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Structure, absorption, and bioactivities of pyroglutamyl peptides in food protein hydrolysates

Miyauchi, Satoshi 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24678

2023.03.23

概要

Structure, absorption, and bioactivities of pyroglutamyl peptides in food protein hydrolysates
食品タンパク質酵素分解物中のピログルタミルペプチドの構造、吸収および機能
応用生物科学専攻 海洋生物機能学分野
博士課程 3 回 宮内 聡
グルタミンは水溶液中で自発的に環状構造を持つピログルタミン酸へ変化することが知
られている。この反応はアミノ末端にグルタミンを持つペプチドにおいても進行し、ピログ
ルタミル (pyroGlu) ペプチドが生じる。この pyroGlu ペプチドはマサバ可食部、植物貯蔵タ
ンパク質等の食品タンパク質酵素分解物や味噌、醤油、日本酒といった発酵食品に広く含ま
れている。また、pyroGlu ペプチドは経口摂取により様々な生理活性を発揮することが報告
されている。pyroGlu-Leu は、D-ガラクトサミン誘発肝炎モデルにおいて血清 AST 値を改善
する肝保護作用を持つペプチドとして同定された。さらに、pyroGlu-Leu は 0.1 mg/kg 体重
の投与により、デキストラン硫酸ナトリウム (DSS) 誘発大腸炎モデルにおいて、体重の減
少、大腸炎症状、腸内細菌叢の乱れ (dysbiosis) を有意に改善した。近年、pyroGlu-Leu は回
腸において宿主の抗菌ペプチド産生を増加させることで、高脂肪食摂取による dysbiosis を
有意に改善することが報告された。pyroGlu-Leu は食品タンパク質酵素分解物をはじめ、味
噌、日本酒といった発酵食品に広く含まれており、発酵食品などから日常的に摂取すること
で腸内細菌叢の改善を通して健康に有益な作用を発揮することが期待される。しかし、これ
らの発酵食品は塩分やエタノールを含むため、ヒト試験を行うことが困難である。そこで、
これら発酵食品の共通の原料である米を用いて調製した米タンパク質酵素分解物 (RPH)
は、塩分やエタノールを含まない pyroGlu ペプチド源として利用できるのではと考えた。第
1 章では、RPH 中の pyroGlu ペプチドを網羅的に分析し、その消化と吸収の特性を明らかに
した。第 2 章では、RPH による高脂肪食誘発 dysbiosis および腸内細菌代謝物への影響を明
らかにした。第 3 章では、RPH による回腸における宿主抗菌ペプチドの増加、高脂肪食摂
取による肝機能低下の改善を明らかにした。さらに、RPH による腸内細菌の変化が肝機能
改善と関与していることを見出した。
第1章
Metabolic fate of peptides in a rice protein hydrolysate in rat intestine and blood after oral
administration
(米タンパク質酵素分解物中のペプチドの経口投与によるラット腸管および血液における代
謝的動態)
pyrogGlu ペプチドは in vitro エンドプロテイナーゼおよびエキソペプチダーゼ消化に対し
抵抗性を有することが報告されている。しかしながら、酵素分解物の経口摂取後、血中で増
加するものはごく一部であり、pyroGlu ペプチドの消化管における消化および吸収に関して

はいまだ不明な点が多かった。そこで、RPH およびそのエキソペプチダーゼ消化物中から
ペプチドを LC-MS/MS を用いて網羅的に同定し、その後、RPH をラットへ経口投与 (250
mg/kg 体重) し、RPH 中のペプチドがどのように吸収、代謝されるかを調べた。エキソペプ
チダーゼに耐性を持つ pyroGlu ペプチドは RPH 投与後のラット小腸管腔および回腸組織に
おいて増加したが、血中では pyroGlu-Leu, pyroGlu-Lys などのごく一部が増加するのみであ
ることを明らかにした。血中で増加がみられなかった pyroGlu-Gln, pyroGlu-Glu などの
pyroGlu ペプチドもラット小腸抽出物および血漿ペプチダーゼ消化には抵抗性を示したため、
小腸上皮細胞に吸収された後再び腸管に排出された可能性が示唆された。
第2章
Effects of a rice protein hydrolysate on gut microbiota and their metabolites of rats fed high-fat diet
(米タンパク質酵素分解物の高脂肪食摂取ラットの腸内細菌叢および腸内細菌代謝物へ与え
る影響)
これまでに pyroGlu-Leu および pyroGlu-Asn-Ile といった pyroGlu ペプチドが腸内細菌叢を
改善することが報告されているが、単独の合成ペプチドが用いられており食品中の pyroGlu
ペプチド混合物が腸内細菌叢へどのような影響を与えるかは不明であった。第 1 章におい
て、RPH 投与によりエキソペプチダーゼ抵抗性 pyroGlu ペプチドが小腸で増加し、一部は
血液でも増加することため、pyroGlu ペプチド含む RPH 経口摂取が腸内細菌叢へ与える影
響を明らかにすることを目的とした。5 週間の RPH 投与 (100 mg/kg 体重/日) により、高脂
肪食摂取ラットの糞便中 Proteobacteria 門の増加を有意に改善し、細菌種レベルにおいても
12 種の占有率を変化させた。また、ラット盲腸内容物中において高脂肪食摂取により腸内
細菌代謝物である酢酸、プロピオン酸、酪酸といった短鎖脂肪酸および N-アセチルイソロ
イシン、N-アセチルロイシン、N-アセチルフェニルアラニンといった N-アセチルアミノ酸
が減少しており、RPH の投与により N-アセチルアミノ酸量が一部増加する傾向が見られ、
この変化は腸内細菌叢の変化と関連していることが示唆された。
第3章
A rice protein hydrolysate increased host antimicrobial peptides in ileum of mice fed high-fat diet
(米タンパク質酵素分解物は高脂肪食摂取マウスの回腸において宿主抗菌ペプチドを増加さ
せる)
第 3 章では、動物種をラットからマウスに変え、RPH による回腸の宿主抗菌ペプチド、
高脂肪食摂取による肥満、腸内細菌叢への影響を明らかにした。12 週間の RPH 投与 (500
mg/kg 体重/日) により、高脂肪食摂取マウス回腸において、マウス抗菌ペプチドである
cryptdin の前駆体ペプチドが増加する傾向がみられた。さらに、高脂肪食摂取による肝重量
および血中 ALT の増加が改善した。RPH 投与が盲腸内腸内細菌叢において Lactobacillus
reuteri および L. taiwanensis の高脂肪食摂取による増加を有意に抑制した。これらの腸内細
菌の占有率と肝重量および血中 ALT 濃度との間に有意な正の相関がみられた。先行研究に
おいて L. taiwanensis の腸内細菌叢での増加が肝臓への脂肪蓄積に関与するとの報告もあり、

これらの結果から、RPH 投与により宿主抗菌ペプチドが増加することで dysbiosis を改善し、
高脂肪食による肝機能の低下を改善したと示唆された。 ...

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