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大学・研究所にある論文を検索できる 「Effects of iguratimod on glucocorticoid-induced disorder of bone metabolism in vitro」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Effects of iguratimod on glucocorticoid-induced disorder of bone metabolism in vitro

三山, 彬 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド)は関節リウマチなど多くの自己免疫疾患の治療に用いられる薬剤であるが、最も頻度の高い副作用としてステロイド性骨粗鬆症(glucocorticoid-induced osteoporosis; GIOP)がある。GIOPは破骨細胞の誘導による骨吸収亢進と、骨・骨芽細胞の分化抑制などによる骨形成抑制により、幅広い年齢層に急速な骨量低下や骨折リスクの上昇をもたらす。現在のGIOP治療ガイドラインでは、経口ビスフォスフォネート内服製剤が第一選択薬となっているが、骨組織への蓄積性や骨吸収と共に骨形成も抑制することより、長期投与による過剰な骨代謝抑制などが懸念となっている。

一方、関節リウマチ治療において conventional synthetic Disease Modifying Anti-Rheumatic Drugs (csDMARDs)はグルココルチコイドと共に頻用される治療薬である。本邦で開発されたcsDMARDsである免疫調整薬イグラチモド(iguratimod; IGU)は、NF-κΒ経路の阻害による抗炎症効果以外にも多様な作用を有することが注目されている。本研究の目的は、グルココルチコイドによる骨代謝異常に対してのIGUの効果を検討することで、関節リウマチ治療に伴うGIOPに対する新たな治療の可能性を検討することである。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
7週齢オスC57BL/6Jマウスから骨髄細胞を採取し、グルココルチコイドの一種であるデキサメタゾン(dexamethasone; Dex)(10'9,10’7 M)と IGU (0.3,1,3 pg/ml)の濃度をそれぞれ分けて、macrophage colony-stimulating factor (M-CSF), receptor activator ofNF-κΒ ligand (RANKL)刺激により破骨細胞分化を誘導した。TRAP染色ではDex投与により破骨細胞数は濃度依存性に増加したのに対して、IGUによりDexによる破骨細胞数増加を濃度依存性に低下した。次に、RANKL -Dex(10'7M)・IGU(2/μg/ml)の有無で(vehicle群、control群、1GU群、Dex群、Dex+IGU群)の5グループ間で破骨細胞数と骨吸収能を評価した。control群はvehicle群に対して有意に破骨細胞数と骨吸収能は増加した。さらにDex群はcontrol群と比べて有意に破骨細胞数と骨吸収能を増加したのに対し、IGU群およびDex+ IGU群では破骨細胞数と骨吸収能は有意に抑制された。次にRNAシークェンスにより破骨細胞分化に関わる遺伝子発現を網羅的に解析したところ、いくつかの候補遺伝子の変動が確認された。次いでRT-PCRによって確認したところ、それらの破骨細胞関連遺伝子 (RANK, TRAF6, NFkB, NFATcl, TRAP, Cathepsin K, DC—STAMP)の発現はIGUにより抑制され、Dexによる遺伝子発現亢進もIGUにより抑制された。ウェスタンブロット法においてもIGUによりRANK/TRAF6/NFkBの蛋白レベルでの発現抑制が認められた。これらの結果からIGUはRANK/TRAF6/NFkBを介して、Dexによる破骨細胞分化誘導促進を抑制していることが示唆された。

次に前骨芽細胞株であるMC3T3-E1細胞と骨細胞株MLO-Y4細胞において、Dex(10'6M)・IGU(3,10μg/ml)の有無での分化誘導を検討した。IGUはMC3T3E1細胞のALP活性と石灰化を有意に促進した一方、Dex存在下ではそれらが有意に抑制される中で促進を示した。RT-PCRでは、IGUはRunx2, Osterix,ALP,オステオカルシン(OCN)発現を有意に促進したのに対し、Dex存在下ではこれらの遺伝子発現は抑制される中でIGUは有意に促進した。MLO-Y4細胞におけるRT-PCRではIGUはALP, OCNの発現を有意に促進した。RANKL/OPG発現についてはMLO-Y4細胞においてDex非存在下でIGUは有意に低下が認められた。

〔総括(Conclusion)〕
IGUはRANK/TRAF6/NFkBを介して、Dexによる破骨細胞分化誘導と骨吸収の促進を抑制した。骨・骨芽細胞分化誘導についてはIGUは骨分化・石灰化を有意に促進したが、Dex存在下ではその効果は限定的であった。本研究成果より関節リウマチに伴うGIOPに対して、IGUはその二つ病態を共に改善する可能性が示された。今後GIOPモデル動物への投与実験による検証が必要と考えられる。

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