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大学・研究所にある論文を検索できる 「米菓の口どけ感の定量化および液相浸透による食感の動的変化の可視化」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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米菓の口どけ感の定量化および液相浸透による食感の動的変化の可視化

山谷, 健太 岐阜大学

2022.03.31

概要

本論文は,米菓の口どけ感をはじめとする食感について,咀嚼食塊の組織構造と物性に着目した客観的評価法の提案とその適用可能性を実験的に検討するとともに,米菓内部の油分布が米菓の食感に与える影響を検討した結果をまとめたものである。その内容は以下のように3部に分類要約される。

1.米菓の口どけ感の定量的評価
粳と糯を主原料とした12種類の米菓の口どけ感評価について,米菓の喫食経験が豊富な成人男女8名を対象に実施した。米菓の内部構造は,X線CT断層像から気泡数,気泡サイズ,壁厚を決定した。口どけ感に関与すると考えられる米菓の最大破断荷重,唾液を模した水の吸水速度,α-amylaseによる人工消化液の粘度変化,人工消化後の残渣食塊粒径を測定した。

その結果,気泡サイズ,最大破断荷重,吸水時間が特に口どけ感スコアと相関を示した(気泡サイズ:R=0.69,最大破断荷重:R=-0.77,吸水速度:R=-0.53)。また,主原料が粳米の米菓の方が,糯米の米菓よりこれらの相関が高かった。さらに,内部構造と物性のパラメーターを説明変数(壁厚,気泡サイズ,気泡数,最大破断荷重,粘度半減期,残渣粒度)とした食感スコアの重回帰式(R2=0.978)を求めた。

以上より,米菓の口どけ感は,米菓の内部構造と物性値より定量的に評価できることを明らかにした。

2.飲み込み易い米菓食塊の特徴の可視化
前項で明らかにした飲み込み易さの異なる10種類の米菓を用いて,人工唾液と米菓片をビーズ式破砕機にて圧縮,混合して人工食塊を調製した。咀嚼時間を5sから20sまで変えてサンプリングした食塊の内部構造をX線CT法により可視化するとともに,その物性をテクスチャーアナライザーで測定し,両者の関係について考察した。さらに,内部の気泡構造が異なるモデル米菓を作製し,その試料を用いて飲み込み易い米菓の構造的な特徴についても考察した。

その結果,飲み込み易い米菓とは,唾液浸透速度が大きく,咀嚼後期で離水して流動性が大きくなるもの,あるいは咀嚼後期まで残留した米菓片をスラリー状になった澱粉が覆い,ひとまとまりの食塊となることを明らかにした。また,気泡サイズが大きく,かつ気泡数が少ない米菓ほど,上記の特徴を持つ飲み込み易い食塊を形成することを明らかにした。

3.油による米菓食感の変化と油の浸透度の可視化法の開発
油を使用した米菓は油を使用していない米菓と比較して,米菓片への吸水時間および,唾液酵素による消化時間が延びた例があり,食感の理解には構造だけでなく,素材としての油が食感へ及ぼす影響を考察する必要がある。そこで,X線CT法により,10%から50%までの5段階で油を浸透させたモデル米菓を作製し,その内部構造と油の浸透分布を定量化・可視化した。また,油に関係する食感評価用語を,クラスター分析により,サクサク,しっとり,ザクザクなどの8グループに分類し,それらの用語を用いて,モデル米菓を評価した。

その結果,サクサクした食感は,油の含量が40%までは増加したが,油の含量が50%になると急激に減少したことから,油の含量と食感は必ずしも相関していないことが明らかになった。また,油の分布の観点からは,深層への油の浸透はサクサク,しなっと,しっとりした食感を高め,中層への油の浸透はザクザク,かたい食感を高めることを明らかにした。

以上より,設定した食感をもたらすための最適な油分布の指標化が可能となった。

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