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<論説>インサイダー取引規制の検討―内部者が内部情報を「職務に関し知った」とされる場合―

萬澤, 陽子 筑波大学

2023.07.31

概要

論 説

インサイダー取引規制の検討

―内部者が内部情報を「職務に関し知った」とされる場合―

萬 澤 陽 子
はじめに
Ⅰ.従来の解釈
  1 .インサイダー取引規制の趣旨
 2.
「職務に関し」の解釈
 3.
「知った」の解釈
Ⅱ.最三小決令和 4 年 2 月 25 日刑集 76 巻 2 号 139 頁
  1 .事実
  2 .決定要旨
  3 .検討
Ⅲ.2 つの下級審裁判例
  1 .東京高判平成 29 年 6 月 29 日判時 2369 号 41 頁
  2 .東京地判令和元年 5 月 30 日金判 1572 号 14 頁
  3 .検討
Ⅳ.令和 4 年最決の検討
おわりに

はじめに
ある会社(甲社)の取締役が、同社が業績の大幅な下方修正をすることを事
前に「職務に関し」知って、それが公表される前に、甲社の株式を売却した場
合、または、別の会社(乙社)の取引先の従業員が、同社が丙社を公開買付け
することを事前に「職務に関し」知って、それが公表される前に、丙社の株式
を購入した場合、
インサイダー取引に該当する(金融商品取引法 166 条、
167 条)

ここにいう「職務に関し知っ[た]
」には、例えば、甲社取締役が取締役会に
出席して当該情報を聞いた場合や、乙社取引先の従業員が乙社との取引に関連
して当該情報を聞いた場合が含まれるが、それによってどの程度の情報を得れ
199

論説(萬澤)

ば、「職務に関し知っ[た]
」に当たるとされるのかは、それほど明らかなこと
ではない。たとえば、甲社取締役が、同社の業績の下方修正自体の報告を受け
ていれば、当然肯定できるであろうが、もし、乙社取引先の従業員が、乙社に
よる公開買付けに関する情報を得たものの、対象会社(丙社)の情報を欠いて
いた場合は、
「職務に関し知っ[た]
」となるであろうか。対象会社がわからな
ければ、そうは解されないであろうか。では、もしその対象会社が明らかでな
くても、
それ以外の情報から容易に推測できるような場合ならどうであろうか。
容易には推測できないが、少し調査をすればその対象会社をある程度絞れるよ
うな場合だったらどうであろうか。
金融商品取引法 166 条 1 項は、会社と関係を有する者(その取締役、株主や
取引先)が、内部情報(重要事実)を「職務に関し知った」(同 1 号、5 号)等、
会社との関係性ゆえに「知った」場合に、当該会社の株式を取引することを禁
ずる。また、同 167 条 1 項は、公開買付者と関係を有する者(その取締役、株
主や取引先)が公開買付けの実施といった内部情報(公開買付け等事実)を「職
務に関し知った」
(同 1 号、6 号)等、公開買付者との関係性ゆえに「知った」
場合に、当該公開買付けの対象会社の株式を買い付けることを禁ずる。
この「職務に関し知った」は、後述するように、従来、インサイダー取引規
制の趣旨(内部情報を知りうるという、 いわば特権的立場にある者が重要事実
を知って取引等を行うことは一般投資者との関係できわめて不公平で、このよ
うな取引が横行すると投資家の市場への信頼を失わせてしまうことから、規制
すべき 1))から広く解釈すべきとされてきたが、これについて争われた裁判例
はあまりなく 2)、実際の事案でどういった場合に「職務に関し知った」とされ
るのか(あるいはされないのか)明確ではなかった。特に、上記のような、内
部情報の一部を知って、他の足りない部分を自ら推測したり調査したりして
補ったような場合の解釈については、ほとんど議論がなされてこなかった。
この点について論じた最高裁の決定が、令和 4 年 2 月 25 日に出された(最三

1)

本稿 I.1.参照。

200

インサイダー取引規制の検討

小決令和 4 年 2 月 25 日刑集 76 巻 2 号 139 頁、以下、「令和 4 年最決」というこ
とがある。

。これは、公開買付者と契約を締結していた証券会社の従業員によ
るインサイダー取引が問題となった事案で、具体的には、証券会社の従業員が
公開買付け等事実を「職務に関し知った」か否かが論点となった。
本稿は、まず、令和 4 年最決を概観した後、近年出された 2 つの下級審裁判
例を紹介し、それらとの比較検討を通じて、令和 4 年最決の意義および「職務
に関し知った」の意味するところの考察を行いたい。
Ⅰ.従来の解釈
1.インサイダー取引規制の趣旨
立案担当者は、「一般投資家は、発行会社の内部にある投資判断に影響を及

2)

167 条 1 項 4 号にいう「当該契約の締結若しくはその交渉又は履行に関し知ったとき」

との関係で、 同項 6 号の「その者の職務に関し知ったとき」について論じた事案として、
東京地判平成 15・5・2 判タ 1139 号 311 頁がある。同判決は、「…公開買付者等と契約を締
結している者等(4 号)は、いずれもその地位や職務等からみて通常公開買付け等の実施
に関する事実についての内部情報を知り得る立場にある者であるのに対し、同項 5 号[現
6 号]は、同項 2 号及び 4 号に該当する法人の役員等のうち、その地位や職務等からみて通
常は公開買付け等の実施に関する事実についての内部情報を知り得る立場にはないもの
の、状況によっては、その者の職務に関してその内部情報を知ることがあり、その場合に
は情報受領者の立場にあるとはいえ、その者が 2 号又は 4 号に該当する法人の役員等とい
う立場にあることに鑑み、同項 1 号ないし 4 号に該当する者と同様、公開買付者等関係者
として処罰しようとした趣旨と理解される。」とし、契約の締結・ 交渉又は履行を補助す
る担当者が知ったときや、さらに、この担当者等からその職務上当該契約の締結若しくは
交渉又は履行の状況等について報告を受ける立場にある上司や同僚等がその報告等の機会
に知ったときは、
(167 条 1 項 6 号にいう「職務に関し知ったとき」ではなく、)4 号にいう「当
該契約の締結若しくはその交渉又は履行に関し知ったとき」に当たると解するのが相当と
述べた。これらの解釈につき、学説も同様に解し(本稿Ⅰ . 2 参照)、166 条 1 項 5 号(167
条 1 項 6 号に相当)に当たるものとして、たとえば発行会社と証券の引受契約を締結して
いる証券会社の引受部門の担当者(166 条 1 項 4 号)から、当該発行会社の増資に関する重
要事実を営業に利用するということで営業部門の担当者に流されたような場合が挙げられ
ている。横畠裕介『逐条解説インサイダー取引規制と罰則』(商事法務研究会・1989 年)
42-44 頁。

201

論説(萬澤)

ぼすべき事実については、会社が開示(公表)しない限りこれを知り得ない立
場にあるのに対し、発行会社の役員など会社と一定の関係がある者は、そのよ
うな事実の発生に自ら関与しあるいはその立場によってそのような事実を知り
得る場合があるのであるから、このような者が、当該事実を知って、その公表
前に当該会社の有価証券の取引を行うことは、一般の投資家と比べて著しく有
利となってきわめて不公平であり(公開買付者等一定の関係のある者が、公開
買付け等の実施または中止に関する事実を知って…取引を行うことも同様であ
る。)、このような取引が横行するとすれば、そのような市場は人々の信頼を失
い、健全な投資家はそのような市場から退避することとなり、ひいては証券市
場として果たすべき機能を果たし得なくなると言わざるを得ない。したがって、
インサイダー取引は、そのような行為が投資家の証券市場に対する信頼を著し
く損なうものであるという観点から規制する必要があり、そのような行為自体
を処罰すべきものと考えられるのである。
」と述べている 3)。
学説でも、インサイダー取引規制の趣旨として、未公表情報を知り得ない一
般投資家との間で不公平が生ずること、証券市場の公正性と健全性が失われ、
市場に対する信頼を損なうことに求めており、同旨の理解がなされている 4)。
2.「職務に関し」の解釈
「職務に関し」は、
上記のインサイダー取引規制の趣旨に基づき、以下の通り、
広く解釈されてきている。
(1) 「職務」の解釈
「職務」とは、その者の地位に応じた任務として取り扱うべき一切の執務を
いい、現に、具体的に担当している事務であることを要しないと解釈されてい
る 5)。
3)

横畠・前掲注(2)9-10 頁。

4)

河本一郎=関要監修『逐条解説 証券取引法[三訂版]』(商事法務・ 2008 年)1329-

1330 頁、神崎克郎=志谷匡史=川口恭弘『金融商品取引法』
(青林書院・2012 年)1212 頁等。

202

インサイダー取引規制の検討

(2)
 職務に「関し」の解釈
これについては、学説上見解が分かれており、具体的に、①職務と密接に関
連する行為により知った場合を含むが、その者の職務が当該重要事実を知りう
るようなものでなければならないとする見解、②有価証券の投資判断に影響を
及ぼすべき特別な情報に自ら関与し、
または接近しうる特別な立場にある者が、
その特別な立場ゆえに重要な情報を知ったときとする見解、③その職務の実行
に関して知る必要のある情報または知る立場にある情報を知った場合とする見
解、④職務行為自体により知った場合のほか、職務と密接に関連する行為によ
り知った場合を含むとする見解がある 6)。いずれの見解も、その者が職務行為
自体により知った場合に限定されず、職務と密接に関連する行為により知った
場合も含むとする点で共通する。ただし、これらはいずれも規範としてはなお
抽象的で、どの見解をとるかと具体的帰結が直接結びついておらず、個別の事
案において、同一の見解に立ったとしても、事実関係の評価の仕方次第で、
「職
務に関し」知ったといえるかは結論が分かれ得る 7)。したがって、実際は、い
ずれの見解に立つかというより、その者が会社との特別な関係ゆえに未だ一般
投資者には知られていないような情報を有しているかどうかといった観点から
常識的に判断していくことが求められると解されている 8)。
例えば、
上場会社等の各部署に郵便物を配布する業務に従事している職員が、
配布途中に
(勝手に)
開封して中身を見て未公表の重要事実を知った場合は、
(封
筒の中身を見ることは本来職務ではないが、封筒を自分の占有下に置くことは
職務の一部であり、職務と密接に関連する過程で重要事実を知ったことになる
といえ)「職務に関し」に該当するが、配布業務中にある部署の机の上の極秘
書類を偶然みて重要事実を知った場合は、
(配布先の職務に首を突っ込むこと

5)

横畠・前掲注(2)36 頁。

6)

松本真輔『最新インサイダー取引規制』(商事法務・ 2006 年)45 頁。

7)

松葉知久「情報受領者によるインサイダー取引事案の諸論点」商事法務 2010 号 15,16 頁

(2013 年)。
8)

三國谷勝範『インサイダー取引規制詳解』(資本市場研究会・ 1990 年)17 頁。

203

論説(萬澤)

はその職員の職務とはいえないから)
「職務に関し」に該当しないとされる 9)。
これについて、役員等がその職務の内容として内部情報を知りうる立場にある
ことに直接起因して未公表の重要事実を知った場合(前者)は規制対象として
よいが、単なる物理的アクセスを通じて他の部署の内部情報を知ったにすぎな
い場合(後者)には、かかる売買を許しても投資家の信頼を損なわないとして
規制対象とはならないと説明される 10)。もっとも、後者のような場合でも、当
該役員等であるからこそ偶然見ることもできるとして職務関連性を肯定すべき
との見解もある 11)。結局、法が「関し」という外延不明な文言を用いている以
上は、インサイダー取引規制の趣旨に立ち返って考えていく必要があり、前述
の規制趣旨に基づいて、
「関し」について合理的な限定解釈をする必要があ
る 12)。
重要事実を知った方法(誰から聞いたなど)は、職務に関し知ったものであ
れば、問わないと解されている 13)。
3.「知った」の解釈
「知った」も、上記のインサイダー取引規制の趣旨に基づき、広く解されて
いる。
具体的に、学説では、投資者の投資判断に影響を及ぼすべき重要事実の内容
の一部を知った場合も、職務に関し「知った」と解すべきとする 14)。そのよう
な事実の一部であれ、その職務に関し知った会社関係者は、会社が開示(公表)

9)

内部者取引規制研究会『一問一答インサイダー取引規制』(商事法務研究会、1988 年)

131, 132 頁。
10) 河本一郎=龍田節=神崎克郎=芝原邦爾=江頭憲治郎=森本滋『〔座談会〕証券をめぐ
る不公正取引の検討〔第 1 回〕―インサイダー取引規制の諸問題―』商事法務 1160 号
6、 17-21 頁(1988 年)、木目田裕=上島正道『インサイダー取引規制の実務〔第 2 版〕』(商
事法務・ 2014 年)62 頁〔山田将之=八木浩史〕。
11) 黒沼悦郎「インサイダー取引規制と法令解釈」金法 1866 号 42, 49 頁(2009 年)。
12) 木目田=上島・前掲注(10)61 頁〔山田将之=八木浩史〕。
13) 横畠・前掲注(2)36 頁。

204

インサイダー取引規制の検討

しない限りそのような事実の一部すら知り得ない一般投資家との関係におい
て、特権的立場に立つものであるからとする 15)。
このように、「職務に関し知った」は、インサイダー取引規制の趣旨にそっ
た形で、すなわち、内部情報を知りうるという他の投資家と比べて特権的立場
にある者が内部情報を知って取引等を行うことは一般投資者との関係できわめ
て不公平か否かという観点から、解釈すべきことが強調されてきたように思わ
れる。
では、
「職務に関し知った」について解釈した令和 4 年最決を、以下紹介する。
Ⅱ 最三小決令和 4 年 2 月 25 日刑集 76 巻 2 号 139 頁
1.事実
(1)
 概要
これは、A 証券株式会社(以下「A 社」という。
)の従業者の B らが、株式
会社 C(以下「C 社」という。
)とのファイナンシャルアドバイザリー契約の
締結に関し知った、C 社の業務執行を決定する機関において、株式会社 D(以
下「D 社」という。
)の株券の公開買付けを行うことについての決定をした旨
の公開買付けの実施に関する事実(以下、
「本件公開買付け等事実」という。)を、
平成 28 年 7 月 27 日頃、被告人 Y が、その職務に関し知ったところ、知人の E
にあらかじめ D 社の株券を買い付けさせて利益を得させる目的で、本件公開
買付け等事実の公表前に E に対して同事実を伝達し、E において、法定の除
外事由がないのに、同事実の公表前である同月 28 日から同年 8 月 3 日までの間、
D 社株券合計 29 万 6000 株を代金合計 5326 万 8100 円で買い付けたとされた事
案である。
本件公開買付け等事実は、A 社従業者(F 部に所属していた)の B らが、A
社と C 社間のファイナンシャルアドバイザリー「契約の締結…に関し」
(法

14) 横畠・前掲注(2)35 頁。
15) 横畠・前掲注(2)35 頁。

205

論説(萬澤)

167 条 1 項 4 号)知り、その後同じく F 部の Y がその「職務に関し」知って(同
6 号)、E に伝達した(法 167 条の 2 第 2 項)とされたところ 16)、争点は、Y が
その「職務に関し」知ったか否かであった。
(2) 事実の経緯
本件で、Y が実際どのように本件公開買付け等事実を知るに至ったか、少し
詳細にみてみよう。
(1)C 社の業務執行を決定する機関は、本件公開買付けを行うことについて
の決定をし、平成 28 年 7 月 11 日、C 社は A 社との間で本件公開買付けの実施
に向けた支援業務の提供を受けることを内容とするファイナンシャルアドバイ
ザリー契約を締結して、A 社の F 部(以下「F 部」という。
)がその業務を担
当していた。F 部では、ジュニア(上司の指示を受けて業務に従事する下位の
実務担当者)の B を含む A 社の従業者数名が本件公開買付けに係る案件を担
当し、B らは、上記契約の締結に関し、本件公開買付けの実施に関する事実を
知った。F 部に所属する従業者は、担当案件の公表前情報が担当外の従業者に
知られないようにするため、発言に注意し、案件名等については社名が特定さ
れないような呼称を用いることとされており、本件公開買付けに係る案件は
「Infinity」と呼ばれていた。また、F 部では、上司がジュニアの繁忙状況を把
握できるようにするため、ジュニアは、担当業務の概要を F 部の共有フォル
ダ内の一覧表(以下「本件一覧表」という。
)の各自の欄に記入することとさ
れており、F 部に所属する従業者であれば本件一覧表にアクセスできた。
(2)
Y は、
F 部のジュニアであり、
本件公開買付けに係る案件の担当ではなかっ
たが、以下の方法で、本件公開買付けの実施に関する事実を知った。

16) 本文記載の通り、本件で内部情報を知ったとされる Y は自分で取引したわけではない。
知人 E にその情報を伝達したにすぎない。しかし、その場合でも、Y がその情報を「職務
に関し知った」なら、法は、Y が他人に対して利益を得させる目的で伝達することを禁ず
るのである(金商法 167 条の 2 第 2 項)。

206

インサイダー取引規制の検討

(ⅰ)
 Y は、平成 28 年 7 月 27 日までに、本件一覧表の B の欄を閲覧し 17)、
B が Infinity 案件を担当しており、同案件は、A 社とファイナンシャ
ルアドバイザリー契約を締結している上場会社が、その上場子会社の
株券の公開買付けを行い、完全子会社にする案件であるという事実を
知った 18)。
(ⅱ)
 Y は、同月 27 日、自席において、B が、その席で電話により上司と
の間で Infinity 案件に関する通話をする(午後 7 時 12 分から 18 分まで
の 5 分間余りであった)中で、不注意から顧客の社名として「C」と
口にするのを聞き、Infinity 案件の公開買付者が C 社であるという事
実を知った(Y は、B と同じ室内で執務しており、電話で通話中の B
の発言を聞き取ることができたところ、Y は、B の通話が始まった直
後から、インターネットで C や D に関する検索や閲覧をした(具体
的には、午後 7 時 13 分から「C 」
「C」
「C 有報」で検索、午後 7 時 20
分から「C  子会社」
「C  子会社 上場」で検索、次いで、ウィキ
ペディアの C の項目を閲覧、午後 7 時 21 分から「D 株価」で検索、
次いで、D の株式の価格が記載されたサイトを閲覧した))。
(ⅲ)
 その後、Y は、インターネットで検索して C 社の有価証券報告書を
閲覧し、
関係会社の中で上場子会社は D 社のみであることを確認し(B
通話中の午後 7 時 14 分から C の有価証券報告書を閲覧し、その関係

17) 原判決の認定したところによると、7 月 22 日午後 4 時台に 2 回、27 日午後 3 時台に数回
閲覧している。
18) 原判決の認定したところによると、本件一覧表には、B の担当する本件案件につき、
「プ
ロジェクト名・ △△」「種類・ M&A」「親子上場解消、完全子会社化、親会社側 FA」とい
う記載がされていた。FA とはファイナンシャルアドバイザリー契約を意味しており、以
上の記載により、B は△△というプロジェクト名の案件を担当しており、同案件は、A と
FA 契約を結んでいる上場会社が、同じく上場会社である自社の子会社の株式の公開買付
けを行い、これを完全子会社にする案件であることが認識可能であった。また、本件一覧
表には、同月 27 日午後 3 時台の閲覧までの間に、本件公開買付けの公表予定日が 8 月 3 日
であることも記載された。

207

論説(萬澤)

会社の状況の項目には、C が 52 パーセント余りの株式を有している
上場子会社として D が記載されており、かつ、同項目にはほかに C
による公開買付けの対象となり得る子会社は記載されていなかった)、
本件公開買付けの対象となるのは D 社の株券であるという事実を
知った。
原判決(大阪高判令和 2・12・18 LLI/DB L07520716)は、Y が本件公開買
付け等事実を「聴務に関し」知ったことを肯定し、金融商品取引法 197 条の 2
第 15 号、167 条の 2 第 2 項(167 条 1 項 6 号)を適用した第 1 審判決(大阪地判
令和 2・ 6・ 8 裁判所 Web〔平成 30 年(わ)第 4857 号〕)を是認した。
これに対し、Y は、公開買付け等事実の一部を職務に関し知った場合にも法
167 条 1 項 6 号を適用できると解した原判決の解釈は、日常的に株式市場等の
情報を収集分析するなどの業務を行っている証券会社の従業者にとって処罰範
囲が不明確となると主張した。
2.決定要旨
上告棄却。
「F 部に所属する A 社の従業者であった Y は、その立場の者がアクセスでき
る本件一覧表に社名が特定されないように記入された情報と、F 部の担当業務
に関する B の不注意による発言を組み合わせることにより、C 社の業務執行
を決定する機関がその上場子会社の株券の公開買付けを行うことについての決
定をしたことまで知った上、C 社の有価証券報告書を閲覧して上記子会社は D
社であると特定し、本件公開買付けの実施に関する事実を知るに至ったもので
ある。このような事実関係の下では、自らの調査により上記子会社を特定した
としても、証券市場の公正性、健全性に対する一般投資家の信頼を確保すると
いう金融商品取引法の目的に照らし、Y において本件公開買付けの実施に関す
る事実を知ったことが同法 167 条 1 項 6 号にいう『その者の職務に関し知つた
とき』に当たるのは明らかである。

208

インサイダー取引規制の検討

3.検討
このように、Y は B の担当する Infinity の案件に強い関心をもち(原判決に
よると、Y が E に利益を得させる目的で金融商品取引に関する公表前の情報を
探索していたことは Y 自身も認めている)
、本件一覧表を数回にわたって閲覧
し(これにより、Infinity 案件が、ある上場会社がその上場子会社に対する公
開買付けを行う内容のものであることを知った)
、その内容を探るために、イ
ンターネット検索等をしていたところ、B の本件公開買付けの実施に関する通
話のなかで不注意な発言を自席で聞いて(これにより、当該上場会社が「C」
であることを知った)
、それに基づいてさらにまたインターネット検索等をし
(この際、C 社の有価証券報告書を閲覧して、当該上場子会社が「D」である
ことを知った)、本件公開買付け等事実を知ったとされた。最高裁は、このよ
うな状況のもとでは、Y が「自らの調査により上記子会社を特定したとしても
…『その者の職務に関し知つたとき』に当たる」とした。
I.で見たような従来の解釈からすれば、Y が「職務に関し知った」に当た
ることは明らかなように思われる。なぜなら、Y は、特権的立場ゆえに公開買
付け等事実を知ったのであり、そのような者が取引等(知人に知らせることも
含め)を行うことは、事実を知り得ない一般投資家との関係で極めて不公平と
考えられるからである。問題となり得るとすれば、Y が特定の者しかアクセス
できない社内資料等から得られた本件公開買付けに関する情報には、対象会社
がどこであるかの部分を欠いており、Y 自らの調査でその部分を埋めたという
ことであろう。このような特権的立場ゆえに得られた内部情報(すなわち、法
の規制する重要事実・ 公開買付け等事実)だけでは十分ではないところを、
自らの調査等、それ以外の経路から得られた情報・

で補ったようなとき、

言い換えれば、(上場会社や公開買付者に由来する未公表の)内部情報と、そ
れ以外の情報(すでに公表されている情報や生じている事象、それらを分析す
ることによって得られた情報)を組み合わせたときに、
「職務に関し知った」
と解釈されるのはどのような場合であろうか。
これについて、令和 4 年最決前に判断を示した 2 つの下級審裁判例がある。
209

論説(萬澤)

それらを紹介し、学説の動向も踏まえながら、令和 4 年最決の判断の意義につ
いて検討する 19)。
Ⅲ.2 つの下級審裁判例
1.東京高判平成 29 年 6 月 29 日判時 2369 号 41 頁
(1) 事実の概要
コンサルティング業務や資産運用に関する情報提供等を業とする株式会社の
代表取締役であった X(原告・ 被控訴人)において、G 證券会社の機関投資家
営業二部営業員 J から、同人がその職務に関し知った重要事実(H 社の公募増
資)の伝達を受け、上記事実の公表日(平成 22 年 9 月 29 日)前に、H 社株式
を売り付けたことが、法 166 条 3 項に違反するとして、平成 25 年 6 月 27 日付で
課徴金納付命令を受けたことにつき、X が本件決定の取消しを求めたものであ
る 20)。
上記重要事実は、G 證券の引受部門の I が、H 社との間の引受「契約の締結
…の交渉…に関し」知り(法 166 条 1 項 4 号)

その後 J がその「職務に関し」知っ
て(同項 5 号)、X に伝達された(同 3 項)と主張されたところ、(i)J が上記
重要事実を「職務に関し」知った(法 166 条 1 項 5 号)か、
(ii)X らが J から
上記重要事実の「伝達を受けた」
(法 166 条 3 項)か、が争点となった(この
事案では、
(i)が否定されており、
(ii)は検討されていない)。
課徴金納付命令の決定(平成 24 年度(判)第 10 号)は、下記の(α)
(β)
を挙げてこれを肯定していた。すなわち、
(α)J は、平成 22 年 9 月中旬から
19) 令和4年最決の判例評釈等として、弥永真生「内部者取引をめぐる近時の裁判例を考
える―イトーキ事件、モルフォ事件からみえてくるもの」ビジネス法務 7 号(2022 年)
88 頁、浅井弘章「判批」銀行法務 21 883 号(2022 年)67 頁、大山徹「判批」刑事法ジャー
ナル 73 号(2022 年)160 頁等がある。
20) 本文記載の通り、本件で内部情報を知って取引したとされた X は、その情報を J から
得ていた。X のインサイダー取引(166 条 3 項違反)が肯定されるためには、X に情報を伝
達した J が内部情報を「職務に関し知った」とされる必要があることから、ここでも「職
務に関し知った」かが争点となっている。

210

インサイダー取引規制の検討

下旬ころ、G 證券の証券アナリストで H 社のカバレッジを担当していた K(同
月 15 日頃には本件公募増資を認識していた)に対して、
H 社の

が出ているが、

資金はどうするのかなどと聞いたところ、K は、可能性は否定できない、やっ
てもおかしくないなどと答える一方、他社については公募増資の実施を否定す
るような言動を示していたこと、
(β)J が、同月下旬ころ、G 證券の機関投
資家向け営業部門において公募増資等のファイナンス案件に関する部内の取り
まとめ等を行う募集担当を務めていた L に対して、同月 29 日に機関投資家と
の食事の予定を入れることについて確認をすると、同人から、同日に何かがあ
るかもしれない、規模は大きいかもしれないなどと言われ、さらに、9 月 22 日
から 24 日ころ、L に対して、同月 27 日の週の休暇取得の可否を問い合わせた
ところ、同人は、その週は忙しくなりそうである旨回答したこと、である。
原審は、X の本件請求を認容し、本件決定を取り消した。Y(国。被告・ 控
訴人)が控訴した。
(2)
 判旨
控訴棄却。
「上場会社等の契約締結の交渉中の法人等の他の役員等がその者の職務に関
し重要事実を知ったとして法 166 条 1 項 5 号に該当するというためには、その
者が職務に関し重要事実を構成する主要な事実を単に認識したというだけでは
足りず、その者を会社関係者と位置づけることを正当化する状況、すなわち、
その方法や態様等を問わないものの、当該契約の締結若しくはその交渉をする
役員等が知った重要事実が法人内部においてその者に伝播したもの(流れて、
伝わったもの)と評価することができる状況のもとで重要事実を構成する主要
な事実を認識した場合であることを要するもの[下線筆者]と解するのが相当
である。
」そこで、「J に対し、K または L から本件重要事実が伝播したものと
評価できるか否かを検討する」

K の回答(上記(α)
)について、
「その言い方や文脈(前後の会話の内容)
等によっては、H 社が本件公募増資を行うことについての決定をした可能性を
211

論説(萬澤)

積極的に示唆し、あるいは暗にその可能性を伝えるものと評価できることもあ
り得なくはないが、K がどのような趣旨で上記回答をしたのかは、K に対する
質問調書にも全く記載がなく(そもそも、調査官はそのような質問すらしてい
ない。
)、J に対する質問調書にも、その前後の会話内容等や K に尋ねた趣旨、
J の受け止め方についてはほとんど記載がないから、K の上記回答は、H 社の
公募増資の可能性について肯定も否定もしなかったというにとどまるものとい
うほかなく、H 社が本件公募増資を行うことについての決定をした可能性を積
極的に示唆し、あるいは暗にその可能性を伝えるものであったとは認められな
い。

L の回答(上記(β)
)について、これによって本件重要事実が J に伝播し
たというためには、「少なくとも、上記回答が、L が本件公募増資についてイ
ン登録された[筆者注:この時点で L が本件重要事実を知ったことが認めら
れている]後に行われた必要があるが、両者の先後関係を示す的確な証拠はな
く、L は、J が飲み会の設定の可否を細かく聞いてくるので、これには情報が
漏れないように警戒していたというのである…から、L が、イン登録後に、本
件重要事実を念頭に置きながら上記回答をしたとは考えにく」く、K、L から
J に本件重要事実が伝播したことは認められない。
2.東京地判令和元年 5 月 30 日金判 1572 号 14 頁
(1) 事案
投資運用会社である X(原告)のファンドマネージャーである M 及び N(以
下「M ら」という。
)において、T 証券会社のセールストレーダー O から、同
人がその職務に関し知った重要事実(P 社の公募増資)の伝達を受け、上記事
実の公表日(平成 22 年 8 月 24 日)前に、P 社株式を売り付けたことが、法 166
条 3 項に違反するとして、平成 26 年 12 月 26 日付で課徴金納付命令を受けたこ
とにつき、X が本件決定の取消しを求めたものである 21)。
上記重要事実は、T 証券の株式資本市場部(以下、「ECM 部」という。
)の
従業員 Q らが、P 社との引受「契約の締結…の交渉…に関し」知り(法 166 条
212

インサイダー取引規制の検討

1 項 4 号)、その後 O がその「職務に関し」知って(同項 5 号)
、M らに伝達さ
れた(同 3 項)と主張されたところ、
この事案でも、
(i)O が上記重要事実を「職
務に関し知った」
(法 166 条 1 項 5 号)か、
(ii)F らが J から上記重要事実の「伝
達を受けた」
(法 166 条 3 項)か、が争われた(本件では、(i)が否定されてい
るものの、
(ii)が検討されているが、ここでは扱わない)。
課徴金納付命令の決定(平成 25 年度(判)第 29 号)は、以下の 3 点を挙げ
てこれを肯定していた。すなわち、
(α)O は、平成 22 年 6 月頃以降、社内の
株式営業部門のマネジメント陣から、夏季休暇の取得時期を事前に申請するよ
う指示されたり、同月 1 日から同年 7 月 1 日までの間に、国内機関投資家向け
営業の責任者であった株式営業部門の R から、夏季休暇を取得しないよう言
われたこと、(β)同年 7 月中旬頃、社内ミーティング等で、R から S 社の公
募増資は前

戦であり、次は落とせない旨、顧客とのつながりを確保しておく

べき旨、同業他社との競争に負けるわけにはいかない旨などを聞いたこと(こ
の頃 O は P 社の公募増資の

を聞いており、翌月頃、T 証券が引き受ける公

募増資案件が控えていると思ったこと)

(γ)同年 7 月中旬頃、ECM 部の従
業員から、O に対し、数日間にわたり継続して P 社株式のフロー照会(ある
銘柄の売買において、どのような投資家がどの程度の量の売買を行ったのかに
ついての照会)がなされ(継続してフロー照会を受けた銘柄は、P 社とメガバ
ンク銘柄以外になかった)
、ECM 部が P 社に強い関心を持っており、本件公
募増資の引受けを受託しようとしている動きであることは、容易に予想できた
こと、である。
(2)
 判旨
本件処分取消しについて、請求認容。
21) 平成 29 年東京高判同様、本件で内部情報を知って取引したとされた X(M, N)は、そ
の情報を O から得ていた。X のインサイダー取引(166 条 3 項違反)が肯定されるためには、
X に情報を伝達した O が内部情報を「職務に関し知った」とされる必要があることから、
ここでも「職務に関し知った」かが争点となっている。

213

論説(萬澤)

重要事実を「その者の職務に関し知った」
(法 166 条 1 項 5 号)ことが争われ
ている対象となる者が、証券会社の従業員である場合には、日常的に、上場会
社等に関わる情報収集や市場状況の分析といった業務活動を通じて、収集した
情報等の分析に基づく推測を得たり、市場関係者等の間における

を聞くなど

して、契約担当役員等(同項 4 号に当たる、契約の締結やその交渉等に関与し
た者、以下同様)とは別の経路から重要事実に関する何らかの情報を入手する
こともあり得、これら情報から重要事実を知ったとしても同項 5 号による取引
制限の対象には当然当たらない。
そういった「別の経路から重要事実に関する何らかの情報を入手した場合に
おいて、金商法 166 条 1 項 5 号による取引制限の対象に当たるというためには、
当該別経路による情報だけでは重要事実を知ったというのに十分でなかったも
のが、契約担当役員等との直接又は間接の職務上の関わり合いを通じて得られ
た情報(内部情報)を加えたことにより重要事実を知るに至ったと認められる
ことが必要であり、例えば、別経路による情報は単なる推測や

にとどまるも

のであったが、内部情報によりこれが確実なものであると裏付けられた場合な
どは、これに当たるものというべき[下線筆者]である」
。そこで、O が、契
約担当役員等である ECM 部の従業員(同項 4 号)との直接又は間接の関わり
合いを通じて得られた情報(内部情報)により、上記重要事実が確実なもので
あると裏付けられたといえるかについて、検討する。
ECM 部によるフロー照会(上記(γ)
)は、ECM 部の従業員が、平成 22 年
7 月中旬頃、具体的にいつ、何回にわたり、O に対するフロー照会をしたかは、
証拠上明らかでなく(むしろ他の時期には集中的なフロー照会がなされたこと
が認められている)、P 社については、公募増資の話が出始めた平成 20 年 10 月
頃から、株価が大きく変動したときなどにその要因を調査していたことから、
P 社株についてフロー照会があるというだけでは、本件公募増資の実施が確実
であることと直ちに結び付く情報であるとは言えない。
また、株式営業部門による夏季休暇の取得に関する指示・発言(上記(α)

は、いずれも本件公募増資に関する平成 22 年 7 月 6 日のキックオフミーティン
214

インサイダー取引規制の検討

グの前にされたものである上、株式営業部自体が、公募増資の公表まで当該情
報に接することのできない情報隔壁の外に置かれたものであるから、かかる株
式営業部の従業員の言動から得られる情報をもって、本件公募増資の実施につ
いて確実なものであると裏付けられたということはできない。
さらに、R の発言(上記(β)
)も、公募増資の公表まで当該情報に接する
ことのできない情報隔壁の外に置かれた部署の者によるものである上、内容的
にも、買取引受のシェアが少ない S 社増資においても積極的な営業活動を行
うよう関係各者を鼓舞するため、過去に実際、受注競争に大きく負けたことを
引き合いに出したにすぎないと見ることもできるものであり、同様に否定され
る。
3.検討
このように、東京高判平成 29 年 6 月 29 日判時 2369 号 41 頁(以下、
「平成 29
年東京高判」という。
)および東京地判令和元年 5 月 30 日金判 1572 号 14 頁(以
下、
「令和元年東京地判」という。
)では、いずれも、証券会社の従業員が、業
界内における H 社または P 社が公募増資を行うといった

を聞き、その真偽

を確かめるために、契約担当役員等(166 条 1 項 4 号、上場会社に由来する内
部情報を知る立場の者)に積極的に接触したり、その言動を注意深く観察して
いた。すなわち、証券会社の従業員 J や O が、
(上場会社や公開買付者に由来
する未公表の)内部情報と、それ以外の情報(すでに公表されている情報や生
じている事象、それらを分析することによって得られた情報)を組み合わせて
いたことをもって、
重要事実を「その者の職務に関し知った」
(法 166 条 1 項 5 号)
と解されるかが問題となった。
これについて、どういった解釈が示されたのか、以下、検討する。
(1)
 
「職務に関し」につき、意思的な情報伝達は必要か
平成 29 年東京高判で原告(J)は、重要事実を「職務に関し知った」といえ
るためには、「その者が役員等である法人の他の役員等[166 条 1 項 4 号]が重
215

論説(萬澤)

要事実を当該会社関係者に『伝達した』又は『流した』といえることが必要…」
であり、
「同号[166 条 1 項 5 号]の会社関係者が他の役員等[166 条 1 項 4 号]
を一方的に調査して得た情報は、
『伝達された』又は『流された』といえない」
と主張していた(以下、
「情報伝達要件説」という。
)。
すなわち、J は、H 社の公募増資について、社内の証券アナリストである K
や機関投資家向け営業部門において募集担当を務めていた L に対して、スケ
ジュールの確認や H 社の

について聞いているが、それは、契約担当役員等

から「伝達された」又は「流された」ものではないから、166 条 1 項 5 号の「職
務に関し知った」に当たらないとしていた。
これについて、平成 29 年東京高判は、
「その方法や態様等を問わないものの、
当該契約の締結若しくはその交渉をする役員等が知った重要事実が法人内部に
おいてその者に伝播したもの(流れて、伝わったもの)と評価することができ
る」ことを求めており、
「伝播」を要求したところ、この「伝播」は、伝達意
思に基づく情報伝達行為を要求するのかが問題となった 22)。
これを肯定する見解は、その根拠として、平成 29 年東京高判の K の回答に
ついて判断した箇所を挙げ(本稿 212 頁参照)

「K がどのような趣旨で上記回
答をしたのかは、K に対する質問調書にも全く記載がなく」、「H 社が本件公募
増資を行うことについての決定をした可能性を積極的に示唆し、あるいは暗に
その可能性を伝えるものであったとは認められない」と述べた部分を引用し、
伝播を否定したとする 23、24)。そして、意思的な伝達行為を求める情報伝達要件
説は、インサイダー取引規制の趣旨に沿うものとは言えず、支持できないと批
判する 25)。
この点、平成元年東京地判は、
「契約担当役員等[166 条 1 項 4 号]との直接
又は間接の職務上の関わり合いを通じて得られた情報」であれば、
「職務に関し」
22) 166 条 3 項にいう「会社関係者…から…伝達を受けた者」の解釈については、会社関係
者が当該業務等に関する重要事実を伝達する意思で実際にその伝達行為を行い、その結果
伝達の対象となった者が当該重要事実を知った場合に、それに該当すると解される。横畠・
前掲注(2)122-123 頁。

216

インサイダー取引規制の検討

知ったを肯定し得ることを認めている。すなわち、意思的な情報伝達行為は必
要ないとの立場をとるもので、学説でも妥当と判断されている 26)。もっとも、
令和元年東京地判は、
「少なくとも情報の発出・ 流通が当該[契約]担当役員
等に帰因することが求められている点」で、平成 29 年東京高判のとった「伝
播説」と異ならないと解されている 27)。
(2)
 どのような場合に「知った」に当たるか
平成 29 年東京高判では、
(契約担当役員等の知った重要事実が「伝播」した
状況で)
「重要事実を構成する主要な事実」の認識を求めていたのに対し、令
和元年東京地判ではより広い射程で捉え、契約担当役員等による経路とそれと
は別の経路による情報を組み合わせて、
「別経路による情報は単なる推測…に
とどまるもの…が、内部情報により…確実…と裏付けられた」なら「知った」
23) 陳宇「判批」法学研究 92 巻 2 号 95, 102-103 頁。また、湯山智教「判批」ジュリスト
1529 号 108,110 頁も、規範としては意思的な伝達行為を求めていないが、事実認定の過程
ではその影響を相当に受けているように解されると述べ批判する。
24) 判旨は、K の回答が「その言い方や文脈(前後の会話の内容)等によっては、H 社が
本件公募増資を行うことについての決定をした可能性を積極的に示唆し、あるいは暗にそ
の可能性を伝えるものと評価できることもあり得なくはない」として、
「J に対し、K…か
ら本件重要事実が伝播した」かにつき、その検討要素の 1 つとして上記の K の回答の趣旨
を検討し、さらに「その前後の会話内容等や[J が]K に尋ねた趣旨、J の受け止め方につ
いては[J に対する質問調書に]ほとんど記載がない」ことにも言及し、J と K の前後の
会話内容や J 側の意図、K の発言を J がどう受け止めたのかも考慮した上で、「K の上記回
答は、H 社の公募増資の可能性について肯定も否定もしなかったというにとどまるものと
いうほかなく、H 社が本件公募増資を行うことについての決定をした可能性を積極的に示
唆し、あるいは暗にその可能性を伝えるものであったとは認められない」と判断したよう
にも思われ、必ずしも意図的な情報伝達行為を求めたものではなかったとの解釈も可能な
ようにも思われる。なお、大山・ 前掲注(19)166-167 頁は、情報伝達要件説について、
詳細な興味深い分析を行なっている。
25) 陳・ 前掲注(23)103 頁。また、段磊「本件原審判批」ジュリ 1508 号 124, 126-127 頁、
湯山・前掲注(23)110 頁等も同様に批判する。
26) 松尾健一「判批」金法 2145 号 55, 56 頁。
27) 行澤一人「判批」ジュリ 1544 号 108, 109 頁。

217

論説(萬澤)

とされると論じられた 28)。
平成 29 年東京高判における J や令和元年東京地判における O は、H 社や P
社の公募増資の

を聞き、その真偽を確かめるために、契約担当役員等といっ

た重要事実を知る立場にあった K、L、ECM 部の従業員から情報を得ようと
していたところ、令和元年東京地判が、平成 29 年東京高判より広く、重要事
実の一部もしくは断片的なものでも組み合わせて推測を確信に変えるなら
「知った」となるとしたことは、こうした J や O を規制対象に含めることがで
きるようになり、学説でも評価されている 29)。
他方で、確実には至らなくてもその認識を強めたなら「知った」とすべきと
の批判がなされている 30)。この批判の理由として、令和元年東京地判の事案に
おける O は一般投資家には知り得ない情報にアクセスできる「特権的立場」
に立ち、実際、契約担当役員等である ECM 部と積極的にコンタクトを取って
おり、
「直接的に内部情報を照会できるような関係」にあったと推認されるこ
とを挙げ、そうした状況では、本件公募増資が確実とまでいかなくても、
「よ
り強く認識するに至った」と強く推認され、規制対象に含めるべきとする 31)。
確かに、業界内の慣習や業界内の人間なら通常有する認識、契約担当役員等

28) 平成 29 年東京高判は、法 166 条 1 項にいう「知った」について、「会社関係者が法人内
の複数の断片的な情報を取得しそれらを組み合わせることによって重要事実を認識するに
至った場合であっても」肯定されるべきとの控訴人(Y)の主張に対し、「Y のいう複数の
断片的な情報には、上場会社等に由来しない法人内部の事実や、重要事実とは関係がない
ような事実も含み得るものであって、しかもそれを組み合わせることによって認識すると
いうのも、金融商品取引市場に流布する

、当該上場会社の業績、開示情報、株価の動向、

証券アナリストの分析、予測等の外部情報の収集力や分析力といった営業員個人の資質に
左右される主観的な推測との区別を曖昧なものとし、客観性、明確性に欠けるものであり、
上記の程度の認識をもって『知った』に当たると解することは、法…の…趣旨に沿うもの
とはいえない」と論じた。このように、重要事実の一部の伝播と市場情報などを組み合わ
せて総合的に重要事実を認識することでは「知った」とはならないとしたことを学説では
批判していた。湯山・前掲注(23)111 頁、松尾・前掲注(26)57 頁等。
29) 行澤・前掲注(27)109 頁、湯山智教「判批」ジュリ 1545 号 99, 101 頁。
30) 湯山・前掲注(29)101 頁。

218

インサイダー取引規制の検討

との関係性等から、平成 29 年東京高判の事案における J や令和元年東京地判
における O が、重要事実の認識に結びつく可能性のあるヒントやシグナル(示
唆情報等 32))をくみ取り、内部情報に近い内容を知ることもあり得ること等に
鑑みると 33)、上記のような批判も一定の説得力を有すると思われる。
しかし、
そういった示唆情報等も、
上場会社に由来する(チャイニーズ・ウォー
ル内で管理される)ものにつながらなければならず 34)、平成 29 年東京高判の
事案における J や令和元年東京地判における O のような、チャイニーズウォー
ルの外側の人間について、重要事実を「職務に関し知った」と解釈するために
は、単にその者が「市場における

」を認識しただけでは足りず 35)、まさにチャ

イニーズウォールの内側で管理されている重要事実を認識したことが必要 36)と
いうことには留意しなければならないと思われる。そして、こうした示唆情報
等の認定に当たっては、当該示唆情報等の内容、性質、それに対する関係者の
31) 湯山・ 前掲注(29)102 頁。また、陳・ 前掲注(23)104-105 頁も、平成 29 年東京高判
の事案で、J が K や L 等の重要事実を知り得る立場にある者に、積極的に H 社の公募増資
の有無の確認をしようとしたことや、K や L の発言が H 社の公募増資を示唆しうるもので
他の情報と組み合わせると本件公募増資を推知しうるものであることを挙げ、このような
場合には「正に、特権的立場を利用した場合」にあたるとして、一般投資家との比較にお
いて有利・ 不公平であるから、判旨が「知った」としなかったことを批判する(段・ 前掲
注(25)127 頁も同旨と思われる)。しかし、業界内の

も含め契約担当役員等からではな

い情報に基づけば、さまざまな推測が成り立ち得た当時の状況に鑑みれば(また、判旨は、
J 自身が、L の発言と自分の推測を組み合わせて H 社の公募増資があるかもしれないと思っ
たと述べており、K の発言には触れていないことにも言及している)、そういった K 及び
L から、後から考えれば示唆するようにも思える発言がなされたとしても、それをもって
「知った」とすることには慎重になるべきと思われる。
32) 日本証券業協会の「協会員における法人関係情報の管理態勢の整備に関する規則」に
よれば、「示唆情報等」とは「それ自体は法人関係情報に該当するわけではないが、他の
情報と相まって法人関係情報となり得る情報」と定義される。同規則は、2022 年 6 月に、
「金
融商品取引業等に関する内閣府令」、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」等の
改正を踏まえ、改正され、示唆情報等の管理等に関する規定も改められた。
33) また、松尾・ 前掲注(26)58 頁は、公募増資の確実性を裏付ける情報を契約担当役員
等から担当外役員等が得たことを示す直接的証拠を入手することは、事案によってはかな
り困難である旨、指摘する。

219

論説(萬澤)

認識、重要事実との関連性を断絶するための措置の有無等を勘案し、他の公開
情報ないし未公表の非重要事実と相俟って重要事実の存在やその内容をチャイ
ニーズウォールの外側の人間が認識し得るか否かを慎重に検討する必要がある
と思われる 37)。
この点、令和元年東京地判が述べた、契約担当役員等による経路とそれとは
別の経路による情報を組み合わせて、
「別経路による情報は単なる推測…にと
どまるもの…が、内部情報により…確実…と裏付けられた」こと(

を確実な

ものとして裏付けた示唆情報)を示した事案として、平成 25 年 1 月 8 日付で課
徴金納付命令が発出された平成 24 年度(判)第 15 号が指摘されている 38)。
Ⅳ.令和 4 年最決の検討
最高裁は、すでに紹介した 2 つの下級審裁判例での議論を踏まえ 39)、
「職務
に関し知った」
(167 条 1 項 6 号)の解釈につき、次の点を明らかにしたと考える 40)。
まず、「職務に関し」について、本件では契約担当役員等である B から意思
的な情報伝達が Y になされたわけではないから、
「情報伝達行為」は要しない
としたと解される。また、本件公開買付けの実施の事実を知っていた B が作
成した「本件一覧表」と B 自身の発言を「組み合わせること」が、経路とし
て指摘されているから、
「情報の発出・ 流通が…[契約]担当役員等に帰因す
34) 深水大輔「『公募増資インサイダー事案』に見られる解釈・事実認定上の課題について」
信州大学法学論集 22 号 151, 153-154 頁参照。同論文は、「『職務に関し知った』と認定する
には、少なくとも、当該役職員がその職務の内容として内部情報を知りうる立場にあるこ
とに起因して、チャイニーズウォールの内側で管理されている『重要事実』を認識するに
足る、重要なシグナルないしヒントを認識したことが必要となろう」と述べている。
35) 深水・ 前掲注(34)153 頁。同論文は、チャイニーズウォールの外側にいる人間も、市
場においてさまざまな

に接することがあるが、そのような「市場における

づいて公募増資の存在を「予測」したとしても、それはあくまでも「

」のみに基

に基づく予測」に

過ぎず、結果としてその予測が的中しても、「重要事実」を「職務に関し知った」とはな
らないことも指摘する。
36) 深水・前掲注(34)153 頁。
37) 深水・前掲注(34)154 頁。

220

インサイダー取引規制の検討

る 41)」ことは求めていると思われる。さらに、自分の業務遂行のための閲覧で
はなくても(業務とは関係なくファイルを見た場合でも)
、特定の部署のみ閲
覧可能な情報を閲覧した場合には「職務に関し」が認められるとし、
「職務に
関し」を広く解したと思われ評価できる。
次に、「知った」について、上場会社等に由来する(チャイニーズ・ ウォー
ル内で管理される)情報と由来しない情報とを組み合わせて、判断されるとし
たことも意義があると思われる。ただし、上場会社等に由来する情報が、より
38) これは、資産運用をしていた被審人の代表社員において、平成 22 年 8 月 20 日、U 證券
会社の営業部門の従業員 V1 から、同社の引受部門の従業員 V2 らが同社と W 社との間の
引受契約の締結の交渉に関して知り、その後 V1 がその職務に関し知った、W 社の公募増
資の伝達を受け、上記事実の公表日(平成 22 年 8 月 24 日)前に、W 社株式を売りつけた
ことが 166 条 3 項に違反することが問題とされたものである。上記重要事実は、U 証券の
引受部門の従業員 V2 らが、W 社との引受「契約の締結…の交渉…に関し」知り(法 166
条 1 項 4 号)、その後 Z がその「職務に関し」知って(同項 5 号)、被審人に伝達された(同
3 項)とされたところ、V1 が「職務に関し」知ったということの検討において、次の点が
指摘された。(i)U 證券の中で、W 社の公募増資の話は

されていたこと(V1 の所属する

営業部門に隣接するトレーディング部門において、W 社の公募増資が実施される可能性が
高いことが

され、同部門の V3 は営業部門の V4 にその旨問い合わせたこと、営業部門

V5 は自らの分析や同社を担当するアナリストの動向等から W 社の公募増資の可能性が極
めて高いと考えており、営業部門 V6 とその話をしていたこと、トレーディング部門の V7
は V1 に W 社の公募増資を行う理由を確認したこと、営業部門の V8 は外部に W 社公募増
資の

を話したこと等、指摘されている)、
(ii)同年 8 月 20 日の朝会で、V9 または V10 から、

同月 24 日にドライラン(公募増資の実施の公表後、株式の発行者が主幹事証券会社に対し
て公募増資の概要等を説明するために開催される説明会)及びドライラン後のアナリスト
とのミーティングが予定されているため、その時間帯は空けておくよう指示があったこと
(営業部門に所属する者であれば、ドライランが行われる日には、公募増資または新規株
式公開の公表がなされることを容易に認識できた)である。これらのことから、V1 は、W
社の公募増資の実施の可能性を示す情報に接していたところ、8 月 20 日にドライランの実
施に係る情報を得たことで、W 社の公募増資が同月 24 日に実施されることを確信するに
至ったとされた。
39) もっとも、2 つの下級審裁判例は、チャイニーズ・ ウォールの外側にいた者が「職務に
関し知った」か否かが問題となっており、チャイニーズ・ ウォールの内側にいた者が問題
となった令和 4 年最決とは事案として大きく異なる。
40) ここでの検討につき、東京大学商法研究会において有益な示唆を得た。

221

論説(萬澤)

部分的であった場合については、最高裁は解釈を示していない。すなわち、
「本
件一覧表」と B 自身の発言で、Y は「重要事実を構成する主要な事実」を認
識したと解されるから(上場会社等に由来しない情報は、公開買付けの対象会
社となる C 社の上場子会社がどこか、ということだけであった)、
「主要な事実」
を認識するとまでは言えない場合に、どの程度認識すれば、職務に関し「知っ
た」とされるのかは、明らかにされていない。たとえば、本件で、Y は B の不
注意な発言で Infinity 案件の公開買付者が C 社であることを明確に知ったとさ
れるが、これほど明らかな形では公開買付者を認識しなかったらどうであった
のか。または、本件で、Y は C 社の上場子会社が D 社のみであることを C 社
の有価証券報告書を閲覧することで確認したが、これがもし 1 社に絞られず、
3 社であったら(またはそれより多かったら)どうであったのか。
本件ほど「主要な事実」を明確に認識しなかった場合に、どのように解釈さ
れるのか、今後の動向が注目される。

おわりに
本稿Ⅰ.で述べた通り、従来、
「職務に関し知った」の要件は、インサイダー
取引規制の趣旨(内部情報を知りうるという他の投資家と比べて特権的立場に
ある者が重要事実を知って取引等を行うことは一般投資者との関係できわめて
不公平か否か)にそって解釈されるべきとされてきた。これと整合的に解釈す
るのであれば、本稿で取り上げた 2 つの下級審裁判例も令和 4 年最決も、イン
サイダー取引に当たるとなるであろうことは、すでに本稿Ⅲ.3.で見てきた
通りである。いずれも、証券会社の従業員が、内部情報を知り得る特権的立場
にあることを利用して、内部情報にアクセスしようとしていた事案であり、そ
のような者が取引等を行うことは、一般投資者との関係で極めて不公平になる
からである。
しかし、チャイニーズ・ウォールの外にいた J(平成 29 年東京高判)や O(令
41) 行澤・前掲注(27)109 頁。

222

インサイダー取引規制の検討

和元年東京地判)は、日常的に株式市場等の情報に接しており、業界内の



飛び交い、契約担当役員等からではない情報に基づけば、さまざまな推測が成
り立ち得る状況に身を置いていた。そのような中で、J や O のような担当外役
員等が「職務に関し知った」
(法 166 条 1 項 5 号、167 条 1 項 6 号)と言えるた
めには、契約担当役員等の回答や発言によって、その者が有していた推測の一
つがそれ以外の推測とは異なるものになる(これを「確実」と裏付けられると
いうかどうかは別として)ということは、最低限満たされなければならないの
ではないかと思われる。
【付記】
筆者が筑波大学に赴任して 3 年半の間、大塚章男先生から、法曹を目指す社会人を対
象とした大学院における授業のこと、研究に対する想い・ その姿勢、外国の法制度を研
究するということの意義等、本当にたくさんのことを御教示賜った。大塚先生は、研究
に対しては大変厳格でおられながらも、教育に関しては常に大きな愛で接しておられ、
法科大学院での教歴がなく、右も左もわからないような状況にあった筆者にも、親身に
なって相談に乗って下さり、さまざまな御助言をくださった。
大塚先生の訃報はあまりに突然で、筆者は大塚先生に御礼をきちんと申し上げること
すらできなかった。せめて、大塚先生から御教示賜ったことを少しでも生かすことがで
きるように努力することを誓い、大塚先生に哀悼の意を込めて本稿を捧げたい。
なお、本稿は、日本証券業協会の客員研究員としての研究成果である。

(まんざわ・ようこ 筑波大学ビジネスサイエンス系准教授)

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