Association of chorioamnionitis with failed conversion of epidural labor analgesia to cesarean delivery anesthesia: A retrospective cohort study

概要

１．序論
硬膜外麻酔による無痛分娩中の妊婦は分娩経過中に緊急帝王切開となった場合でも硬膜外カテーテルからの局所麻酔薬投与により硬膜外麻酔単独で帝王切開に移行でき、全身麻酔を避けられる。しかしその転換を失敗する症例も存在し、その関連因子が広く研究され、「産科麻酔医以外が管理」「PCAボーラス回数が多い」「緊急度」があげられている(Mankowitz et al., 2016)。一方、絨毛膜羊膜炎（Chorioamnionitis CAM）は絨毛膜と羊膜の感染あるいは炎症であり、母体、胎児の炎症反応を活性化する(Higgins et al., 2016)。CAMは母体および児の予後に重要な影響をもたらす疾患である(Venkatesh et al., 2019)。本研究は、臨床的に診断されたCAMと、硬膜外麻酔による無痛分娩から帝王切開分娩麻酔への転換の失敗との関連を検討することを目的とした。

２．方法
本研究は，順天堂医院の倫理委員会の承認を得た（承認番号：18-223）．本研究では，オプトアウト・コンセントを採用した．研究目的，収集されるデータの種類，個人情報の保護，利益相反に関する情報は，順天堂大学医学部附属順天堂医院のウェブ上で公開されている．同意を撤回する機会はウェブ上で提供されている．本研究は後方視的単施設コホート研究である。すべてのデータは完全に匿名化されており，2015年9月から2019年5月の間に、無痛分娩導入後に緊急帝王切開を受けた満期の妊婦を組み入れた。手術申し込み時に産科医が申請した実際の帝王切開の適応にかかわらず、CAMの基準を満たしているかどうかを全例再検討した。プライマリアウトカムは、無痛分娩のための硬膜外麻酔から帝王切開分娩の麻酔への転換の失敗とした。多変量ロジスティック回帰分析を行い，絨毛膜羊膜炎と帝王切開の麻酔の失敗との関連を検討した。

３．結果
検討した180名の分娩者のうち、58名（43.9％）がCAMの基準を満たしていた。CAM（＋）群における硬膜外麻酔転換の失敗は、CAM（-）群よりも有意に高かった（46.6％[27/58]対18.9％[14/74]、粗オッズ比＝3.7、95％信頼区間：1.7-8.3）。潜在的な交絡因子（年齢、BMI、経産婦、無痛分娩開始から帝王切開の時間）を調整しても、絨毛膜羊膜炎は帝王切開の麻酔失敗と関連することがわかった（調整オッズ比＝3.6、95％信頼区間：1.6-8.4）。

４．結論
絨毛膜羊膜炎は、無痛分娩の硬膜外麻酔から帝王切開麻酔への転換の失敗と関連している。