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大学・研究所にある論文を検索できる 「Nailfold capillaries and myositis-specific antibodies in anti-melanoma differentiation-associated gene 5 antibody-positive dermatomyositis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Nailfold capillaries and myositis-specific antibodies in anti-melanoma differentiation-associated gene 5 antibody-positive dermatomyositis

杉本 智裕 広島大学

2021.11.25

概要

全文要約
抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎における爪郭部毛細血管異常と筋炎特異抗体
広島大学病院 リウマチ・膠原病科 杉本智裕
皮膚筋炎では、多くの筋炎特異的自己抗体が報告されており、それぞれが特定の臨床表現型
と強く関連している。Anti-melanoma differentiation-associated gene 5(MDA5)抗体陽性
の無筋症性皮膚筋炎(CADM)は、急速進行性の呼吸器疾患と強く関連し、予後不良と言わ
れている。高用量ステロイド、カルシニューリン阻害剤、およびシクロホスファミド静注療
法を併用した治療は、これらの患者群の生命予後を大幅に改善したことが報告されている。
しかし、実際の診療では臨床経過にはばらつきがあり、救命のために血漿交換までが必要な
症例もあれば、免疫抑制剤を複数使用しなくても改善する症例もある。これまで、治療前に
抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎患者に必要な免疫抑制療法の強度を予測する方法は確立されて
いない。抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎患者のクラスター分析により、急速進行性の間質性肺
疾患の患者群よりも予後が良好な重症皮膚血管障害患者群が抽出されたため、我々は血管
異常を評価することの重要性に焦点を当てた。爪郭部毛細血管鏡検査(Nailfold videocapillaroscopy:NVC)は、全身性強皮症などの自己免疫疾患で広く使用されている非侵襲
的手法である。爪郭部毛細血管(Nailfold capillary:NFC)の異常は、抗 MDA5 抗体陽性皮
膚筋炎患者の 87.5%で観察されたという報告がある。また、抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎患
者の NFC 異常は、免疫抑制治療によって改善されることが報告されている。最近、NFC 所
見と血管関連成長因子との関連が報告されている。複数の報告は、全身性強皮症患者におけ
る NFC の所見が血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)と相関し
ていることを示しており、NFC の形成におけるこれらの増殖因子の重要な役割を示唆して
いる。しかし、VEGF 値は健康対照群よりも皮膚筋炎の患者で高かったが、NFC の所見と
は相関していなかったとの報告がある。一方、皮膚筋炎において、インターフェロンやバイ
オマーカーが疾患活動性と関連し、治療する事で改善する報告もある。皮膚筋炎の患者では、
NFC 所見と血管関連成長因子との関連を明らかにすることは重要であるが、まだ十分にわ
かっていない。
我々の知る限り、複数の未治療皮膚筋炎患者に対して NFC 異常の短期間での変化を評価し
た報告はない。したがって、抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎患者の NFC 異常がどれくらいの
期間で正常化するかはわかっていない。さらに、抗 MDA5 陽性皮膚筋炎患者の NFC 異常
を定量化し、血管関連成長因子を含む臨床パラメーターとの関連を評価した報告はない。
そのため、我々は抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎患者の NFC 異常が正常化するまでの期間を
評価した。加えて、NFC の異常が抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎患者の疾患活動性を予測でき
るかどうかを調査した。さらに、抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎患者において、NFC の異常と

血管関連の成長因子との関係、および治療前後の変化を調査した。
Bohan と Peter の基準または Sontheimer の基準を満たした抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎
患者を研究対象とした。10 人の患者が抽出され、胸部 CT で全例に間質性肺炎を認めた。
治療は高用量プレドニゾロン、シクロホスファミドとタクロリムスが投与された。臨床経過
で重症と評価された 2 人の患者に血漿交換が行われた。NFC の異常は NVC を使用して評
価した。ⅰ) 拡大した毛細血管(直径> 20 µm)
、ⅱ)巨大毛細血管(直径> 50 µm)
、ⅲ)
出血の 3 項目をスコア化し、各々の症例で正常化するまで続けた。また、日常診療で用いら
れる血液検査所見(フェリチン、KL-6、抗 MDA5 抗体を含む)及び、努力肺活量(FVC)
を診療録から抽出した。さらに、10 人の患者(治療前及び治療後)と 10 人の健常対照群の
血清バイオマーカーを LEGENDplex Multi-Analyte Flow Assay Kit Human Growth Factor
Panel(Biolegend)により測定した。
観察期間中に抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎の患者 12 人が特定されたが、入院時の人工呼
吸器管理のため 2 人は除外された。5 人の患者は女性だった。年齢の中央値は 49 歳(36.8–
52)だった。皮膚病変を含む臨床症状の発症から治療開始までの期間は 3.8 ヶ月(1~7)だ
った。すべての患者は、ゴットロン徴候と爪周囲紅斑を認め、逆ゴットロン徴候は 8 例で認
めた。8 人の患者で関節炎を認め、3 例は RF 陽性だった。3 例は抗 CCP 抗体陽性だった。
抗 SS-A 抗体陽性患者はいなかった。
観察期間中に死亡は発生しなかった。胸部 CT により、
10 人の患者すべてに間質性肺疾患を認めた。2 人の患者で血漿交換が行われた。
治療前の NFC 異常は 9 例で観察され、治療開始から 2〜17 週間で正常化した。NVC ス
コアは抗 MDA5 抗体価(R2=0.859、p <0.001)およびフェリチン(R2=0.505、p = 0.021)
と逆相関し、FVC(R2=0.545、p = 0.015)と正の相関を認めた。患者血清中の血管関連成
長因子は、治療前の angiopoietin-2、EGF、EPO、G-CSF、GM-CSF、HGF、M-CSF、SCF、
VEGF の値は健常対照群よりも有意に高かった。患者の治療前後の血清を用いて、これら 9
つのバイオマーカーの変化を調査した結果、angiopoietin-2 と epidermal growth factor
(EGF)の値は治療後に減少した。さらに、これらの血清バイオマーカー(治療前)と NVC
スコアや抗 MDA5 抗体価との関係を分析した。macrophage colony-stimulating factor (MCSF)および stem cell factor (SCF)値は NVC スコアと逆相関する傾向を認めたが、有意差
はなかった(p = 0.053 および p = 0.068)
。また、抗 MDA5 抗体価と M-CSF および SCF
値の間には正の相関を認めた(R2=0.489、 p= 0.024 および R2=0.672、p = 0.004)

本研究では、抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎において、下記の 3 つの事実を明らかにした。
1)治療により NFC 異常は 2〜17 週間で改善される、 2)NVC スコアは活動性マーカーと
して報告されている抗 MDA5 抗体価やフェリチン値と逆相関する、3)治療前の血清中の
M-CSF と SCF レベルは抗 MDA5 抗体価と正の相関関係を示すことである。
以上の結果から、NFC 所見は治療修飾を受ける可能性が高く、治療開始前の評価が重要
であることがわかった。抗 MDA5 抗体価やフェリチン値は重症度が高い患者で高い事が知
られており、NVC スコアが低い症例の方が予後不良と予測され、積極的な治療介入が必要

と考えられた。M-CSF と SCF は、疾患活動性を反映している可能性があり、疾患メカニズ
ムにも関連している可能性がある。今後さらなる研究が求められる。

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