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死後CT画像での溺死画像診断における人工知能の有用性についての研究

小河原, 輝正 東北大学

2023.03.24

概要

博士論文

死後 CT 画像での溺死画像診断における人工知能の有用性についての研究

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻
公共健康医学講座

法医学分野
小河原輝正

1

1 要約
[背景]
法医学において、溺死診断は重要課題の一つである。即ち剖検上、溺死特異的な所
見は無く、溺死診断は除外診断にとどまるためである。死後変化の進んでいない死体
であれば、肺の computed tomography (CT) 画像で溺水吸引の有無は指摘可能といわ
れているが、それには死後画像読影の経験豊富な放射線専門家の手によることが必須
であり、わが国ではそのような専門家は非常に少ない。さて近年、人工知能 (artificial
intelligence: AI) の画像認識性能が格段に向上し、AI が放射線診断医と同等あるいは
それ以上の画像診断能力を示したという報告が散見されるようになってきている。死
後画像における AI の診断能力に関しては未だ少数の報告しかないものの、AI の有す
る能力の高さが示されており、AI による溺死診断の補助検査としての有用性が期待
できる。そこで本研究では、水中死体の死後胸部 CT 画像における AI の溺死画像診
断能力の検証を目的とした研究を行った。

[方法]
試料として、東北大学大学院医学系研究科オートプシー・イメージングセンターで
2012 年 6 月から 2021 年 1 月の間に死後 CT 検査をした連続症例から、剖検で溺死と
診断された男性 95 例、女性 58 例を溺死群として抽出し、また非溺死群として男性
101 例、女性 59 例を抽出した。抽出にあたり、腐敗進行例、高度の胸部・肺損傷例、
2

乳幼児例、低体温症による死亡例を除外した。用いた CT 装置は 8 列あるいは 64 列
のマルチスライス CT(Aquilion; Toshiba Medical Systems, Tokyo, Japan)である。
画像サイズは 512 × 512 で、各症例の胸部 High Resolution CT (HRCT) 画像を解
析に使用した。4 列同時収集、画像スライス厚 1.0 mm、30 mm 間隔のコンベンショ
ナル撮影で、コンベンショナル撮影箇所は症例により 5~9 段となった。AI モデルに
は AlexNet を用い、本研究では全結合層の最後の層を人工ニューロン二つと置き換
え、その重みをランダムに初期化した。解析にあたり、本研究での症例数は限られて
いるため、ImageNet を用いた転移学習と、10 分割交差検証を用いた。10 分割交差検
証における計 10 回の検証結果それぞれについて受信者動作特性曲線を求めその曲線
下面積(area under the curve: AUC)を算出し、これを AI 性能の評価指標とした。

[結果]
溺死例 153 例中 132 例が溺死に、21 例が非溺死(偽陰性)に分類された。また非
溺死例 160 例中 146 例が非溺死に、14 例が溺死(偽陽性)に分類された。すなわち
感度は 86.3%、特異度は 91.3%である。また 10 回の交差検証結果における AUC を
相加平均すると 0.95 (0.90–1.00、中央値 0.96)であった。偽陽性・偽陰性を生じた原
因の検討にあたり、心肺蘇生術の有無に注目したところ、心肺蘇生術が行われた場合
に溺死例・非溺死例のいずれにおいても AI 診断性能が低下した。

3

[結論]
死後胸部 CT 画像における、AI の高い溺死診断能力が示唆された。このことは AI
が溺死診断における有力な補助検査となり、死後画像の読影専門家不足を補完する手
立てになるものと期待できる。ただ現時点で、AI がどのように溺死・非溺死の診断を
下しているか不明である。少なくとも輸液を含めた強力な蘇生行為が行われている症
例に関しては、AI による画像診断結果は参考にすべきではないものと思われる。

4

2 研究背景
2019 年の厚生労働省統計

1)

によると、交通事故を含めた不慮の事故による死亡者

数 39,184 人中、溺死者数は 7,690 人(19.6%)と事故死の約 5 人に1人が溺死であ
る。ちなみに自殺に関しては全自殺者 19,425 人中、溺死は 578 人(3%)にとどまっ
ている。なお不慮の事故に分類された溺死者数の 74.0%(5,690/7,690)が浴槽内での
溺死であり 1)、わが国で溺死者数が多い理由の一つが、湯を満たした浴槽に入る習慣
のためであろう 2, 3)。なお World Health Organization(WHO)の報告によると先進国
の中でもわが国は溺死者数が多く、Organisation for Economic Co-operation and
Development(OECD)加盟国の 38 か国中、人口 10 万人当たりの溺死者数はバルト
三国に次いで 4 番目に多い 4)。
ところでわが国では死体が自宅や屋外などで発見されると、明らかに病死と診断さ
れた場合を除き、すべて異状死体として警察などの捜査機関が取り扱う。特に水中死
体は死後遺棄の可能性があり、屋外で発見された水中死体の多くは法医解剖される。
一方で高齢者の自宅浴槽内死亡では、発見が早く、かつ捜査機関が犯罪の可能性がほ
とんどないと判断した場合に、鼻口に泡沫があれば溺死、なければ心臓性突然死とい
った診断がされ、結果、解剖されない 5)。
もっとも溺死した場合において特異的な所見は無く、剖検したとしても溺死は除外
診断にとどまる

6-9)

。もちろん多くの溺死体に伴いやすい所見はいくつか知られてお

り、例えば肺水腫とそれに伴う気道内の細小泡沫、気道内の砂や泥などの異物、多量
5

の胸水貯留、諸臓器内の珪藻などがある 6-9)。したがって法医解剖では、水中で発見さ
れた死体にこれらの所見のいくつかが見られ、他に致死的な所見がなければ、溺死と
診断されることになる。しかし肺水腫とそれに伴う気道内の細小泡沫は、心大血管疾
患による急死や薬物中毒、頚部圧迫などでも稀ならず観察されることから溺死特異的
なものではない

6-9)

。そもそも多数の解剖経験を有する法医医師でも肺水腫の成因を

肉眼所見で細かく区別することは難しい。また気道末梢における砂や泥の存在は溺水
吸引の証明にはなるものの、これらが認められる症例自体は少ない 9)。多量の胸水貯
留は死後ある程度の時間経過が必要であり、腐敗を伴い易い。臓器からの珪藻検出は
一見有用な検査のようだが、しばしば目撃者がいて明らかな溺水吸引死亡にもかかわ
らず珪藻が検出されないことがあり、一方で死後の水の体内侵入や手技汚染による偽
陽性結果といった問題のため、未だにその診断意義が確立されていない 6-9)。
このように肉眼所見での溺死診断は難しい一方、死後 computed tomography(CT)
画像では溺水吸引に特徴的な所見が肺で見られるという報告がある。Usui ら

10)

によ

れば溺死体の肺画像所見は複数のパターンに分類でき、その中で間質の肥厚を伴うす
りガラス影が主体であるパターンと、小葉中心性の淡い粒状・斑状影が気道散布様に
分布しているパターンとが多いという。彼らは筆者が所属する東北大学医学系研究科
のスタッフであるが、上述の Usui のように死後 CT 画像の読影経験が十分な専門家
であれば、画像所見から溺水吸引の有無が十分判別可能であるということになる。し
かし、わが国では死後画像読影の専門家が絶対的に不足している。NPO 法人日本法
6

医学会の報告

によると、死後画像を放射線診断医が読影している機関は回答のあ

11)

った 31 機関中 16 機関のみであり、かつその機関の読影者(必ずしも放射線診断医や
放射線技師ではない)がどの程度、死後画像の読影スキルがあるのかは不明である。
また仮に死後画像の読影経験の豊富な放射線専門家が施設に所属していたとしても、
読影日が剖検日であるとは限らない。すなわち死体の CT 撮影後直ちに読影経験豊富
な放射線専門家が読影し、法医医師にフィードバックしているのは東北大学を含め、
ごく一部の施設だけである。わが国では低い法医剖検率を引き上げる対策として、平
成 26 年 6 月 13 日に死因究明等推進計画を閣議決定し

12)

、この中の重点的施策の一

つに「死亡時画像診断その他死因究明のための科学的な調査の活用」がある。しかし
仮に国や地方自治体の財政的措置によって CT 装置の充実が為されたとしても、死後
画像診断の放射線専門家不足が解消されない限り、溺死診断を含めた死因究明の劇的
な改善にはほど遠いものと思われる。
この死後画像読影の放射線専門家不足を補う手立ての一つが、人工知能(Artificial
Intelligence: AI)の利用である。現在 AI は第三次ブームを迎えており、とりわけ放射
線診断領域ではコンピュータ支援診断が大きな研究分野となっている

13-18)

。例えば、

胸部X線写真での結核検出において AI が放射線診断医と同等の診断能力を示した報
告 19)や、胸部 CT での気胸検出において AI が高い診断能力を示した報告 20)などがあ
る。現在の AI ブームを支えているのは、コンピュータ性能の大幅な向上と深層学習
という手法の進歩である 17)。深層学習が注目を浴びたきっかけは、Krizhevsky らがド
7

ロップアウトやデータ拡張などの技術で深層学習モデルを改良し、2012 年に AI の画
像認識コンテストで勝利したことである 16, 21)。深層学習の特筆すべき点はその性能の
高さだけではなく、データの特徴を AI 自らが学習し抽出する点である 22)。すなわち
従来のようにデータの特徴を AI の開発者が決定・入力する手間が無くなったのであ
る 22)。さて画像分類に深層学習を用いる手法の研究は法医学分野でも試みられている。
例えば心嚢血腫の検出
27)

23)

、骨による性別推定

24, 25)

・年齢推定

26)

、頭蓋内損傷の特定

、肉眼臓器写真の分類 28)、散弾銃発砲後の散弾パターンによる発砲距離の推定 29)な

どに AI が用いられ、いずれの報告でも AI は概ね高い画像分類性能を示している。も
し AI が溺死についても高い画像診断性能を有するならば、溺死における有用な補助
検査となるだけではなく、死後画像の専門家不足を補う一手にもなりえよう。

8

3 研究目的
本研究では死後 CT 画像に関し、深層学習を用いた AI が溺死診断補助検査となり
うるかどうか、その診断能力ならびに現状での限界について検証する。

9

4 研究方法
4-1 試料
溺死群・非溺死群ともに、東北大学大学院医学系研究科オートプシー・イメージン
グセンターで 2012 年 6 月から 2021 年 1 月の間に死後 CT 画像検査をされ、かつ 30
年以上の法医解剖経験を有する法医医師が解剖し、死後 CT 画像読影を多数経験して
きた放射線診断医による読影結果や捜査機関からの情報などを加味した上で死因診
断をされた連続症例を用いた。ただし両群とも抽出にあたり、腐敗進行例、高度の胸
部・肺損傷例、乳幼児例を除いた。腐敗や胸部損傷が強いと胸部 CT 画像に大きな修
飾が加わり、また乳幼児は成人との体格差のため CT 画像の撮影条件が異なるからで
ある。さらに非溺死群からは、低体温症を死因とした症例も除いた。低体温症で死亡
した場合、死後 CT 画像で肺野の CT 値上昇がほとんど認められないからである

30)



溺死群には、解剖結果から溺死と診断された 153 例を抽出した。この性別の内訳は
男性 95 例(18~93 歳、年齢不詳を 2 例含む)、女性 58 例(37~96 歳)である。一
方で非溺死群には 160 例を抽出し用い、この性別の内訳は男性 101 例(19~91 歳、
年齢不詳を 1 例含む)、女性 59 例(8~91 歳)であり、死因の内訳は、虚血性心疾患
を含めた心臓関連死 49 例、溺水を除く窒息 19 例、感染症 16 例、頭蓋内損傷 15 例、
薬物中毒 15 例、失血 11 例、アルコール性あるいは糖尿病性などによるケトアシドー
シス 11 例、その他 24 例である(表 1)。なお心肺蘇生術を受けた症例が、溺死群に
29 例、非溺死群に 48 例含まれている。
10

本研究は東北大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認(2020-1-466)を得ておこ
なった。

4-2 CT 撮影装置ならびに撮影条件
東北大学大学院医学系研究科オートプシー・イメージングセンターで上記期間に用
いた CT 装置は 8 列あるいは 64 列のマルチスライス CT(Aquilion; Toshiba Medical
Systems, Tokyo, Japan)である。今回使用した 2 種類のマルチスライス CT は同じメ
ーカー製で、同じ画像再構成機能を有している。また、同じ 1 mm × 4 列のスライ
ス構成モードで CT 撮影を行ったため、画質に差はない。画像サイズは 512 × 512
で、胸部の高分解能 CT(High Resolution CT: HRCT)画像を用いた。上記施設にお
ける HRCT の撮影条件は、管電圧 120 kVp、管電流 200 mAs、M-sized field of view、
再構成関数 lung kernel settings、4 列同時収集(1 段につき 1 mm 間隔で連続 4 枚を
撮影)
、画像スライス厚 1.0 mm、30 mm 間隔のコンベンショナル撮影で、コンベンシ
ョナル撮影箇所は症例により 5~9 段と異なる(図 1)。胸腔を含まない胸部 HRCT 画
像は使用しなかった。なお 4 列収集ではあるものの、データの欠損により肺底部画像
が 2 枚の症例、3 枚の症例がそれぞれ 1 例ずつ存在した。

4-3 解析方法
AI モデルとして、深層畳み込みニューラルネットワークモデルの中でも最も基本
11

的なモデルの一つである AlexNet21)を使用した(図 2)。このモデルは五つの畳み込み
層、三つのプーリング層、三つの全結合層から成る 15, 21)。畳み込み層では入力画像の
演算処理により、画像の特徴が抽出される 31, 32)。プーリング層では画像の特徴を保ち
つつデータ量を減らすことにより、画像上で特徴の位置が多少変化しても AI が特徴
を認識できるようになる 31, 32)。全結合層はプーリング層で得られたデータを集約・処
理し、入力画像がどの分類に属するのかを数値として出力する

31, 32)

。AlexNet では

1000 通りの分類ができるよう、全結合層の最後の層(出力層)は 1000 個の人工ニュ
ーロンから成る 21)。本研究では AI モデルが溺死・非溺死の二分類に対応できるよう、
AlexNet の全結合層の最後の層を人工ニューロン二つと置き換え、その重みをランダ
ムに初期化した。本研究では、入力画像の溺死らしさを表す AI の出力値を画像の溺
死確率と定義した。画像の溺死確率は 0 以上、1 以下の値で、溺死の画像らしいほど、
1 に近い値となる。そして画像ごとに溺死確率を算出し、最終的な症例単位での溺死・
非溺死判定においては、症例画像の溺死確率の相加平均値を用い、0.50 以上であれば
溺死判定、0.50 未満であれば非溺死判定とした。単純に画像の溺死確率 0.50 は、画
像の溺死らしさと非溺死らしさが同等なことを意味するからである。そして考察の項
で述べる様に、溺死例と非溺死例との確率分布を比較すると、0.50 を基準にすること
に大きな問題はなかった。なお解析には GPU(NVIDA GeForce RTX 2080 Ti)を搭
載したワークステーションを使用し、深層学習のフレームワークには Pytorch(1. 7.
1+cu101)を用いた。損失関数にはバイナリクロスエントロピーを、学習法には
12

Adam33)をそれぞれ使用し、ハイパーパラメーターは実験的にそれぞれ学習回数 80、
学習係数 0.01、重み減衰 0.001 とした。深層学習のスクリプトは付録 1 の通り。CT
画像の前処理として、CT 値の中央値を基準に諧調値の幅で正規化処理をおこなった。
本研究で扱う症例数には限りがあるため、転移学習済みのモデルを使用した。転移
学習とは、別途用意した多数のデータでの訓練により、AI モデルのデータ認識能力を
あらかじめ高めておく手法であり、限られたデータから高性能のモデルの作成と学習
時間の短縮を可能とする 13, 17)。一般に深層学習では膨大な訓練データ量を必要とする
が、医学の分野で多量の画像を入手することは困難であり 34)、これは症例数が限られ
る法医解剖例でより顕著である。そこで本研究では、ImageNet35)という多量の画像デ
ータで事前学習済みの AI モデルを用いた。
加えて、10 分割交差検証を用い解析をおこなった。10 分割交差検証とは、サンプ
ルデータをおよそ等しく 10 グループに分割し、10 グループ中9グループを用い AI
に学習させてから残りの1グループについて検証させることを、各グループが 1 回ず
つ検証されるよう、計 10 回おこなうことである 36)。本研究のように標本データが少
ない場合、ランダムにデータを抽出したとしても抽出データに偏りを生じるおそれが
ある。そこで各データを等しく AI の学習・検証に使用し、かつ検証回数を増やすこ
とにより、データ抽出の際に生じうるデータの偏りを減らすことができる 36)。本研究
では溺死と非溺死の両群につき、症例単位でおおむね均等な 10 グループに分けた。
すなわち 1 グループにつき溺死例が 14~16 例、非溺死例が 16 例である。計 10 回の
13

交差検証結果それぞれについて、AI モデルの性能を評価するため受信者動作特性
(receiver operating characteristic: ROC)曲線を作成の上、その曲線下面積(area under
the curve: AUC)を算出した。ROC 曲線とは縦軸を真陽性率(感度)、横軸を偽陽性
率(1 - 特異度)とした曲線であり、AUC は検査性能の指標として医学研究でよく
使用されている 37)。
なお解析結果における画像・症例ごとの検討において、AI が算出した溺死確率と、
解剖執刀医が作成した剖検記録、発見状況など捜査機関によって提供された情報、死
後 CT 画像読影を専門とする放射線診断医が作成した読影レポートないし本研究にあ
たり改めて読影・指摘した内容などとを比較した。また心肺蘇生術の有無による偽陽
性・偽陰性率の有意差の検定には二項検定を用い、有意とする p 値を 0.05 以下とし
た。

14

5 研究結果
先に述べたように、本研究では症例ごとの溺死・非溺死の判定に、コンベンショナ
ルで撮影された胸部スライス画像の溺死確率の相加平均値を用い、0.50 以上を溺死、
0.50 未満を非溺死と定義した。その結果、溺死例 153 例中正しく判定されたのが 132
例、誤判定(偽陰性)が 21 例であった(図 3)。一方、非溺死例 160 例中、正しく判
定されたのが 146 例、誤判定(偽陽性)が 14 例であった。よって感度は 86.3%、特
異度 91.3%となる。さらに 10 分割交差検証における 10 回分の検証結果について、
それぞれ ROC 曲線を求めた(図 4)。この 10 個の ROC 曲線それぞれについて AUC
を算出したところ、AUC の相加平均は 0.95(0.90–1.00、中央値 0.96)であった。
また、本研究の AI 判定結果と放射線診断医の読影結果を比較するため、解析に用
いた症例につき東北大学大学院医学系研究科オートプシー・イメージングセンターの
放射線診断医が作成した読影レポートを調べた。溺死例で読影レポートが作成されて
いた 151 例中 150 例で肺野の陰影が指摘されていた。残る 1 例では肺野の陰影につ
いてはコメントされていなかったが、溺水吸引を示唆する気道末梢の異物・副鼻腔内
の液体貯留・胸水貯留を指摘されていた。肺野の陰影が指摘された 150 例中、溺水吸
引と判定されたのが 19 例、溺水吸引の可能性があるとされたのが 33 例、溺水吸引が
否定できないとされたのが 1 例、溺水吸引としては非典型とされたのが 1 例、評価困
難とされたのが 6 例、陰影の存在を指摘するにとどまったのが 90 例であった。非溺
死例で読影レポートが作成されていた 152 例中、肺野の陰影が指摘されたのが 137
15

例、陰影がみられない、ないしほとんどみられないとされたのが 8 例、陰影に関しコ
メントされなかったのが 7 例であった。なお非溺死で肺野の陰影を指摘された 137 例
中、1 例は心肺蘇生術後ならびに蜂巣肺のため評価困難とされ、残る 136 例中、陰影
の原因に関し死後変化・炎症・心肺蘇生術の影響などコメントをされていたのは 55
例であった。読影レポートにおいて、溺水吸引の可能性を指摘された非溺死例は存在
しなかった。
さて本解析結果の検討にあたり、症例における心肺蘇生術の有無に注目する必要が
ある。心肺蘇生術により心大血管内や肝臓内のエアー、消化管の拡張、肋骨や胸骨の
骨折、輸液による肺水腫などが出現することがあり 10, ,38, 39)、実際に解剖所見でも心肺
蘇生術の時間が長いほど肺の含気は失われ、かつ輸液量が多いほど肺の水腫所見は強
くなるからである。そこで心肺蘇生術の有無による AI 溺死判定への影響を調べるた
め、何らかの心肺蘇生術を受けた 77 症例(以下心肺蘇生術後例)につき真陽性、偽
陰性、真陰性、偽陽性例を抽出したところ、それぞれ 21 例、8 例、41 例、7 例であ
った。すなわち心肺蘇生術後例における感度は 72%、特異度は 85%にそれぞれ低下
した。さらに心肺蘇生術後例、非心肺蘇生術後例それぞれにおいて、我々のモデルが
正しく判定した症例数の割合は、81%(62/77)、92%(216/236)であり、心肺蘇生
術後例の方が判定を誤りやすくなる傾向がみられた。そこで二項検定によりこの両者
の差を検定したところ、有意差を認めた(p < 0.05)。
偽陽性・偽陰性と判定された症例のうち、心肺蘇生術を受けた症例をそれぞれ一例
16

ずつ以下に示す。症例 1(図 5)は 1 時間にわたり心肺蘇生術を受けた症例であり、
非溺死例(消化管穿孔による腹膜炎で死亡した例)にもかかわらず溺死確率が 0.78 で
あり AI では溺死と診断されることになる。さらに画像ごとの溺死確率を見ると、大
部分が肝臓と胃で占められている最下段の 4 画像(0.10–0.20)を除き、残り 20 画像
では 0.77–1.00 と溺死判定をされている。症例 2(図 6)は最終生存確認時刻から約
1.5 時間後に用水路で水没しているのを発見され、救急搬送されたもののその 1 時間
後に死亡した。解剖では左肺が 620 g、右肺が 790 g と重く、含気とともに高度な水
腫を呈していた。 ...

この論文で使われている画像

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of decision support systems driven by artificial intelligence: DECIDE-AI. Nat Med 2022;

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40

9 図

図 1 胸部死後 HRCT 撮影の模式図

コンベンショナル撮影を 30 mm 間隔でおこなう。各撮影では連続した 4 画像が得

られる。画像のスライス厚は 1 mm である。なお撮影箇所を本論文では便宜上「段」

と表現し、肺尖部から順に 1 段目、2 段目と数える。

41

図 2 本研究で使用された AI モデルの構造・データ処理の概要

本研究では溺死・非溺死の二分類を目的とするため、AlexNet の最後の全結合層

は 2 個の人工ニューロンで置き換えられている。画像 1 枚ごとに、矢印の向きに情

報が処理され溺死確率が算出される。なお AI の学習(訓練)では、溺死確率と教師

データ(剖検診断結果)との差が少なくなるよう、畳み込み層と全結合層のパラメ

ーターが調整される。

42

(人)

80

溺死

非溺死

70

60

50

40

30

20

10

0-0.1

0.1-0.2

0.2-0.3

0.3-0.4

0.4-0.5

0.5-0.6

0.6-0.7

0.7-0.8

0.8-0.9

0.9-1.0

溺死確率(%)

図 3 溺死全 153 例・非溺死全 160 例の溺死確率ごとの分布

43

図 4 10 分割交差検証における計 10 回の検証結果それぞれの受信者動作特性曲線・

曲線下面積

44

図 5 症例 1 の死後胸部 HRCT 画像

剖検診断は消化管穿孔による腹膜炎であるが、症例の溺死確率 0.78 と偽陽性を示

した心肺蘇生術後例である。なお各画像の下に記した数値は画像の溺死確率であ

る。

45

1段目

0.06

0.04

0.04

2段目

0.04

0.09

0.52

0.10

3段目

0.06

0.33

0.11

0.30

4段目

0.23

0.75

1.00

1.00

5段目

1.00

0.00

0.00

0.00

6段目

0.00

0.00

0.00

0.00

7段目

0.00

0.36

0.13

0.77

0.84

図 6 症例 2 の死後胸部 HRCT 画像

剖検診断は溺死であるが、症例の溺死確率 0.28 と偽陰性を示した心肺蘇生術後例

である。

46

1段目

0.70

0.98

0.97

2段目

0.96

0.82

0.75

0.54

3段目

0.48

0.00

0.01

0.05

4段目

0.15

0.90

0.98

0.99

5段目

0.94

1.00

1.00

1.00

6段目

0.99

0.98

0.96

0.57

7段目

0.20

1.00

1.00

0.99

0.95

図 7 症例 3 の死後胸部 HRCT 画像

剖検診断は大動脈弁狭窄症であるが、症例の溺死確率 0.74 と偽陽性を示した症例

である。

47

図 8 症例 4 の死後胸部 HRCT 画像

剖検診断は上部消化管出血であるが、症例の溺死確率 0.51 と偽陽性を示した症例

である。なおデータの欠損により 6 段目は 2 画像しかない。

48

1段目

1.00

1.00

1.00

2段目

1.00

1.00

1.00

1.00

3段目

1.00

1.00

0.95

0.99

4段目

0.99

0.97

0.99

1.00

5段目

0.90

1.00

1.00

1.00

6段目

1.00

1.00

1.00

1.00

7段目

1.00

1.00

1.00

1.00

0.99

図 9 症例 5 の死後胸部 HRCT 画像

剖検診断は薬物摂取ならびに気管支炎であるが、症例の溺死確率 0.99 と偽陽性を

示した症例である。

49

1段目

0.02

0.06

0.07

2段目

0.01

0.00

0.00

0.00

3段目

0.00

0.00

0.00

0.00

4段目

0.00

0.00

0.00

0.00

5段目

0.00

0.00

0.00

0.00

6段目

0.00

0.02

0.01

0.01

7段目

0.00

0.03

0.01

0.02

0.06

図 10 症例 6 の死後胸部 HRCT 画像

剖検診断は溺死であるが、症例の溺死確率 0.01 と偽陰性を示した症例である。

50

1段目

0.00

0.00

0.00

2段目

0.00

0.00

0.00

0.00

3段目

0.00

0.02

0.00

0.01

4段目

0.09

0.02

0.00

0.00

5段目

0.01

0.00

0.03

0.18

6段目

0.01

0.02

0.02

0.01

0.01

図 11 症例 7 の死後胸部 HRCT 画像

剖検診断は溺死であるが、症例の溺死確率 0.02 と偽陰性を示した症例である。な

お虚血性の心臓発作が溺水吸引に先行した可能性が高いと剖検で判断されている。

51

図 12 症例 8 の死後胸部 HRCT 画像

剖検診断は溺死であるが、症例の溺死確率 0.02 と偽陰性を示した症例である。肉

眼的に臓器の腐敗が進行しており、画像所見でも腐敗を指摘できる。

52

1段目

0.28

0.04

0.04

2段目

0.06

0.04

0.50

0.51

3段目

0.36

0.00

0.03

0.00

4段目

0.02

0.03

0.00

0.00

5段目

0.00

0.00

0.00

0.00

6段目

0.00

0.00

0.00

0.00

7段目

0.00

0.01

0.02

0.01

0.02

図 13 症例 9 の死後胸部 HRCT 画像

剖検診断は溺死であるが、症例の溺死確率 0.07 と偽陰性を示した症例である。な

お第 3・第 4 頚椎間の頚髄損傷も死因たり得ると剖検で判断されている。

53

1段目

0.03

0.31

0.42

2段目

0.13

0.03

0.03

0.06

3段目

0.02

0.07

0.06

0.12

4段目

0.01

0.55

0.77

0.68

5段目

0.45

0.11

0.05

0.11

6段目

0.45

0.47

0.32

0.13

7段目

0.26

0.98

0.98

0.97

0.97

図 14 症例 10 の死後胸部 HRCT 画像

剖検診断は溺死であるが、症例の溺死確率 0.34 と偽陰性を示し、かつ蜂巣肺がみ

られた症例である。

54

10 表

表1 非溺死例の死因内訳

死因

症例数

心臓関連死(虚血性心疾患を含む)

49 (30.6)

窒息(溺水を除く)

19 (11.9)

感染症

16 (10.0)

薬物中毒

15 (9.4)

頭蓋内損傷

15 (9.4)

失血

11 (6.9)

ケトアシドーシス(アルコール性,糖尿病性など)

11 (6.9)

その他

24 (15.0)

総計

*160

カッコ内は%

55

56

80代

40代

40代

80だ

70代

60代

20代

20代

60代

90代

50代

90代

50代

60代

失血

感染症

その他

薬物中毒

心臓関連死

心臓関連死

感染症

その他

感染症

失血

窒息(溺水以外)

窒息(溺水以外)

感染症

感染症

死因

:ケトアシドーシスを伴う上部消化管出血

:胃穿孔による汎発性腹膜炎

:肺血栓塞栓症

:薬物中毒

:大動脈弁狭窄を伴う循環不全

:心肥大を伴う循環不全

:薬剤多量摂取下での、急性気管支炎を伴う急性循環不全

:一酸化炭素中毒

:気管支炎・気管支肺炎による呼吸不全

:頸部切創による出血性ショック

:気道閉塞による窒息

:薬物中毒による吐物吸引

:外傷性消化管穿孔による腹膜炎

:気管支拡張症・肺線維症に肺感染症併発を基盤とした呼吸不全

*+ は心肺蘇生術を受けた症例、- は心肺蘇生術を受けていない症例

性別

年齢

表2 偽陽性例の概要

有無*

蘇生術の

22

24

28

28

28

28

28

28

36

24

24

28

24

32

画像数

症例ごとの溺死確率

対応する

0.51

0.57

0.60

0.63

0.74

0.96

0.99

0.54

0.57

0.66

0.67

0.72

0.78

0.87

(画像の溺死確率相加平均値) 図の番号

57

付録 1 本研究で深層学習に用いたスクリプト

# -*- coding: utf-8 -*"""

Created on Sun Dec 8 13:29:24 2019

@author: Kyohei Noro

"""

import os

import argparse

import numpy as np

import glob

import warnings

from collections import OrderedDict

import matplotlib.pyplot as plt

import time

import torch

import torch.nn as nn

import torch.optim as optim

from torchvision import datasets, transforms

import torchvision.models as models

from torch.autograd import Variable

from PIL import Image

from classification_lib import OriginalClassificationDataset, Trainer, scaling

def make_AlexNet(n_out, ft_model_path=r"$path.pth", freeze_extractor=True):

model = models.alexnet()

if ft_model_path:

"""

When you load parameter, you may see the output like bellow:

IncompatibleKeys(missing_keys=[], unexpected_keys=[])

58

You can ignore this if these lists are empty,

otherwise you missed to load some parameters

"""

model.load_state_dict(torch.load(ft_model_path))

if freeze_extractor:

for p in model.features.parameters():

p.requres_grad = False

model.classifier[-1] = nn.Linear(4096, n_out)

nn.init.normal_(model.classifier[-1].weight, 0, 0.01)

nn.init.constant_(model.classifier[-1].bias, 0,)

return model

def main():

f = open("./dir.txt", 'r', encoding='UTF-8')

datalist = f.read()

datalist = datalist.split("¥n")

train_dir = datalist[2]

test_dir = datalist[5]

out_dir = datalist[8]

pre_dir = datalist[26]

parser = argparse.ArgumentParser(

description='')

parser.add_argument('--gpu', '-g', type=int, default=0)

parser.add_argument('--lr', '-l', type=float, default=0.01)

#5e-5,konno lr0.01

parser.add_argument('--batchsize', '-b', type=int, default=40)

parser.add_argument('--epoch', '-i', type=int, default=80)

parser.add_argument('--train_dir', '-d', type=str, default= train_dir)

parser.add_argument('--test_dir', '-t', type=str, default= test_dir)

parser.add_argument('--param', '-p', type=str, default= pre_dir)

parser.add_argument('--out_dir', '-o', type=str, default= out_dir)

parser.add_argument('--savefile_name', '-s', type=str, default="model")

args = parser.parse_args()

59

cp = r"$path1¥alex_cpu_512"

label = ["Non_Dr","Dr"]

transform = transforms.Compose([

transforms.Resize((227, 227), interpolation=Image.BICUBIC),

transforms.Lambda(scaling),

])

train_data = OriginalClassificationDataset(args.train_dir, label, transform=transform)

test_data = OriginalClassificationDataset(args.test_dir, label, transform=transform)

#model =models.alexnet(pretrained=True)

model=make_AlexNet(len(label),args.param)

if args.gpu >= 0:

if torch.cuda.is_available():

device = torch.device("cuda")

else:

warnings.warn("GPU is not available. Training is now on CPU")

device = torch.device("cpu")

else:

device = torch.device("cpu")

train_loader = torch.utils.data.DataLoader(

train_data, batch_size=args.batchsize, shuffle=True, num_workers=1,

pin_memory=True)

test_loader = torch.utils.data.DataLoader(

test_data, batch_size=args.batchsize, shuffle=True, num_workers=1,

pin_memory=True)

optimizer = optim.SGD(model.classifier.parameters(), lr=args.lr, momentum=0.001)

optimizer = optim.SGD(model.parameters(), lr=args.lr, momentum=0.001)

#konno 0.001, now 0.5

scheduler = torch.optim.lr_scheduler.LambdaLR(optimizer, lr_lambda = lambda epoch:

0.95 ** epoch)

60

for epoch in range(0, 200): #ここは以下省略

scheduler.step()

trainer = Trainer(model, optimizer, train_loader, test_loader, device)

if not os.path.exists(args.out_dir):

os.makedirs(args.out_dir, exist_ok=True)

# 学習

for epoch in range(args.epoch):

print('epoch :', epoch)

t0 = time.time()

trainer.train_epoch()

trainer.test()

t_epoch=int(time.time() - t0)

print("this epoch took : " + str(t_epoch) + " seconds")

end_time=int((time.time() - t0)*(args.epoch-(epoch+1)))

if end_time>=3600:

end_time_hour=int(end_time/3600)

end_time_min=int(end_time%3600/60)

end_time_sec=int(end_time%3600%60)

print("training will finish in : " + str(end_time_hour) + "h " +

str(end_time_min) + "m " + str(end_time_sec) + "s ¥n")

elif end_time >= 60:

end_time_min=int(end_time/60)

end_time_sec=int(end_time%60)

print("training will finish in : " + str(end_time_min) + "m " +

str(end_time_sec) + "s ¥n")

else:

print("training will finish in : " + str(end_time) + " seconds¥n")

file_name = args.savefile_name + str(epoch) + "epoch"

model = model.to('cpu')

torch.save(model.state_dict(), os.path.join(args.out_dir, file_name))

torch.save(model.to('cpu').state_dict(), os.path.join(args.out_dir, file_name))

61

model = model.to('cpu')

torch.save(model.state_dict(), os.path.join(args.out_dir, args.savefile_name))

torch.save(model.to('cpu').state_dict(), os.path.join(args.out_dir, args.savefile_name))

trainer.logger.plot(args.out_dir)

if __name__ == '__main__':

__spec__= "MoudleSpec(name='builtins',

loader=<class'_frozen_importlib.BuiltinImporter'>)"

main()

62

...

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