリー小体は減少することが示された。以上よりFabry病腎臓病変において尿中マルベリー小体は早期診断マーカー並びに治療評価マーカーとなることが示唆された。

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