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大学・研究所にある論文を検索できる 「Identification of two functionally different domains in the seed region of siRNA guide strand and development of a new siRNA design procedure for therapeutic application」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Identification of two functionally different domains in the seed region of siRNA guide strand and development of a new siRNA design procedure for therapeutic application

小林, 芳明 東京大学 DOI:10.15083/0002006719

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名 小林 芳明
本論文は、系統的に 2´-O-methyl (2´-OMe)修飾を導入した small interfering RNA
(siRNA)により、
siRNA の seed 領域が 2 つの機能ドメインに分かれることを明らかにし、
さらにこの発見と過去の知見を組み合わせ、塩基変異を識別可能な核酸医薬品への応用
に向けた siRNA の新たな配列設計法の構築を行った論文である。本論文は 4 章からな
る。
第 1 章イントロダクションでは、本研究の背景および目的について述べられてい
る。まず、siRNA による RNA 干渉 (RNA interference, RNAi)とオフターゲット効果につ
いて、それぞれの分子機構が説明されている。両機構には、siRNA と Argonaute2 (AGO2)
タンパク質の相互作用と、siRNA の seed と呼ばれる領域 (5´末端より 2–8 塩基)が重要
で、特にオフターゲット効果の強さを制御していると説明されている。さらに、オフタ
ーゲット効果は seed 領域の 2´-OMe 修飾によっても制御されることが説明されている。
最後に、siRNA の核酸医薬品応用に向け、従来の siRNA では標的にできない疾患遺伝
子の特徴とそれを解決する方策を説明することで、本研究に必要な背景がまとめられて
いる。
第 2 章では、2´-OMe 修飾した siRNA の RNAi およびオフターゲット効果への影
響について解析した結果が示されている。論文提出者は、siRNA の seed 領域に導入す
る 2´-OMe 修飾を 5´末端より 2 塩基目から1塩基ずつ連続的にふやし、これらをヒト子
宮頸癌由来細胞株 (HeLa 細胞)に導入し、
ルシフェラーゼレポーターアッセイを行った。
いずれの siRNA も未修飾 siRNA と比べて RNAi 効果には変化が見られなかったが、オ
フターゲット効果は、2–5 塩基目の 2´-OMe 修飾で最も減弱することを明らかにした。
2–5 塩基目の 2´-OMe 修飾でオフターゲット効果が最も減弱する理由については、論文
提出者らの先行研究より、siRNA は AGO2 タンパク質に安定に載ることはできるが、
塩基の立体配置が変わることでオフターゲット遺伝子とは安定な塩基対合ができない
ためであることが示唆されていた。また、6 塩基⽬以降に 2´-OMe 修飾を追加すると、
逆にオフターゲット効果を促進する傾向が⾒られた。そこで、seed 領域を 2–5 および 6–
8 塩基に分けてレポーターアッセイを行うことで、6–8 塩基目の 2´-OMe 修飾は RNAi お

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よびオフターゲット効果を促進する傾向があることを見出した。この理由を調べるため
に、AGO2 と siRNA 複合体の結晶構造を用いた構造シミュレーションを行い、6–8 塩基
の中でも 7 塩基目の 2´-OMe 修飾が 8 塩基目の立体配置を塩基対合しやすい向きに調整
していると考えられる結果を得た。さらに、レポーターアッセイによっても、7 塩基目
の 2´-OMe 修飾が RNAi およびオフターゲット効果を促進していることを明らかにした。
第 3 章では、2´-OMe 修飾の解析から明らかにされた特徴と過去の知見を組み合
わせて新たな siRNA の配列設計法の構築に取り組んだ。がん原因遺伝子の 1 つである
kirsten rat sarcoma virus (KRAS) 遺伝子は 1 塩基変異が起こることによってがん化が誘発
されるため、1 塩基変異を区別して抑制する手法をレポーターアッセイにより解析して
いる。変異部位の野生型配列に対し、siRNA ガイド鎖の 11 塩基目および、5 もしくは 6
塩基目をミスマッチさせることで変異型遺伝子を特異的に抑制できることを見出した。
さらに、6–8 に 2´-OMe 修飾を導入することで変異型遺伝子への特異的な抑制効果の程
度を強めることを明らかにした。また、その siRNA を KRAS 遺伝子に 1 塩基変異をも
つ膵臓がん細胞株に導入し、変異型 KRAS 遺伝子を特異的に抑制すること、さらには細
胞増殖を抑えることを明らかにした。
第 4 章では、総合討論が行われている。本研究は、2´-OMe 修飾を用いた siRNA
の解析により、siRNA の seed 領域が 2–5 と 6–8 塩基目という 2 つの機能ドメインに分
かれることを初めて明らかにした。さらに、これらの特徴を踏まえ、過去の知見を活用
することで新たな siRNA の配列設計法の構築にも成功した。本手法は核酸医薬品を開
発する上で極めて重要だと考えられる世界初の手法であり、従来の医薬品で標的にでき
なかった疾患に対しての治療法となることが期待できる。
なお、本論文の第 2 章は田申氏・福原大輝氏・赤瀬大氏・相田美砂子氏・程久美
子氏との共同研究であるが、論文提出者が主体となって分析および検証を行なったもの
で、論文提出者の寄与が十分であると判断する。したがって、博士(理学)の学位を授
与できると認める。

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