リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「慢性閉塞性肺疾患におけるⅡ型肺胞上皮細胞脆弱性の分子病態解明を目指した研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

慢性閉塞性肺疾患におけるⅡ型肺胞上皮細胞脆弱性の分子病態解明を目指した研究

奥友 洸二 東北大学

2021.09.24

概要

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease, COPD)はタバコ煙などの有害物質の長期吸入により生じる肺疾患で、呼吸機能検査で気流閉塞を示す。世界に 3 億人ほどの患者がいるとされ、現在も患者数は増加している。肺胞マクロファージ、T 細胞、上皮細胞、線維芽細胞等によって産生される炎症性サイトカイン、プロテアーゼ、活性酸素種によって気道壁のリモデリング及び肺胞構造の破壊が引き起こされ、これらの変化が複合的に作用して気流閉塞をきたす。特に CD8 陽性 T 細胞とそれによって産生されるinterferon-γ(IFNγ)は肺構築細胞の細胞死を誘導し、プロテアーゼ産生を亢進させ、肺気腫を形成させることが報告されている。

組織幹細胞は自己複製能と成熟細胞への多分化能を有する各臓器に固有の細胞と定義され、恒常性維持と傷害後の組織修復に寄与する。肺組織にも複数の組織幹細胞が存在することが分かっており、Ⅱ型肺胞上皮細胞(Ⅱ型細胞)が肺胞上皮細胞の幹細胞として機能する。組織幹細胞の機能異常は重大な疾患を引き起こす可能性がある。COPD においてもⅡ型細胞のアポトーシス増加や細胞老化といった細胞機能の異常が病態形成に関与すると報告されている。しかし、COPD 病態におけるⅡ型細胞の細胞機能に関する詳細な分子メカニズムは明らかにされていない。

COPD におけるⅡ型細胞の遺伝子発現パターンを網羅的に解析した研究により、COPD 患者のⅡ型細胞ではインターフェロン誘導遺伝子群の発現が亢進していることが知られている。さらに COPD の II 型細胞では、LIM homeobox 9(LHX9)の遺伝子発現が亢進していることも報告されている。LHX9 は性腺の発生に必須の転写因子であり、神経、四肢、心臓の発生に関与することが報告されている。また胎生期のみではなく、骨肉腫細胞の増殖や台湾カキの免疫細胞において細胞死の制御に関わることが報告されており、成体細胞の細胞増殖や細胞死を制御する。しかし、組織幹細胞や呼吸器疾患におけるその役割については解明されていない。以上より、本研究では、COPD における LHX9 の役割を解明することを目的とした。

COPD 患者と非 COPD 患者の肺組織からⅡ型細胞を分離し LHX9 の mRNA 発現を検討したところ、COPD 患者のⅡ型細胞では LHX9 の mRNA 発現が上昇していた。さらに多変量回帰分析にて、LHX9 の発現量は対標準 1 秒量と統計学的に有意な相関を示すことを明らかにした。次に A549 細胞を炎症性サイトカインや酸化ストレスで刺激したところ IFNγが LHX9 の mRNA および蛋白質の発現を増加させた。さらに RNA 干渉法を用いて、LHX9 がA549 細胞の細胞機能をどのように制御するのか検討した。その結果、LHX9 は A549 細胞の細胞周期には影響を与えなかったが、細胞死感受性を亢進させる可能性が示唆された。これらの結果から、COPD 病態では、IFNγがⅡ型細胞の LHX9 発現を増加させ細胞死感受性を亢進させる可能性が考えられた。さらに、LHX9 を介したⅡ型細胞の脆弱性が肺組織修復能を低下させ、COPD 病態の形成に寄与することが示唆された。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る