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大学・研究所にある論文を検索できる 「TERT C228T mutation in non-malignant bladder urothelium is associated with intravesical recurrence for patients with non-muscle invasive bladder cancer」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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TERT C228T mutation in non-malignant bladder urothelium is associated with intravesical recurrence for patients with non-muscle invasive bladder cancer

林, 裕次郎 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
筋層非浸潤性膀胱癌患者は膀胱癌全体の75%を占め生命予後は良好であるが、膀胱内再発率が50%ほどと高いため、多くの膀胱癌患者が長期間にわたり術後も定期的な検査を必要とする。膀胱癌の術後の経過観察に頻用される膀胱鏡検査は高い診断能を有するものの侵襲性が高いため膀胱癌再発メカニズムの解明や再発予測マーカーの開発は急務である。TERT promoter変異は、膀胱癌患者の腫瘍組織や尿中cell-free DNA (cfDNA)に高頻度に認められる。我々は先行研究の中で、膀胱癌術後の肉眼的に腫瘍を認めない状態でも患者尿中cfDNAにTERT promoter変異の検出が可能で膀胱内再発と関連していることを報告した。筋層非浸潤性膀胱癌患者の悪性所見のない尿路上皮にTERT promoter変異が field changeとして存在し何らかの臨床的意義があると仮説をたて筋層非侵襲性膀胱癌患者の非悪性尿路上皮におけるTERT promoter変異解析の臨床的有用性を検討することを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
大阪大学医学部附属病院において筋層非浸澗性膀胱癌に対して系統的無作為膀胱粘膜生検および経尿道的膀胱腫瘍切術を受けた膀胱癌患者54例の53個の原発腫瘍と428力所の系統的無作為膀胱粘膜生検標本を対象としパラフィン包埋組織からDNAを抽出した。ドロップレットデジタルPCRによりTERT promoterの2種類のhotspot変異(C228T, C250T)を解析し、臨床病理学的因子や予後との関連をKaplan-Meier法とCox比例ハザードモデルを用いて検討した。病理学的に正常尿路上皮もしくは軽度異形成と確認された粘膜を非悪性尿路上皮と定義した。
54例のうちpTaは26例(48%)、pTlは25例(46%)で12例(22%)に上皮内癌を認めた。経過観察中に22例が膀胱内再発を認めた。428カ所の生検組織の中で、TERT C228T変異は病理学的に正常尿路上皮と診断されたサンプルの8.5%、軽度異形成と診断されたサンプルの26. 7%、高度異形成と診断されたサンプルの50%、上皮内癌と診断されたサンプルの58.1%に認めた。一方TERT C250T変異の陽性率はいずれの組織型においても低値であった。
腫瘍組織にTERT C228T変異を認めた28例中13例(46%)、腫瘍組織にTERT C228T変異のない25例中3例(12%)、合わせて16例(30%)で非悪性尿路上皮にC228T変異を認めた。腫瘍組織におけるTERT promoter変異と予後に関連は認められなかったが、非悪性尿路上皮にTERT C228T変異のある症例は有意に膀胱内再発率が高く (p=0. 005)、多変量解析ではTERT C228T変異(HR: 3. 2, 95%CI:1.3-7. 6)と多発腫瘍(HR: 3.1,95%CI:1.3-8. 2)が膀胱内再発と関連する独立した因子であった。非悪性尿路上皮にTERT C228T変異があった16例の中でBCG非投与群は投与群と比べて有意に膀胱内再発率が高かった(p=0. 024)。

〔総括(Conclusion)〕
TERT C228T変異はfield changeとして膀胱粘膜に存在しており、非悪性尿路上皮のTERT C228T変異は筋層非浸潤性膀胱癌の再発予後予測因子として有用であることが示唆された。