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大学・研究所にある論文を検索できる 「Development and evaluation of a colorectal cancer screening method using machine learning-based gut microbiota analysis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Development and evaluation of a colorectal cancer screening method using machine learning-based gut microbiota analysis

小西, 雄介 大阪大学

2022.03.24

概要

〔目的(Purpose))
 先進国において大腸がんの罹患者数・死亡者数が年々増加傾向にあり、その対策は喫緊の課題である。現在、大腸がんに対する有効な標的薬が未だ開発途上にあるため、現時点での最も効果的な対策は早期発見と外科的切除である。そのため高精度の大腸がん検診法が必要とされている。しかしながら、既存の大腸がん検診法には幾つかの短所が存在する。大腸内視鏡検査は正確かつ高感度の大腸がん検診である一方で、侵襲性が高く、実施に時間も労力もかかるため、大規模人口を対象としたスクリーニング的な用途には向かない。また便潜血検査は、非侵襲性で安価かつ簡便に実施できる大腸がん検診であるが、便に含まれる血液を検出するという原理から痔核や月経といった大腸がん以外の出血と区別することが難しい。また出血量の少ない早期がん・近位結腸がんの検出が困難であることも知られている。このような状況から、新たな大腸がん検診法の開発が必要とされている。そこで我々は、腸内細菌叢を大腸がん検診の指標とすることに着目した。
 近年の次世代シーケンサー技術の登場に伴い、腸内細菌叢と疾患の関係が明らかにされつつある。大腸がんとの関連についてもFusobacterium nucleatumを筆頭に幾つかの細菌種が報告された。それらは大腸がん診断の有望なマーカーの候補とされているが、残念ながら、それらの菌が検出できない大腸がん患者も多数存在するため、それら限られた数の細菌を指標とする検診法では満足な診断性能を得られていない。そこで本研究では、機械学習を使い腸内細菌叢全体の変化を捉えることで効果的に大腸がん診断を達成することを検討した。
 過去にも類似の研究があったが何れも問題点を抱えており、実用化には至っていない。主な問題点としては、サンプル数が少ない、独立したテストデータがなく検診法の性能評価が不十分である、ということが挙げられる。この研究ではそのような問題が起こらないよう入念に計画して実施した。

〔方法(Methods)〕
 我々はヒトの便の16SリボソームRNA菌叢解析で得られた腸内細菌叢の情報を基に機械学習を実施し、健常者と大腸がん患者を判別するモデルを機械学習により構築した。サンプリングは東京・京都・大阪の3施設で実施した。機械学習の訓練データには240サンプル、検証データには983サンプルを使用した。

〔成績(Results))
 この研究で我々が開発した大腸がん検診法は、超早期発見こそ叶わなかったが、過去に行われた類似の研究(Zeller et al. Mol Syst Biol. 2014)のものと比べても性能が高く、特にStage Ⅱ以降の大腸がんに対する感度が優れていた。また、これを便潜血検査と組み合わせることによって便潜血検査擬腸性を75%以上低減することができる可能性を示した。また、サンプリングを行った地域による診断性能の差が認められず、少なくとも日本国内の都市部においては我々の検診法が適用可能であることがわかった。さらに、腫瘍が形成した部位による陽性率の差も認められず、近位結腸がんの検出を不得意とする便潜血検査の問題点を補完できる可能性も示した。

〔総括(Conclusion)]
 本研究で開発された検診法は、新たな大腸がん検診法として十分と言える性能を有すると考えられる。この性能は独立した検証データによって裏付けされており、実用化に繋がる可能性が期待される。一方、本研究では便潜血検査との比較が不十分である。今後の課題として現在、同じ便サンプルを用いて腸内細菌を用いた検診法と便潜血検査の性能比較を目的とした新たなコホート研究を開始している。

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