書き出し
Enhancement of chondrogenic differentiation supplemented by a novel small compound for chondrocyte-based tissue engineering
概要
〔目的(Purpose)〕
難治性軟骨疾患の治療に培養軟骨細胞を用いた再生医療が期待されている。TD198946(TD)は軟骨系譜細胞や間葉系幹細胞の軟骨分化を促進する化合物であり、本研究では、生体由来培養軟骨細胞の軟骨分化誘導および人工軟骨組織作成におけるTDの有用性を検証した。
〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
ミニブタの関節軟骨から軟骨細胞を単離後、平面培養により脱分化した軟骨細胞を使用し、それらの凝集隗培養や3次元支持体上での培養系にTDを併用して軟骨分化誘導を行った。評価は軟骨分化関連因子の発現解析、糖基質量測定、組織学的解析により行った。TDは脱分化軟骨細胞の再分化を促進し、2型コラーゲンや糖基質の産生も促進することで軟骨組織化も亢進させた。またTDとBMP2の併用により更に高い軟骨組織形成効果を示した。3次元支持体を用いて作製した人工軟骨組織を免疫不全マウスに皮下移植して生体安定性を評価したところ、組織の成熟度が不十分であると皮下吸収される条件下でも、TD+BMP2で作製した人工軟骨組織は移植後4週で残存しその形態および軟骨の性質を留めていた。
〔総括(Conclusion)〕
TDは脱分化した軟骨細胞の再分化を促進することで人工軟骨組織の質を向上させた。