我々の住む地球は、分厚い大気に覆われ、固有磁場を有する惑星である。大気は、地表面からの高度が上がるにつれて薄くなり、いわゆる「真空状態」と呼ばれる宇宙空間に達する。実のところ、この宇宙空間は、「プラズマ」と呼ばれる電気を帯びた非常に密度の薄い気体で満たされており、その中をさまざまな電波が伝播している。このプラズマ中を伝播する電波である「プラズマ波動」により、宇宙空間の環境は大きく変動していることがわかっている。近年の研究では、その影響が地球の高層大気まで及ぶことが明らかになってきている。本稿では、プラズマで満たされた宇宙空間に関する基本構造とその変動に加え、高層大気まで影響を及ぼす過程ついて紹介する。
1)
理科年表オフィシャルサイト：https://www.rikanenpyo.jp/kaisetsu/kisyo/kisyo_006.html
2)
宇宙科学研究所、ジオスペース（地球周辺の宇宙空間）と太陽風の相互作用、想像図：
https://www.isas.jaxa.jp/gallery/feature/erg/02.html
3)
Ebihara, Y. and Y. Miyoshi, Dynamic Inner Magnetosphere: A Tutorial and Recent Advances, “The Dynamic
Magnetosphere”, W. Liu and M. Fujimoto, IAGA Special Sopron Book Series Vol. 3, p145-187, 2011.
4)
ジオスペースが奏でる音：https://ergsc.isee.nagoya-u.ac.jp/outreach/sound.shtml.ja
5)
6)
宇宙科学最前線：明滅するオーロラの期限に光を照らす https://www.isas.jaxa.jp/feature/forefront/190605.html
Turunen, E., et al., Impact of different precipitation energies on NOx generation during geomagnetic storms, J. Atmos.
Sol. Terr. Phys., 71, 1176–1189, doi:10.1016/j.jastp.2008.07.005.
7)
Marshall et al., The AEPEX mission: Imaging energetic particle precipitation in the atmosphere through its
bremsstrahlung X-ray signatures, Advances in Space Research, 66, 1, 66-82, https://doi.org/10.1016/j.asr.2020.03.003.
著者プロフィール
栗田 怜（Kurita Satoshi）
＜略歴＞ 2014 年東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻博士後期課程修了（博
士（理学））／同年名古屋大学太陽地球環境研究所 学振 PD／2017 年名古屋大学宇
宙地球環境研究所 研究員／2019 年名古屋大学宇宙地球環境研究所 ERG サイエン
スセンター特任助教／2020 年京都大学存圏研究所准教授、現在に至る。＜研究テ
ーマと抱負＞飛翔体による宇宙電磁環境探査、宇宙環境の地球超高層大気への影響
に関する研究。＜趣味など＞ウェイトトレーニング、ドライブ、バレーボールなど
のスポーツ観戦
...
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