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大学・研究所にある論文を検索できる 「Serum exosomal miR-638 is a prognostic marker of HCC via downregulation of VE-cadherin and ZO-1 of endothelial cells」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Serum exosomal miR-638 is a prognostic marker of HCC via downregulation of VE-cadherin and ZO-1 of endothelial cells

横田, 祐貴 大阪大学

2021.04.30

概要

〔目 的(Purpose)〕
 肝細胞癌における根治治療後の5年生存率は約40%であり、治療成績は依然として不良である。その理由として、高率に肝内転移を来すことが挙げられるが、その分子生物学的機序は不明な点が多い。近年、癌転移の機序として細胞外小胞であるエクソソームの関与が示唆されており、エクソソームが転移先臓器に前転移ニッチを形成することにより、転移を促進していると考えられている。本研究の目的は、肝細胞癌におけるエクソソームを介した肝内転移機序の解明と臨床的意義を検討することである。

〔方 法(Methods)〕
 肝内高転移能株を以下の方法で樹立した。ヒト肝癌細胞株HuH-7を、免疫不全マウスの脾臓内に投与し経門脈的に肝内に腫瘍を形成させ、腫瘍を摘出・細切した後に、シャーレで培養後に別のマウスの脾臓に再投与した。これを4サイクル施行し、得られた細胞株を肝内高転移能株(HuH-7M)とした。ヒト肝癌細胞親株(HuH-7P)とHuH-7Mの増殖能、apoptosis、蛋白発現を、proliferation assay、annexin V assay、anoikis assay、western blotで比較した。HuH-7P細胞とHuH-7M細胞の培養上清よりエクソソームを回収し、マウス腹腔内に投与することによる経脾臓HuH-7P投与後の肝内腫瘍形成能の変化を比較した。肝内の非腫瘍部におけるvascular endothelial-cadherin(VE-cadherin)とzonula occludens-1(ZO-1)の蛋白発現を蛍光免疫組織染色で評価した。血管内皮細胞(HUVEC)に対し、エクソソーム添加後のVE-cadherinおよびZO-1の発現変化を、qRT-PCR、western blot、蛍光免疫細胞染色で評価した。血管透過性の変化をFITC標識Dextranによるpermeability assayで評価した。HuH-7P及びHuH-7M由来エクソソームにおけるmiRNAに関して網羅的発現解析を行い、シグナル比が2倍以上のmiRNAを同定した。同定されたmiRNAのうち、miR-638、miR-663a、miR-3648、miR-4258の強制発現をHUVECに対して行い、VE-cadherinおよびZO-1の蛋白発現変化をwestern blotと蛍光免疫細胞染色で、透過性の変化をpermeability assayで評価した。肉眼的根治切除を施行した肝細胞癌54例の術前血清中のエクソソームにおけるmiR-638、miR-663a、miR-3648、miR-4258の発現をqRT-PCRで評価し、臨床病理学的解析を行った。

〔成 績(Results)〕
 HuH-7PあるいはHuH-7Mを脾臓内投与後に脾摘を行う腫瘍形成試験において、HuH-7M投与群において腫瘍形成率の上昇を認めた(67%vs0%)。HuH-7M細胞はHuH-7P細胞と比較して、細胞増殖能の増加、apoptosisおよびanoikisの抑制を認めた。EMT関連蛋白や癌幹細胞マーカーの発現には差を認めなかった。HuH-7M由来エクソソーム投与群は、HuH-7P由来エクソソーム投与群と比較し、HuH-7P投与後の腫瘍形成率の上昇を認めた(33%vs0%)。HuH-7M由来エクソソーム投与群の非腫瘍部において、CD31陽性細胞におけるVE-cadherinとZO-1の発現低下を認めた。HuH-7M由来エクソソームを投与したHUVECにおいて、VE-cadherinとZO-1の発現低下と細胞透過性亢進を認めた。エクソソームにおけるmiRNAの網羅的発現解析を行ったところ、HuH-7M由来エクソソームにおいて22個のmiRNAの発現亢進を認め、これらのmiRNAのうち、miR-638、miR-663a、miR-3648、miR-4258をHUVECに強制発現させたところ、VE-cadherinとZO-1の発現低下、細胞透過性亢進を認めた。肝細胞癌患者54例の術前血清中エクソソームにおける各miRNAの発現値に関して、それぞれの中央値にて低発現群(27例)と高発現群(27例)の2群に分類した。miR-638高発現群において、無病生存期間の短縮を認め(p=0.0197)、肝外転移も高頻度であった。単変量・多変量解析の結果、男性、DCP高値、多発腫瘍、miR-638高発現群の4つの因子が、無病生存期間における独立予後不良因子であった。

〔総 括(Conclusion)〕
 肝細胞癌において、エクソソームのmiR-638は血管内皮細胞におけるVE-cadherinおよびZO-1の発現抑制を介して、肝内転移機序に関与している可能性が示唆された。末梢血エクソソームのmiR-638高発現は、再発予後マーカーとなりうることが示唆された。

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