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大学・研究所にある論文を検索できる 「Single-nucleus RNA sequencing identified cells with ependymal cell-like features enriched in neonatal mice after spinal cord injury」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Single-nucleus RNA sequencing identified cells with ependymal cell-like features enriched in neonatal mice after spinal cord injury

依藤, 依代 大阪大学

2022.07.31

概要

〔目 的(Purpose)] 成体は組織修復能に乏しく、脊髄損傷後に運動機能障害が遷延する。一方で新生児の組織修復能は高く、脊髄損傷後に著しく運動機能が回復する。成体では損傷局所に瘢痕が形成されるのに対し、新生児では瘢痕形成や激烈な炎症反応は見られず、神経軸索が顕著に再生する。これまでバルクRNAシーケンスにより、成体と新生児では損傷局所の炎症反応に差異があることが示されてきた。また、両者から単離したミクログリアの比較により、瘢痕を形成することなく組織を修復する新生児特有の治癒機構が明らかとなってきた。一方で、新生児では神経幹細胞やアストロサイトが組織学的に変化することが報告されているが、詳細な細胞種の同定には至っていない。そこで本研究では、新生児で特異的に脊髄損傷局所に増加する細胞種を同定することを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕 まず、成体(7週齡)と新生児(I日齢)で脊髄(T10)背側半切断モデルを確立した。それぞれ27G及び31G針を用いて脊髄の中心管を超えるように切断し、損傷の深さが同程度であることを確認した。免疫染色により、損傷部の経時的な変化を確認したところ、成体では脊髄損傷7日後にPDGFRB (platelet, derived growth factor receptor p,線維性瘢痕マーカー)およびGFAP (glial fibrillary acidic protein,反応性アストロサイトマーカー)陽性領域が増加した。一方で新生児では損傷後にこれらの増加は見られなかった。

成体と新生児の損傷部の細胞種を比較するため、損傷7日後の成体・新生児それぞれの非損傷および損傷脊髄から500円箱幅の組織片を切離し、細胞核を単離した。4群の合計5,533個の単一核を用いて、単一核RNAシーケンスを行った。UMAP (Uniform manifold approximation projection)を用いた次元削減により18のクラスターに分類し、既知の細胞マーカー遺伝子を用いて中枢神経の主要な細胞種を定義した。そのなかで、上衣細胞マーカー遺伝子(助れ「)の発現が特異的に上昇している細胞種では、新生児の損傷後の細胞の割合が高かった。この細胞種は神経幹細胞のひとつである放射状グリアのマーカー遺伝子を共有しており、上衣細胞様細胞と定義した。

新生児の損傷後に増加する上衣細胞様細胞の性質を明らかにするために、成体および新生児の非損傷胖の上衣細胞様細胞と比較して発現が上昇した遺伝子について、パスウェイ解析を行った。新生児の損傷群では成体の非損傷群と比較して、幹細胞やシナプス可塑性に関わるパスウェイが上昇していた。また、新生児の非損傷群との比較では、細胞外マトリックスやアポトーシス、血管新生に関わるパスウェイが上昇しており、胎生期の脳の発達や新生児の脳損傷後の修復に関わる分子機構と一致していた。以上より、新生児で損傷により誘発される上衣細胞様細胞は、成体や新生児の生理的な上衣細胞とは異なる性質をもつことが示唆された。

上述の上衣細胞様細胞の局在や特徴を組織学的に検証するために、Ositu hybridizationおよび免疫染色を行った。非損傷脊髄ではEルけ陽性細胞は成体および新生児の中心管に局在し、損傷中心部では新生児でのみE必”陽性細胞が増加していた。新生児の損傷部の脳E「陽性細胞は、そのほとんどが上衣細胞や放射状グリアのマーカーを発現しており、オリゴデンドロサイトや成熟神経細胞のマーカーを発現する細胞は少数であった。さらに、増殖状態にある細胞を同定するためにBrdU(5-Bromo-N-Deoxyuridine)を損傷レ6日後に連日投与し、7日後に免疫染色を行つた。新生児の損傷部の上衣細胞や放射状グリアマーカー陽性の細胞はBrdU陽性であり、損傷7日までに増殖したことがわかった。以上より、新生児では脊髄損傷後に幹細胞性を有するE"如r陽性細胞が増加し、損傷部を修復することが示唆された。

〔総 括(Conclusion)〕単一核RNAシーケンスおよび組織学的解析により、新生児では脊髄損傷部に上衣細胞様細胞が増加することを明らかにした。この細胞種は上衣細胞と放射状グリアの性質を共有し、新生児に特有の幹細胞性を有することが示唆された。今後この細胞種の細胞系譜解析を行うことにより、新生児の脊髄損傷後の修復機構の理解が深まることが期待される。

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