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大学・研究所にある論文を検索できる 「Characterization of plasma membrane H⁺-ATPase function in stomatal opening and plant growth」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Characterization of plasma membrane H⁺-ATPase function in stomatal opening and plant growth

丁, 明 名古屋大学

2023.05.08

概要

学位報告4

別紙4
報告番号








論文題目













Characterization of plasma membrane H+-ATPase
function in stomatal opening and plant growth

(植物の気孔開口と成長における細胞膜 H+-ATPase の機能解析)




丁 明

論 文 内 容 の 要 旨
植物の細胞膜 H+-ATPase は、光による気孔開口、根における養分吸収、師部積み込みな
ど、多くの生理現象に関することが知られている。本研究では、これまで詳しく調べられ
てこなかった植物の栄養成長期と生殖成長期に出現する葉における気孔の特徴付けや植物
生産量への影響について、また、イネに細胞膜 H+-ATPase を過剰発現させた時のイネの
表現型解析や、気孔孔辺細胞における主要な細胞膜 H+-ATPase のプロモーターの in silico
解析による発現特性の解析とプロモーター改変をゲノム編集で行うことによる発現制御を
試みた。
植物の栄養成長期と生殖成長期に出現する葉における気孔の特徴付けについて、まず
はシロイヌナズナを用いて解析を行った。栄養成長期に出現するロゼット葉と生殖成長期
に出現する茎生葉の気孔を比較したところ、気孔サイズは、茎生葉ではロゼット葉の気孔
よりも少し小さいにも関わらず、気孔開度は 25%程度大きかった。そこで、気孔開口のキ
ーエンザイムである細胞膜 H+-ATPase のタンパク質量を比較したところ、茎生葉ではロ
ゼット葉の気孔よりも 12%高まっていた。また、主要な細胞膜 H+-ATPase である AHA1
のノックアウト変異体における茎生葉での気孔の表現型を調べた結果、茎生葉の気孔では
ロゼット葉の気孔よりも細胞膜 H+-ATPase のタンパク質量が 32%減少しており、気孔開
度の指標となる気孔コンダクタンスも 30%以上低下し、光合成活性も 30%以上低下して
おり、気孔における細胞膜 H+-ATPase のタンパク質量の増加が茎生葉での有意な気孔開
口促進の原因であることが示唆された。さらに、茎生葉を切り取ることで植物の収量への

学位関係

影響を調べた結果、茎生葉を切り取った植物では、種子の収量が 50%程度に低下し
た。イネでは第6葉まで栄養成長期に出現し、生殖成長期に入ると止め葉と呼ばれ
る葉が形成され、出穂する。そこで、葉齢を揃えて、第2葉と止め葉で気孔特性を
比較した結果、シロイヌナズナの場合と同様に、細胞膜 H+-ATPase に依存して止
め葉の気孔コンダクタンスや光合成活性が有意に高まっていた。さらに、止め葉を
切り取る実験を行ったところ、種子の収量が 35%以上低下していた。以上の結果よ
り、植物の生殖成長期に出現する葉は、気孔の細胞膜 H+-ATPase のタンパク質量
増加することで気孔開口が有意に促進され、光合成活性が高まり、種子への養分転
流に貢献することで種子の収量に多大な影響を与えていることが明らかとなった。
次に、イネの細胞膜 H+-ATPase の役割を明らかにする目的で、細胞膜 H+-ATPase
の過剰発現イネを作出し、根における養分吸収や収量への影響を調べた。その結果、
過剰発現イネでは根からの水素イオン放出量が 80%程度増加しており、イネの主要な
窒素栄養源であるアンモニウムの取り込みが 15%以上増加しており、その他の主要養
分であるカリウム、リン酸、カルシウムなども有意に増加していることが明らかとな
った。さらに野外隔離圃場で生育試験を行ったところ、過剰発現イネは野生株よりも
30%以上収量が増加することが明らかとなった。さらに興味深いことに、過剰発現イ
ネでは施肥する窒素量を半分に減らしても、通常施肥量の野生株よりも有意に収量が
多いことが明らかとなった。
さらに、シロイヌナズナの主要な細胞膜 H+-ATPase である AHA2 のプロモーター
領域の in silico 解析を行ったところ、多くの TATA ボックスやエンハンサーとして機
能する cis エレメントが多く存在することが明らかとなった。次に、AHA2 プロモー
ター上の TATA ボックスや cis エレメントのない場所に 4 ヶ所のガイド RNA を設計
し、ゲノム編集によるプロモーター配列の改変を行った。その結果、10%程度の割合
で、AHA2 のタンパク質量の増加したシロイヌナズナが出現し、それらの植物では、
光による気孔開口、光合成活性が上昇しており、25 日齢の植物で 20%以上のバイオ
マス増加が見られ、最終的な種子収量としては 12%〜43%増加していた。以上の結果
から、AHA2 プロモーター領域のゲノム編集によっても発現タンパク質を増加するこ
とができ、AHA2 のタンパク質量の増加したゲノム編集植物では、気孔開口や光合成
活性が向上し、植物のバイオマスや種子収量が増加することが明らかとなった。

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