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大学・研究所にある論文を検索できる 「Process of carbohydrate transferring and carbon budget in Phyllostachys edulis forests」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Process of carbohydrate transferring and carbon budget in Phyllostachys edulis forests

WANG, Shitephen 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23950

2022.03.23

概要

本論文は、モウソウチクの地下茎による炭水化物の移動を13Cのパルスラベリングによって調べ、個体(ラメット)間での物質のやり取り、資源配分の季節変動を明らかにしたものである。

第1章は序論で、研究の背景と意義について述べている。モウソウチクは東アジアの温暖湿潤地域に分布する大型のタケで、地下でつながった茎(地下茎)から新しいシュートを延ばす栄養繁殖を行う。モウソウチクには樹木とは異なる、以下の3つの特徴がある。先ず、シュート(タケノコ)は光合成器官である葉の形成前の段階でも成長がきわめて早く、およそ60日以内に、成熟したラメットと同程度の大きさになる。次に、稈の繊維細胞の寿命は樹木(1年未満)とは異なり、数年にわたって生きながら細胞壁厚を増やし続ける。また、環状の維管束形成層をもたないので稈は肥大成長をしない。こうした特性から、光合成で生産された炭水化物の余剰分は、地下茎を通じて他のラメットに配分されるものと考えられた。この特性の研究は、旺盛な繁殖力を持ち、栄養繁殖を行う大型草本の性質を解明するという点で意義がある。

第2章では、1年未満の若いラメット(以下、若いタケ)の炭水化物収支について述べている。若いタケはすでに葉をもっているが、PSⅡ量子収率(ΦPSⅡ)の測定から判断すると、それ自身の光合成によるだけでなく、地下茎からの炭水化物も利用していると考えられた。この結果から、1年を超える成熟したラメット(以下、成熟したタケ)が1年未満の若いタケに炭水化物を分配する(養育作用)という、すでに提案されている仮説を支持する証拠を得た。

第3章では、成長中の若いタケを対象に、異なる器官およびラメット間での炭素資源配分を13Cパルスラベリング法によって推定するとともに、既往の研究で報告されているC4型光合成の寄与について検討している。13Cの濃度から、成熟したタケはC3型光合成によって炭水化物を合成し、その一部をデンプンとして地下部に蓄え、地下茎を通じて若いタケや新しいシュートに送ることが明らかになった。また、稈の表面組織でのC4型光合成による寄与は、若いタケではあったとしても極めて小さく、成熟したタケではほぼないと結論した。

第4章では、パルスラベリング法で標識したモウソウチクの13C濃度を組織・器官ごとに経時的に測定し、成熟したタケでの炭素分配および若いタケへの炭素移動を論じている。ボックスモデルを用いた炭素収支計算によると、吸収された13Cの74.6%が標識後15日間に呼吸で消費され、8.9%が個体内に残り、16.5%が地下部に送り出されていた。本論文の結果から、成熟したタケの炭素配分が明らかになるとともに、養育作用への炭素配分を定量的に明らかにした。

第5章では、13Cで標識したモウソウチクの炭素化合物を構成成分に分けて季節ごとに分析し、異なる器官のソース-シンク関係と林分での炭素動態を明らかにしている。それによると、13Cは葉と枝から秋および冬に主要な炭素貯蔵庫である稈に送られ、ここから地下茎を通じてと他のシンクに送られる。13C濃度をもとにしたマスバランスのモデル計算では、モウソウチク林の光合成量は31.6 Mg C ha-1 yr-1で、葉、枝、稈、葉鞘は呼吸によって光合成生産物をそれぞれ2.4、1.5、6.3、0.4 Mg C ha-1yr-1消費していた。林分の炭素動態を見ると、葉、枝、稈、葉鞘のリターフォールはそれぞれ2.0、0.2、1.3、1.2 Mg C ha-1 yr-1、林床有機物層(O層)、有機物を含む鉱質土層、地下部呼吸はそれぞれ3.3、6.2、4.0 Mg C ha-1 yr-1であった。モウソウチク林の地上部純一次生産と地下部純一次生産は温度依存的で、夏に大きく冬に低かった。

第6章はここまでの章の結果に基づいて、論文全体の結論を述べている。すなわち、葉を着ける前のタケのシュート(タケノコ)は、成熟したタケが地下茎を通じて送り出した炭素を受け取っている。1年未満の若いタケは葉を着けた後でも、成熟したタケから地下茎を通じて炭素を受け取っている(養育作用)。成熟したタケでは、光合成で得た炭素を稈に蓄え、秋から冬にかけてシンクとなる地下茎に送っている。

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