Rab11-mediated post-Golgi transport of the sialyltransferase ST3GAL4 suggests a new mechanism for regulating glycosylation
概要
Rab11は、約60種類以上存在するRab GTPasesのうちの1つであり、Rab11a、Rab11bから構成され、リサイクリングエンドソーム(RE)を中心とした細胞内小胞輸送を制御します。先行研究で、このRab11aの腸上皮特異的KOマウスにおいて、小胞体・ゴルジ体で起こるN型糖鎖修飾の異常が生じていることが示唆されましたが、REはゴルジ体以降の小胞であることから、その輸送を制御するRab11と糖鎖修飾との関連は何も知られておりませんでした。
そこで私は、Rab11が糖鎖修飾を制御する詳細なメカニズムを明らかにするために、Rab11a、bをダブルでノックダウンしたHeLa細胞(DKD細胞)を作製し、解析を行いました。
DKD細胞の糖タンパク質を酵素処理やレクチンブロッティング法により解析した結果、N型糖鎖修飾に異常が起きていることがわかりました。また、LC-MSを用いて糖鎖構造分析を行ったところ、DKD細胞においてα2,3-シアル酸が選択的に増加していることがわかりました。そこで私は、N型糖鎖のα2,3-シアル酸転移酵素として最もメジャーなST3GAL4に着目し、蛍光免疫染色によりその局在を解析しました。従来、 ST3G AL4はTGNに局在し酵素反応を行うと考えられてきましたが、コントロール細胞にてREに局在するドット上の構造物が確認されたため、その数を定量するとDKD細胞で有意な減少が見られ、定常状態においてRab11がST3GAL4をREへと輸送していることがわかりました。このことからRab11はTGNからST3GAL4をREへと運ぶことで、α2,3-シアリル化を負に制御していることが示唆されました。