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大学・研究所にある論文を検索できる 「Molecular ecology of season/altitude-specific longevity and function of leaves of an evergreen perennial, Arabidopsis halleri subsp. gemmifera」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Molecular ecology of season/altitude-specific longevity and function of leaves of an evergreen perennial, Arabidopsis halleri subsp. gemmifera

Yumoto, Genki 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23744

2022.03.23

概要

葉は植物の中心的な生産器官であるため、その春命は季節依存的に精密にコントロールされる必要がある。また、葉の持つストレス耐性や貯蔵の機能も温度環境に依存して変化すると考えられる。本論文では、変動する温度環境下における葉の機能を明らかにするために、アブラナ科の常緑多年草であるハクサンハタザオ{Arabidopsis helleri subsp. gemmifera)を対象に、葉舂命の季節的表現型可塑性および凍結耐性の標高適応に関する研究を行った。

 第1章では、葉寿命と凍結耐性の関する温度応答と先行研究を概観するとともに、ハクサンハタザオの自然生育地における研究系について説明した。第2章では、葉寿命の季節依存的な変化および植物全体の葉動態に関して、全葉を2週間毎のコホート(同齢葉集団)に分けて3年間にわたって追跡した。その結果、生育期に展葉したコホート(GSコホート)は短寿命で、平均的にはコホート順に枯死すること、その一方で、コホート内での寿命のばらつきは大きいことが示された。この時期は、展葉・枯死の回転率が高く、植物全体では若い葉からなる葉齢構成となった。越冬期前と越冬中に展葉したコホート(0Wコホート)では寿命が延長され、どの葉も春の繁殖期に同調枯死するまで維持された。枯死のタイミングはコホー卜間・コホート内ともに、繁殖に対して強く同調していた。越冬期には展葉速度は低下するが、その一方で枯死が少なく、植物全体では幅広い齢構成を示した。環境要因の解析では、展開中の日長が、GSコホートでは11.2時間より長く、0Wコホートでは短かった。第3章では、葉枯死タイミングの促進要因を明らかにするために操作実験を行った。GSコホートでは自己被陰により、暗黒誘導性老化遺伝子が発現し、個葉の光環境に依存して葉が老化した。そのため、被陰の有無がコホート内の寿命のばらつきを生み出していると考えられた。0Wコホー卜では、自己被陰には応答しなくなっており、繁殖期のシンク需要により枯死が同調したと考えられた。この時、葉の老化と共にリン酸飢餓応答遺伝子の発現が上昇していた。また、この越冬葉からの貯蔵物質の転流を制限すると種子の質が低下することが明らかとなった。このように、季節依存的な個葉寿命の制御が、季節環境下における資源獲得と資源の貯蔵・転流を全植物体レベルで最適化していることが明らかとなった。

 第4、5章では、伊吹山の標高傾度に沿って生育する2つの標高生態型を用いて、凍結耐性における遺伝的分化を解析した。第4章では、高標高型個体の葉が低標高型個体の葉に比ベて高い凍結耐性を持つことだけでなく、より長期にわたり低温順化応答をすることを示した。その一方で、植物が開花結実期に入ると、標高型に関わらず凍結耐性が低くなることも示した。第5章では、この開花結実期における新規の凍結耐性メカニズムを報告した。花芽を包む茎葉の葉面のクチクラワックスを解析したところ、高標高型個体では低標高型個体よりも多い量のC29-33奇数アルカンを蓄積していた。撥水性を高く保つことにより、茎葉およびそれに包まれる花芽の表面を乾いた状態に保つことを介して、凍結ダメージを防いでいることを明らかにした。葉面撥水性による標高分化は、植物がステージ依存的に異なる方法で高標高の凍結に適応していることを示している。

 以上のことから、葉の形質が示す季節的な表現型可塑性と局所的適応は、葉が日長・温度・光環境を統合しつつ、植物の発育ステージ依存的に多面的な役割を果たすことに機能していることが示された。

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