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大学・研究所にある論文を検索できる 「The development of knee osteoarthritis and serum carotenoid levels among community-dwelling people in Japan」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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The development of knee osteoarthritis and serum carotenoid levels among community-dwelling people in Japan

竹本, 元大 名古屋大学

2022.08.24

概要

【緒言】
変形性膝関節症(KOA)の有病率は 50 歳以上では 30%以上であり、今後も増加傾向にあると報告されている。その病因について多数の先行研究があるものの、KOA の発生と信仰に関わる単一の因子はなく、多くの要因が関与している。そのため、KOA の発生進行抑制の効果的な薬物療法は存在せず、食事療法などの日常生活の改善が求められている。
KOA の発生原因の一つに酸化ストレスに由来する軟骨変性が知られている。抗酸化作用を持つ有機色素の栄養素としてはカロテノイドが広く知られており、KOA の非薬物的治療としてカロテノイド摂取による関節症予防効果の報告が散見される。しかしながら、報告の多くは横断研究であり、関節症発症の詳細を評価するには縦断研究が必要であった。
そこで今回我々は住民健診での 10 年間にわたる縦断研究で KOA の発生率を調査し、血清カロテノイドと KOA の発症との関連を評価した。

【対象及び方法】
北海道の八雲町で 1997 年から 2007 年までに住民健診を受診し、10 年以上経過観察
が可能であった 440 人の参加者(平均年齢 62.1±5.9 歳)を対象とした。評価項目として年齢、BMI、喫煙習慣、飲酒習慣、運動習慣、高血圧、高脂血症、KOA の有無を男女間で比較検討した。
血清カロテノイドとして α-カロテン、β-カロテン、α-トコフェノール、β-トコフェノール、カンタキサンチン、クリプトキサンチン、リコピン、レチノール、ゼアキサンチンを測定した。血清カロテノイド値は 3 分位に分けて検討した。
カロテノイド値と KOA 発症について Kaplan Meier 曲線を作成し、Log rank test を実施した。また、Cox 回帰分析を用いて血清カロテノイド値と KOA の発症の関連を調査した。血清カロテノイド値と KOA の発症の関連は男女を分けて比較検討した。

【結果】
男性 174 例、女性 266 例で平均年齢は 62.1±5.9 歳で平均調査期間は 12.4±2.6 年であった。患者背景を男女間で比較すると男性では女性に比べ平均年齢が有意に高く、喫煙習慣、運動習慣を持つ症例が有意に多かった。また高血圧の有病率が有意に高かった。調査観察期間における KOA 発症率は男性に比べ女性が有意に高かった(20.1% vs 42.1%; P <0.01)(Table 1)。
男性における平均の血清レチノール値は女性よりも有意に高かった。 対照的に、血清 α-トコフェロール、ゼアキサンチン/ルテイン、クリプトキサンチン、リコピン、α-カロテン、および β-カロテンの平均値は、女性よりも男性の方が低かった(Table 2)。
Log rank test では女性における血清レチノール高値群は低値群に比べ有意に KOA を発症した(P<0.01)。男性における血清レチノール値と KOA 発症との関連性は見られなかった(Figure 1)。また、Cox 回帰分析の結果、女性では、血清レチノール値が上位
三分位であることは、KOA 発症に関連していた(hazard ratio 1.97、95% CI、1.23〜3.16、 P <0.01)(Table 3)。一方、男性における KOA の発症と各血清カロテノイド値の間に関連性は見られなかった(Table 4)。

【考察】
10 年以上の追跡期間にわたるこの縦断的コホート研究では KOA の発症率は女性で
42.1%、男性で 20.1%であり、発症率は有意に女性が高い結果であった。
今までに血清カロテノイドと KOA の関係を縦断的に調べた研究はほとんどない。今回の検討では Cox Hazard 分析の結果、性別、BMI だけでなく、血清レチノールが高値であることは女性における KOA 発症が有意に増加するリスク因子であった。一方で男性における血清カロテノイドと KOA 発症との関係は認めなかった。
レチノールは軟骨形成と骨形成を調節する重要な役割を果たしており、OA 軟骨におけるレチノールの発現量は非 OA 軟骨よりも有意に高かったことが報告されている。また他の報告では軟骨細胞の分化増殖を調節する ALDH1A2 がレチノールによって活性化され、OA の発症リスクを高めたことが報告されている。これらの報告と我々の報告を加味すると、レチノールの過剰摂取が OA の発症に関与している可能性が示唆された。
血清レチノールと KOA 発症の性差についての原因については様々な理由が考えられる。第一に血清レチノール値は性ホルモンで調整されており、性ホルモンがレチノールの作用を変化させている可能性がある。二つ目の理由としてそもそも男性は女性よりも KOA の発症率が有意に低いことが報告されており、血清レチノールが高くても KOA の発症に至らなかった可能性がある。最後に女性よりも男性に多く見られる喫煙や飲酒などの生活習慣がレチノールの作用に対して影響を与えている可能性がある。男性と女性における平均血清レチノール値の比較では男性の方が有意に高いことが報告されており、また、飲酒や喫煙によりレチノールの作用が減少することも報告されている。
本研究の限界は、①血清カロテノイドと男女間におけるリスクとの関係を評価するには症例が少なかった。②検診における結果であり、参加者における健康に対する意識が高く、症例に対しバイアスがかかっている可能性がある。③膝の痛みの評価をしていない。④初診時における血清カロテノイド値で評価しており、経年変化を評価していないことなどが挙げられる。

【結語】
10 年以上の経過で女性の 42.1%、男性の 20.1%の KOA の発症を認めた。
女性における血清レチノールが高値であることは KOA 発症のリスク因子であった。

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