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大学・研究所にある論文を検索できる 「冠動脈MRアンギオグラフィーにおける圧縮センシング撮像の有用性」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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冠動脈MRアンギオグラフィーにおける圧縮センシング撮像の有用性

髙橋 順士 東北大学

2021.09.24

概要

圧縮センシング磁気共鳴画像法 (compressed sensing magnetic resonance imaging: CS-MRI) は、今日臨床にて多くの撮像部位に応用され、特に、磁気共鳴血管撮像法 (MR angiography: MRA) は、対象とする血管画像のスパース性が高いため CS 再構成の良い適応と考えられる。しかし、非線形の画像処理を行っている CS-MRI の画質評価には、臨床画像を用いた評価や 3T 装置と従来の 1.5T 装置と比較した視覚評価を中心とした報告が多く、ファントムを用いた基礎的な報告は少ない。そこで、CS-MRI の技術的な検討をノイズ特性や解像度特性についてファントムを用いて行い、技術的検討を踏まえて臨床画像を対象とした画質評価を行った。

一般に、MR 画像では単純な指標である信号対雑音比が、ノイズ評価に広く使用されている。しかし、一関らは、プロペラ MR 画像の特性をノイズパワースペクトル (noise power spectrum: NPS) を用いて評価し、さらに、k 空間データの不均一なサンプリングを反映した画像再構成プロセスの一部を視覚化したと報告した。本研究ではランダムアンダーサンプリングと非線形反復再構成を使用する CS-MRI のノイズ特性を明らかにするため、高速化係数(acceleration factor: AF) とノイズ除去係数 (denoising factor: DF) を変化させて NPS を測定し、従来のパラレル MR 画像と比較した。その結果は、CS-MRI の 2 次元 NPS が次の特性:1)低周波領域で局所的に減少し、2)高周波領域で徐々に減少していき、3)位相エンコード方向には、不等間隔のストライプパターンがみられた。さらに、1 次元 NPS グラフの形状により、CS-MRI のノイズ特性の AF 依存性と DF 依存性を数値化し、評価することができた。次に、CS-MRI の解像度特性の基礎的検討について血管ファントムを用いて行った。AF と DF のパラメータを変えながら血管ファントムを撮像し、そのプロファイルを計測し、その形状、半値幅、シャープネスとコントラスト比をそれぞれ比較した。AF 6 倍速以上では画質の劣化やプロファイルカーブの変化が認められたが、半値幅、シャープネスとコントラスト比の変化は少なかった。また、DF を変化させても各測定結果に大きな差はみられなかった。しかし、コントラスト比は、DF の強度が強くなるにつれて、高くなる傾向であることがわかった。

最後に、CS-MRI の基本的なノイズ特性と解像度特性を踏まえて、臨床例にて冠動脈 MRA を撮像して血 管プロファイル解析とノイズ量の測定を行った。臨床例では、AF は 5 とし、DF 依存性について血管プロ ファイルカーブから半値幅、シャープネスとコントラスト比を求めて比較した。DF が変化してもこれらの 測定結果に大きな差はみられなかったが、コントラスト比は、DF 強度が強くなるにつれて若干低くなる傾 向になった。また、ノイズの指標である信号値の標準偏差を用いた冠動脈 MRA の元画像(3 次元収集して 直接得た 2 次元画像を元画像と呼ぶ)の検討では、大動脈と背景組織の標準偏差が、DF の強度が強くなる につれて明らかに低下した。CS-MRA では、DF 依存性としてノイズ除去効果と画像信号を平滑化して信号 のばらつきを抑える効果があることが考えられた。本研究結果から、基礎的検討では、CS-MRA の撮像パ ラメータで重要である AF 依存性と DF 依存性を明らかにでき、臨床例では、DF を強めに設定することで SNR の改善がみられた。冠動脈 MRA 撮像に圧縮センシングを応用することは、撮像時間短縮と画質を両 立させることができ、撮像時間短縮に伴う画質の劣化を抑えた撮像として有用な方法であることが示された。

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