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書き出し

感染症における問題点の解決策となるMA-Tの開発

柴田, 剛克 大阪大学 DOI:10.18910/92979

2023.09.25

概要

Title

感染症における問題点の解決策となるMA-Tの開発

Author(s)

柴田, 剛克

Citation

大阪大学, 2023, 博士論文

Version Type VoR
URL

https://doi.org/10.18910/92979

rights
Note

Osaka University Knowledge Archive : OUKA
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/
Osaka University

様式3




論文題名








柴 田





剛 克




感染症における問題点の解決策となるMA-Tの開発

論文内容の要旨
現代における感染症の問題にCovid-19で記憶に新しいパンデミックと薬剤耐性の問題がある。パ
ンデミックは定期的に繰り返し、薬剤耐性はゆっくりだが確実に世界的に生命、経済に大打撃を与
える。しかし人類は原因である病原体(主にエンベロープウイルスと細菌)に対する対策をうまく
取れていない。その原因は対策の偏重にある。
動物を用いた経口投与、一時性皮膚刺激性、眼刺激性、吸入毒性、染色体異常、復帰突然変異、
金属腐食性などさまざまな安全性試験の結果、MA-Tは非常に安全性が高いことが確認された。ま
た次亜塩素酸と違い有機物の存在下でも殺菌力を発揮できる強みがあり、多くの病原性細菌類を低
濃度で殺菌できた。特に黄色ブドウ球菌に対するMICは1.56 ppm、MBCは3.12 ppm、化膿レンサ球菌
に対するMICは0.1 ppm、MBCは1 ppmと極めて低濃度での殺菌を実現した。また有エンベロープウイ
ルスに対する不活化能力が高く、インフルエンザ、SARSウイルスに対しては消毒用エタノールと同
等の1分の暴露で不活化している。そして保存安定性が高く長期間備蓄しておける為、パンデミッ
クやエンデミックなど突然の感染拡大にも速やかな対応を可能にする。作用機序の一つとして細菌
の呼吸鎖に作用することがわかったが、他にも作用部位があると推測される。また、生きている細
菌にしか作用しないという興味深い結果も確認された。Covid-19パンデミックでは世界的にマスク
が不足し、何日も同じマスクを使用したり、消毒して再利用する人が多く現れた。しかし消毒用エ
タノールによる消毒ではマスクの粒子の捕集性能が落ちることが確認された。MA-Tは腐食性もな
い為、医療用マスク性能を落とすことなく消毒でき、非常時のマスクの再利用に活用できることが
示唆された。マスク以外にも不織布、衣類の消毒、噴霧による病室等の消毒など応用範囲は広い。
口腔内での使用においても歯周病菌やう蝕菌に対して強い殺菌力を発揮しただけでなく、バイオフ
ィルムを溶解するという今までにない効果も確認された。現在老人の誤嚥性肺炎を防ぐための口腔
ケアにも使用されている。
以上の結果よりMA-Tが長期間の備蓄が可能、対象病原体に対し効果が高く、為害性の極めて低
くかつ安価であるという4つの条件を満たす消毒剤であることが証明された。パンデミックや薬剤
耐性を含む感染対策に非常に有効であると考えられる。

様式7

論文審査の結果の要旨及び担当者






柴 田

剛 克

(職)

論文審査担当


主 査
副 査
副 査

教授
教授
教授







井上

辻川 和丈
近藤 昌夫

論文審査の結果の要旨

本研究では、感染症における2つ大きな問題であるパンデミックと薬剤耐性に着目し、亜塩素酸イオンを主
剤とする革新的な除菌・消臭剤(Matching Transformation System🄬; MA-T)を開発し、その性能評価を行うととも
に、以下の興味深い結論を得た。

1. MA-Tは、パンデミックと薬剤耐性の2つの課題に対して必要不可欠な5つの条件、すなわち、長期間の
備蓄が可能であること、細菌や有エンベロープウイルス等、対象病原体に対して効果が高いこと、為害
性が低く安価であること、耐性菌を産まない消毒剤であることを満たす革新的な液剤であることを明ら
かにした。
2. MA-Tの細菌に対する作用ターゲットの一つは、呼吸鎖であることを明らかにした。
3. Covid-19のパンデミックにおいて、マスク、ガウン、フェイスシールド、その他の個人用保護具(PPE)の世
界的不足が引き起こされたことは記憶に新しいが、MA-T はこれらPPE に対して腐食性がなく、マスク等
の性能を落とすことなく消毒でき、再利用を可能とすることを明らかにした。
4. MA-Tは、繊維や皮革を腐食しないため、マスクの他にも広く応用できることを示した。医療現場でガウ
ン(防護衣)をMA-Tに浸漬することで再使用を可能にし、ウイルス飛散による二次汚染も予防できるこ
とを明らかにした。
5. MA-Tは、歯周病菌に対しても低濃度で高い殺菌作用を持ち、安全性も高いことから口腔細菌が原因で引
き起こされる誤嚥性肺炎、心内膜炎、全身性疾患等を予防する目的で実施される口腔ケアに有効であるこ
とが示された。
6. MA-Tは、腐食性の低さや安全性、有効性が両立されていることから、噴霧による病室や、衣服等の殺菌
に有効であることが示された。

以上、本研究では、MA-Tが長期間の備蓄が可能で、細菌や有エンベロープウイルス等の対象病原体に対し
て効果が高く、為害性も極めて低く、かつ、安価であり、耐性菌を産まない消毒剤であり、感染症における2
つの問題を完全に克服しうる革新的な除菌・消臭剤であることを示すとともに、その応用範囲も工業分野、農
業分野など多岐にわたることから世界のSDGsに大きく貢献する貴重な研究成果である。
以上より、博士(薬学)の学位論文に値するものと認める。

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