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The Lipopolysaccharide Mutant Re-LPS Is a Useful Tool for Detecting LPS Contamination in Rheumatoid Synovial Cell Cultures

河野 紘輝 広島大学

2022.03.23

概要









The Lipopolysaccharide Mutant Re-LPS Is a Useful Tool for Detecting LPS
Contamination in Rheumatoid Synovial Cell Cultures
(LPS 変異体である Re-LPS はリウマチ滑膜細胞培養における LPS 混入の検出
に有用である)
Pathobiology, 2021, in press.
河野 紘輝
(医歯薬保健学研究科 医歯薬学専攻)
(研究の背景)
Toll-like receptor(TLR)は病原体関連分子パターンを認識する受容体で、自然免疫と獲得免
疫の両者を引き起こす。TLR に起因する慢性炎症と、TLR と内因性リガンドの相互作用は、関節
リウマチ(RA)をはじめとした多くの疾患で重要な役割を果たしている。
すなわち、RA 患者の関節滑膜には TLR4 が過剰発現していることが知られており、そのシグナル
が RA の病態に深く関わることが示唆されている。一方で、TLR4 関連実験ではそのリガンドであ
る lipopolysaccharide(LPS)の混入に細心の注意を払わなければならない。
今回、我々は RA の滑膜細胞(RSC)を用いて、自己抗原であるシトルリン化フィブリノーゲン
(cit-Fb)の効果を検討したところ、TLR4 を介して、T 細胞遊走ケモカインである C-X-C motif
chemokine ligand 10(CXCL10)の産生が誘導された。しかし、この効果は cit-Fb 試薬に混入した
LPS の影響であることが判明した。一方、混入した LPS による CXCL10 産生は、LPS の変異体であ
る Re-LPS により完全に抑制されることを偶発的に見出した。この Re-LPS の抑制作用は、培養実
験の LPS 混入を簡便に検出する方法として有用かもしれない。そこで、本研究では、LPS および
LPS の混入した cit-Fb 試薬を用いて、RSC ならびに健常人末梢血単球(PBMs)のサイトカイン産生
に対する Re-LPS の効果を検討した。

(方法と結果)
RA 患者の人工関節置換術時に得られた関節滑膜をコラゲナーゼ処理し、デッシュ付着細胞を
RA 滑膜細胞(RSC)として実験に使用した。まず、RSC における cit-Fb のサイトカイン発現効果を
遺伝子発現は定量的 RT-PCR(qPCR),蛋白発現は ELISA 法により評価した。RSC を cit-Fb 試薬で刺
激すると IFNβ を介して CXCL10 の発現が強く誘導され、その効果は濃度依存的であった。また、
siRNA-TLR4 で RSC の TLR4 をノックダウンすると CXCL10 と IFNβ 発現は阻害され、cit-Fb による

CXCL-10 の発現誘導は TLR4 シグナルを介することが判明した。TLR4 のシグナルは微量の LPS の
混入によって影響をうけるため、LPS の中和活性を有するポリミキシン B(PMB)の効果を検討した。
PMB は低濃度の cit-Fb による CXCL10 遺伝子・蛋白発現を有意に抑制したが、高濃度の cit-Fb
では PMB の抑制作用を認めなかった。LPS は熱耐性であることが知られている。一方、cit-Fb
は蛋白で、熱処理により変性を来たし、活性は低下する。そこで、95℃、15 分間熱処理をして、
cit-Fb の効果を検討した。コントロールとして用いた LPS は熱処理しても CXCL10、IL-6 遺伝子
発現誘導作用は抑制されなかった。一方、TNFα の CXCL10、 IL-6 遺伝子発現誘導作用は、熱処
理により完全に抑制された。cit-Fb 試薬では、IL-6 の遺伝子発現は熱処理により影響を受けな
かったが、CXCL10 遺伝子発現は熱処理により有意の抑制を認めた。以上より、cit-Fb 試薬への
LPS 混入が強く示唆されたものの、cit-Fb 自体の作用は否定できなかった。
LPS はリピッド A、コア多糖、O 抗原多糖で構成されるが、O 抗原多糖が欠失した LPS 変異体
(R-LPS)が知られており、R-LPS はコア多糖の付加の程度により Ra、Rc、Re-LPS に分類される。
RSC とヒト末梢血単球における大腸菌由来 Wild type(WT)-LPS と R-LPS の CXCL10 発現誘導作用
を検討すると、両培養系とも WT-LPS で強く誘導されたが、Rc、Re-LPS ではほぼ認めなかった。
一方、Re-LPS は WT-LPS による CXCL10 の誘導を濃度依存性に抑制した。また、この抑制効果は

Salmonella 由来 Re-LPS においても同様に認められた。さらに、Re-LPS は cit-Fb の CXCL10 発現
誘導作用を濃度依存性に抑制した。また、末梢血単球においても、cit-Fb による IL-6、IL-8、
CXCL10 の発現誘導を Re-LPS は有意に抑制した。最終的に、リムルス反応を用いた Limulus
Amebocyte Lysate(LAL) Assay により、cit-Fb 試薬(1 μg/ml)から 0.3 ng/ml 相当の LPS 活性
を認めた。
(考察)
RA の病態には TLR4 シグナルが重要な役割を担っているが、TLR4 関連実験では検体や試薬への
LPS 混入が大きな問題となる。本実験で使用した cit-Fb 試薬は、そのシトルリン化に大腸菌由
来の酵素(PAD)を用いており、その際に LPS が混入した可能性が高い。
培養実験では微量に混入した LPS が結果に大きな影響を与えるが、その検出法には問題が多い。
LAL アッセイは LPS 検出のための最も汎用される方法であるが、高価で特殊な機器を必要とし、
簡易的に測定することは難しく、偽陰性となる可能性が指摘されている。また PMB は効果持続時
間が短く、PMB 自体がサイトカイン誘導を引き起こすことが報告されている。LPS の熱処理に関
しても、熱に敏感な菌株も存在する。
本研究では、RSC、末梢血単球の培養系で Re-LPS が WT-LPS のサイトカイン誘導に対して阻害
的に働くことを明らかにした。さらに、Re-LPS は LPS の混入した cit-Fb 試薬のサイトカイン誘
導作用を完全に抑制した。この Re-LPS の作用は培養実験における LPS の混入を迅速に検出する
ツールとして有用と思われる。

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