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大学・研究所にある論文を検索できる 「マルチスケールシミュレーションによる有機蒸着膜の分子配向・移動度予測」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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マルチスケールシミュレーションによる有機蒸着膜の分子配向・移動度予測

梶, 弘典 京都大学

2023.03

概要

令和 4 年度

京都大学化学研究所 スーパーコンピュータシステム 利用報告書

マルチスケールシミュレーションによる有機蒸着膜の分子配向・移動度予測
Prediction of molecular orientation and mobility of organic deposited films by multiscale simulation

京都大学 化学研究所 分子材料化学研究領域

梶 弘典

研究成果概要
当研究室では,有機非晶薄膜中における電荷輸送挙動を解明するためのマルチスケール
シミュレーション手法の構築を進めてきた.これまで展開してきたシミュレーション[1]において
は非晶薄膜中における分子配向が考慮されておらず,配向した系での電荷輸送挙動につい
ては明らかにされていなかった.
本研究では,電荷輸送材料である CBP および BSB-Cz (Figure 1)を用いた.DFT 計算によ
り構造最適化した分子を, Si(001)表面上に 1 分子ずつ加えることで,真空蒸着を模した分子
動力学計算を行い, 非晶凝集構造を作製した.分子動力学計算により得られた非晶凝集体
の分子配向(Table 1)は,実測を再現する結果であった.量子化学計算により電子カップリング,
再配列エネルギー,分子軌道エネルギーを計算し,電荷移動速度定数を算出した. 得られた
電荷移動速度定数から, 動的モンテカルロ法を用いて、ホールおよび電子移動についての電
荷輸送シミュレーションを行った.本研究では,京都大学化学研究所スーパーコンピュータシ
ステムに実装されている Python,GCC および量子化学計算ソフトウェア Gaussian16,分子動力
学計算ソフトウェア LAMMPS を使用した.
本研究で得られたホールおよび電子移動移動度を,従来手法および実測と比較した. CBP
については, 計算結果は従来手法および実測と近い値であった. BSB-Cz の電子移動につい
ては, 水平配向により従来手法と比較して移動度が向上し,実測と合致する結果が得られた.

Figure 1. Molecular structures of CBP and BSB-Cz.
Table 1. Calculated and experimental order parameters, , of CBP and BSB-Cz.
Molecules

Calculation

Experimental [2]

CBP

-0.10

-0.08

BSB-Cz

-0.41

-0.33

【文献】
[1] S. Kubo and H. Kaji, Sci. Rep., 8, 13462 (2018).
[2] D. Yokoyama et al., Org. Electron., 10, 127(2009). ...

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