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書き出し

分裂酵母におけるガラクトース含有糖鎖の生合成機構の解明に関する研究

福永, 嵩大 FUKUNAGA, Takamasa フクナガ, タカマサ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

Studies on the Biosynthetic Pathway of
Galactose-containing Oligosaccharides in
Fission Yeasts
福永, 嵩大

https://hdl.handle.net/2324/6787678
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(農学), 課程博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)





論文題名

:福永嵩大
:Studies on the Biosynthetic Pathway of Galactose-containing Oligosaccharides in
Fission Yeasts
(分裂酵母におけるガラクトース含有糖鎖の生合成機構の解明に関する研究)





:甲















分裂酵母の細胞表層ガラクトース(Gal)含有糖鎖は、凝集素タンパク質 Gsf2 との相互作用を介し
て非性的な凝集を引き起こす。さらに糖鎖末端の Gal に付加するピルビン酸の負電荷により、凝集
は抑制される。そのため、分裂酵母は糖鎖中の Gal およびピルビン酸化(Pv)Gal を同種細胞間のコミ
ュニケーションに活用していると考えられる。糖鎖中の Gal は α1,2-、α1,3-、β1,3-結合の 3 つの結
合様式で存在し、ゴルジ体内腔に局在する Gal 転移酵素によって付加されるが、詳細な機能につい
ては未解明な部分が多くあった。そこで、本研究では糖鎖への Gal 付加を担う Gal 転移酵素の機能
および基質特異性の解析を行い、分裂酵母の Gal 含有糖鎖生合成機構の解明を試みた。
1)

分裂酵母の α ガラクトース転移酵素 10 種の基質特異性解析
分裂酵母糖鎖中の α1,2-および α1,3-結合の Gal を付加する推定 α ガラクトース転移酵素(GalT)は、

分裂酵母ゲノム上に計 10 遺伝子が存在する。当研究室で取得された GalT の 10 重遺伝子破壊株
(Δ10GalT)に各 GalT 遺伝子を単独で導入した株を作成し、それらの株の糖鎖構造を比較解析するこ
とにより各 GalT の基質特異性の解明を目指した。その結果、Gma12、Gmh1、Gmh2、Gmh3、Gmh6、
Otg2、Otg3 が単独で Gal 転移活性を示すことが明らかになった。また Gma12 と Gmh6 は O−結合型
糖鎖へ、また Gmh1-3 は N-結合型糖鎖へ Gal を付加することがわかった。さらに Otg2、Otg3 は O−
結合型糖鎖のマンノース 2 糖に主に活性を示した。しかし α1,3-GalT の Otg2、Otg3 と高い相同性を
持つ Otg1 は、GalT 活性を示さなかった。そこで、Otg1 と α1,2-GalT(Gma12、Gmh1、Gmh2、Gmh3、
Gmh6)を同時に導入した株を作成し、それらの株の糖鎖構造を比較した。その結果、Otg1 は Gmh6
と共発現することによって、Gal 転移活性を示した。以上の結果から、分裂酵母における Gal 鎖に
は、各糖転移酵素の基質特異性に基づく一定の合成経路が存在することが明らかになった(図 1)。

図 1. 分裂酵母における αGal 転移反応と GalT の基質特異性

2)

β1,3 ガラクトース転移反応の分子メカニズムの解明
β1,3-結合の Gal 残基は N-結合型糖鎖のみに存在する。また、非性的な凝集反応の抑制に重要なピ

ルビン酸が付加されるのは β1,3-結合の Gal のみであり、野生株において全ての β1,3-Gal がピルビン
酸の付加を受ける。以上のことから、β1,3-結合の Gal は糖鎖のピルビン酸化に重要な分子である。
これまで、β1,3-結合の Gal 転移反応の分子メカニズムは不明であり、糖転移酵素も未同定であった。
先行研究によって分裂酵母の糖鎖中に β1,3-Gal が付加されない変異株が取得され、β1,3-Gal 転移反
応に関与する機能未知タンパク質 Pvg2、3、5 が同定された。そこで、PANTHER や CAZy などのデ
ータベースを用いて各タンパク質のドメインを検索したところ、3 つのタンパクは全て一回膜貫通
ドメインを有する典型的なⅡ型膜貫通タンパク質であり、ゴルジ体に局在することが明らかになっ
た。さらに、Pvg3 のみが糖転移酵素に保存されている GT31 ドメインを有していることがわかった。
そこで、Pvg3 が Gal 転移酵素であると予想し、活性に重要と考えられるアミノ酸の点変異体(D212、
D282)を作製して pvg3Δ に対する機能相補試験を行った結果、これらの変異体は正常にゴルジ体に
局在したが、細胞表層のピルビン酸を欠失していた。以上の結果から、Pvg3 が β1,3-Gal 転移酵素で
あり、D212 および D282 残基が活性に重要であることがわかった。さらに Pvg2、Pvg5 が Pvg3 のゴ
ルジ局在に関与するかを調べた。その結果、pvg2Δ、pvg5Δ 株でも Pvg3 はゴルジ体に正常に局在し
たことから、Pvg2、Pvg5 はゴルジ体内腔で Pvg3 の機能を補助することが予想された。そこで Yeast
Two-hybrid 法を用いて Pvg2、Pvg3、Pvg5 各タンパク質の相互作用を調べた結果、Pvg3 と Pvg2 は
Pvg5 とのタンパク質相互作用が観察されたため、Pvg5 を中心とした Pvg3-Pvg5-Pvg2 ヘテロ複合体
の形成が示唆された。さらに β-結合 Gal へピルビン酸付加を担う Pvg1/ピルビン酸転移酵素と Pvg5
が相互作用することが明らかになった(図 2)。以上の結果から、ピルビン酸化 Gal の生合成が Pvg5
を中心としたヘテロ複合体の形成を介して連続的に起こることが示唆された。

図 2.Pvg5 を中心とした複合体の形成とピルビン酸化 Gal の生合成

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