書き出し
レドックス活性なイミダゾールベンゾキノン部位を配位子にもつルテニウム-2,2'-ビピリジン錯体の合成とその性質
概要
レドックス活性配位子を含む金属錯体は様々な小分子活性化のレドックス触媒への応用が期待されることから近年さかんに研究されている。芳香族キノン化合物は 2 電子 2 プロトンを伴うプロトン共役電子移動を起こす。また、Ru(bpy)2L 錯体は光励起状態での電子移動が起こることが知られていることから、キノン部位を導入した新しい光レドックス化合物としてRu(bpy)2錯体(bpy= 2,2’-ビピリジン)に(2-ピリジル)イミダゾールベンゾキノン(RPyQ )[1][2]を配位子とする錯体を合成し、光励起によるキノン部位への MLCT 遷移に伴う分子内電荷移動を触媒反応などに利用できないか検討した。本研究では[Ru(bpy)2(RPyQ)]2+ (R=H, Me 以下、Ru-RPyQ と 略 する。) 錯体のイミダゾール基のキノン還元に伴う N-Hプロトンの動きに着目して、電気化学およびMLCT励起状態での発光特性について、プロトンの有無による挙動の違いを検討した (Fig. 1)。