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大学・研究所にある論文を検索できる 「DNA修復酵素APエンドヌクレアーゼの新規ホモログ遺伝子の同定とその機能解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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DNA修復酵素APエンドヌクレアーゼの新規ホモログ遺伝子の同定とその機能解析

船越, 昌史 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k22877

2021.01.25

概要

細胞内においてDNA は絶えず損傷を受けており、その蓄積は老化やがんの原因となる。本研究で着目した脱塩基エンドヌクレアーゼ(APエンドヌクレアーゼ)は、APエンドヌクレアーゼ活性に加えて、3´-ホスホジエステラーゼ活性や3´-5´エキソヌクレアーゼ活性も示す。この酵素が、塩基除去修復酵素として機能する場合、APエンドヌクレアーゼ活性と、3´-ホスホジエステラーゼ活性が必要とされる。一方、APエンドヌクレアーゼの示す3´-5´エキソヌクレアーゼ活性の細胞内での機能は不明である。また、この酵素には、サブタイプが存在する。サブタイプの一つであるAPEX1型は哺乳類では強いAPエンドヌクレアーゼ活性を示し、塩基除去修復において主要なAPエンドヌクレアーゼとして働く。一方で、その他のサブタイプの細胞内での機能は明らかではない。そこで本研究では、APEX2型と、リボソームタンパク質としての機能も持つP0型APエンドヌクレアーゼに着目し、細胞内での機能を調べた。まず、カタユウレイボヤのAPエンドヌクレアーゼの同定と作用の解析を行った。カタユウレイボヤではこれまでにAPEX1型APエンドヌクレアーゼが同定されているので、本研究では新たにAPEX2型とP0型のAPエンドヌクレアーゼを同定し、酵素活性の検出を行った。その結果、両タンパク質は、期待される3つの酵素活性のうち3´-5´エキソヌクレアーゼ活性のみを示した。基質特異性を調べたところ、両酵素ともにDNA損傷応答の誘導に必要な基質DNAを分解し た。大腸菌を用いた相補性実験では、両酵素ともにAPエンドヌクレアーゼ欠損大腸菌の酸化ストレス感受性を相補した。以上の事実より、APEX2型とP0型APエンドヌクレアーゼは、APEX1型とは異なり、3´-5´エキソヌクレアーゼ活性により酸化ストレス抵抗性に寄与する可能性が示された。次に、出芽酵母 APEX2 型APエンドヌクレアーゼであるApn2が欠損した場合のミトコンドリアと細胞の生存への影響を調べた。実験条件として使用した窒素源飢餓は、細胞内高分子の分解を促進する ことが知られている。窒素源飢餓条件で培養した場合、野生株のミトコンドリアは徐々に減少した。一方で、APN2欠損株では、ミトコンドリアを多く保持し好気呼吸能を消失した細胞が増加した。こ の結果は、Apn2は窒素源飢餓条件で有害な影響を及ぼすミトコンドリアを減少させることで、ミトコンドリアの機能維持に貢献することを示唆している。また、APN2欠損株では、窒素源飢餓条件での長期培養により誘導される細胞死が、野生株と比べて減少した。この細胞死の減少は、同じ出芽酵母のAPエンドヌクレアーゼのApn1の欠損株では生じなかった。この結果は、窒素源飢餓条件での細胞の生存において、Apn2は、Apn1とは異なる機能を持つことを示している。そして、APN2欠 損株は、ミトコンドリアを不活性化した状態でも長期培養時に誘導される細胞死が減少するため、A pn2は細胞の生存において、ミトコンドリアでの機能とは独立した機能を持つことが分かった。さらに窒素源飢餓条件での薬剤感受性試験から、APN2欠損株では、長期培養だけでなくAPサイト修復阻害により誘導される細胞死も減少した。この結果は、APN2欠損株で細胞死が減少する原因に、APサイトが関係することを示している。本研究により、APEX2型やP0型APエンドヌクレアーゼは、A PEX1型とは異なる作用機序により、ミトコンドリアの品質管理や、ストレス条件下での細胞の増殖や生存に寄与することが示された。

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