リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Decreased frontotemporal connectivity in patients with parkinson’s disease experiencing face pareidolia」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Decreased frontotemporal connectivity in patients with parkinson’s disease experiencing face pareidolia

梶山, 裕太 大阪大学

2021.12.31

概要

〔目的(Purpose)〕
顔パレイドリアは、曖昧な刺激を顔と認識することを特徴とした錯視現象であり、パーキンソン病(PD)患者では、健常対象者と比べて高頻度に認められる。先行研究において、顔パレイドリアが特発性レム睡眠時行動異常症(iRBD)患者やレビー小体型認知症(DLB)患者においても出現することや、幻視や視空間障害の重症度と関連が示唆されてきたが、顔パレイドリアの正確なメカニズムは不明であった。

顔認知に関わる神経ネットワークにおいて、紡錘状回顔領域(FFA)は顔の知覚と識別に重要であること、また、顔認知ネットワークが後頭葉からの「ボトムアップ」の感覚統合に加えて、前頭領域からの「トップダウン」の調節が関与することが示唆されている。我々の過去の脳波研究の結果をもとに前頭皮質からの「トップダウン」調節が顔パレイドリアに関与しているという仮説を立てた。本研究の目的は安静時機能的磁気共鳴画像(rsfMRI)を用いて、認知症や幻覚を伴わない早期PD患者において、顔パレイドリアに関連するネットワーク異常を明らかにすることである。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
PD患者83名(男性34名、女性48名、年& : 67.2±9.8歳、Hoehn and YahrXテージ:2.6±0.9)と、年齢と性別を一致させた健常対照者40名(男性18名、女性22名、年齢:66.0±3.7歳)について解析を行った。ノイズパレイドリアテストを用いてPD患者をパレイドリア群(n-39)と非パレイドリア群(n-44)の2群に分類した。パレイドリア患者群では非パレイドリア患者群と比較して、Mini-Mental State Examination (MMSE)スコアは低下(27.0 ± 2.2 vs 28.8 ±1.7、p<0.01)しており、その他の患者背最には有意差を認めなかった。

T1強調画像を用いた脳灰白質容量解析ではパレイドリア患者群と非パレイドリア患者群との間に有意差はなかった。安静時機能的脳結合解析において、パレイドリア患者群では前頭-側頭葉間の機能的結合が低下していた。また、両側紡錘状回をseedとしたseed-based解析を行ったところ、パレイドリア患者群では、非パレイドリア患者群および健常対象群と比較して両側内側前頭前野との結合性が有意に低下していた(パレイドリア患者群vs.非パレイドリア患者群:FDR-p <0.05; 95% CI [-0.138 to -0.004],d = -0.57、パレイドリア患者群vs.健常対象群:FDR-p < 0.05; 95%CI [-0.169 to -0.031],d = -0.84、非パレイドリア患者群 vs.健常対象群:FDR-p = 0.84; 95%CI [-0.096 to 0.037], d--0.21)。さらに、post-hoc回帰分析により、この内側前頭前野と紡錘状回との機能的結合は顔パレイドリアの重症度と負の相関(r =-0.40, p = 0.01)があることが明らかになった。

加えて、我々は顔パレイドリアに閧連するネットワークとMMSEスコアに関連するネットワークを区別するために、post hoc解析を行った。ノイズパレイドリアテストのスコアを用いてrsfMRIの回帰分析を行ったところ、内側前頭前野、両側紡錘状回、右海馬傍回を含むネットワークの機能的結合性と有意な負の相関が見られた。一方、 MMSEスコアを用いた回帰分析では、両側海馬と中側頭回を中心とした異なるネットワークの結合性と有意な負の相関が見られた。

〔総括(Conclusion)〕
本研究の結果は、顔パレイドリアにおける前頭側頭葉ネットワークの変化の重要性を、rsfMRIを用いて明らかにしたものである。健常者を対象とした先行研究と同様に、PD患者の顔パレイドリアの病態には「トップダウン」調節機構が関与している可能性が示唆された。今後、さらに前頭側頭葉ネットワークに焦点を当てた研究を行うことで、PD、DLB、iRBDなどのレビー小体病変を有する患者に共通する顔パレイドリアの病態生理を解明する一助となりうる。また、PDを含めたレビー小体病患者の幻視発生における視知覚ネットワークの役割を明らかにすることで、脳深部刺激などの神経調節治療の標的を見出すことが可能かもしれない。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る