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大学・研究所にある論文を検索できる 「PHD2欠損が骨格筋の肥大応答へ及ぼす影響に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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PHD2欠損が骨格筋の肥大応答へ及ぼす影響に関する研究

高田 拓明 東北大学

2021.03.25

概要

【背景】低酸素トレーニングは, 筋力トレーニングによる筋肥大や運動機能向上を効率良く向上させる手法として近年注目されている.低酸素への暴露方法は, 低酸素ルームでの全身性と加圧を用いた骨格筋の虚血による局所性が知られているが, 筋肥大効果についてそれぞれ否定的な意見もあり, また両者の有効性について比較検討した報告はない.低酸素環境下では, 転写調節因子子hypoxia inducible factor (HIF)が安定することで低酸素応答関連遺伝子の転写活性といった一連の生理応答(低酸素応答)が起こる.プロリル水酸化酵素ドメイン2(PHD2)はHIFの安定を制御していることから低酸素応答に重要とされている.このことから我々は, PHD2を全身と局所それぞれでノックアウトできる2系統のモデルマウスを用い, 筋肥大を誘導するトレーニング刺激を加えることでPHD2ノックアウトによる低酸素応答が骨格筋の肥大応答へ及ぼす影響を明らかにでき, 全身性と局所性の効果検証をできると考えた.

【目的】本研究では, PHD2を全身と局所それぞれでノックアウトできる2系統のモデルマウスを用い, 筋肥大を誘導するトレーニング刺激を加えることでPHD2ノックアウトによる低酸素応答が骨格筋の肥大応答へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.

【方法】PHD2条件付きノックアウトマウス(Phd2 cKOマウス)と骨格筋特異的ノックアウトマウス(Phd2 mKOマウス), それぞれのコントロールマウス(Phd2f/f)を作出した.PHD2ノックアウトによる影響を調べるために体重, 臓器重量, 血液を解析した.PHD2ノックアウトのトレーニングによる筋肥大効果への寄与を調べるために機能的過負荷によるトレーニング実験を行い, 足底筋(Plamtaris)の筋重量を解析した.同様に, 骨格筋機能への寄与を調べるために底屈トルク及び筋持久力(筋疲労耐性)を解析した.

【結果と考察】筋肥大の解析について, 機能的過負荷によるPhd2 cKOマウスの機能的過負荷側(Overload側)の足底筋の筋湿重量は, Phd2f/fマウスのOverload側と比べて有意な変化を示さなかった.一方で, Phd2 mKOマウスのOverload側は, Phd2f/fマウスのOverload側と比べて有意に増大した.このことからPHD2ノックアウトが筋肥大応答へ及ぼす影響について, 骨格筋のみでのPHD2ノックアウトが重要であること, 全身性の低酸素応答特有の血液の変化を必要としないことが示唆された.筋機能の解析について, 7日間の機能的過負荷による足底筋の最大トルクは全ての群間で有意な変化を示さなかった.足底筋の筋疲労耐性では, Phd2 cKOマウスおよびPhd2 mKOマウスは, 擬似手術と比較して, 筋疲労耐性に有意な差を認めた.さらに, Phd2 cKOマウスの機能的過負荷側における筋疲労耐性は, Phd2f/fマウスの機能的過負荷側と比較し, 有意な差を認めた.PHD2 mKOでは認めなかった.低酸素トレーニングによる走距離による全身持久運動能力獲得に関するこれまでの報告では, 低酸素応答による血液の変化が重要とされている.本研究の結果は, 全身性の低酸素応答と機能的過負荷によって筋持久力である筋疲労耐性の強化を引き起こし, 骨格筋特異的な低酸素応答では起こらなかった.すなわち, 低酸素応答と運動トレーニングによる筋疲労耐性の獲得には全身性の低酸素応答による血液の変化が重要であることが示唆された.また, 低酸素応答はそれ自体で運動機能の獲得には至らず, トレーニングを組み合わせることで運動能力を獲得できることが報告されているが, 本研究でも低酸素応答のみでは変化せず, 低酸素応答とトレーニング刺激を組み合わせることで筋疲労耐性が増強した.低酸素応答と運動トレーニングを組み合わせることで運動能力を獲得できることを示唆する.低酸素応答はトレーニングを組み合わせて効果が得られる.これまでの結果を支持する結果となった.重要なことは, 低酸素応答下において骨格筋の肥大を誘導するトレーニング刺激を速筋線維に対し恒常的に付加した場合, 全身性の低酸素応答では筋持久力に寄与し, 骨格筋の低酸素応答では筋肥大の効率に寄与するということが明らかとなった.

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