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大学・研究所にある論文を検索できる 「Significance of IP-10/CXCL-10 measurement in predicting post-DAA treatment liver function in patients with HCV-decompensated liver cirrhosis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Significance of IP-10/CXCL-10 measurement in predicting post-DAA treatment liver function in patients with HCV-decompensated liver cirrhosis

加藤 亮 山梨大学

2021.03.23

概要

( 研究の目的)
近年、直接作用型抗ウイルス製剤(DAA)によりC型肝炎治療は劇的に進歩し、インターフェロンフリーのDAAベースのレジメンにより、ほとんどの症例で高率にsustained virologic response(SVR)が達成されるようになった、またSVRを達成した慢性C型肝炎症例の予後が改善されることが明らかになりつつある。ソフォスブビル/ベルパタスビルの登場により、非代償性C型肝硬変症例も治療の対象となり、治療対象が広がったが、非代償性C型肝硬変症例の場合、SVR後の予後は常に改善するとは限らず、治療後の予後を予測できる適切な指標の開発が望まれている。
IFN-γ誘導タンパク質10(IP-10)/ケモカイン(CXCモチーフ)リガンド(CXCL)10は、ELR-CXCケモカインファミリーに属し、IFN-γに反応し各種免疫細胞から分泌される。慢性C型肝炎においては感染時に肝臓でIFN-γが産生されることでIP-10が分泌され、特定のリンパ球遊走に関与するとされている今回DAA治療前後でのIP-10の値を測定することで肝機能とどのような関係があるのか、治療前後での推移が肝機能の評価に有用なのかを検討した。

( 方法)
対象は、山梨大学医学部付属病院 第一内科で ASV / DCV またはSOF / VEL の併用療法を受けた 47例のHCV 感染症例で、ASV / DCV 治療症例が 30 例、そのうち 15 例は治療前のフィブロスキャン<12 kPa、 15 例は治療前のフィブロスキャン≧12kPa の症例を選択し対象とした。一方で SOF/ VEL 治療症例は治療をおこない完遂した 17 例を対象とした。そのうえで治療開始時 Child-Pugh スコア A かつ、フィブロスキャン<12 kPa の症例を慢性肝炎群(n=15)、治療開始時 Child-Pugh スコア A かつ、フィブロスキャン≧12 kPa の症例と治療開始時 Child-Pugh スコア A の SOF/VEL 治療症例を代償性肝硬変群(n=17)、治療開始時 Child-Pugh スコア B 以上の症例を非代償性肝硬変群(n=15)として検討をおこなった。各患者の血清は入院時または外来診察時に採取し、その後-30°C で保存された。得られたサンプルを使用し血清 IP-10 を測定した。血清中のIP-10 の定量分析は、CXCL10、Human、ELISA Kit、 Quantikine(R&D Systems, Inc.)を使用した。
DAA療法を受けた47人の患者の血液サンプルの内、治療前、治療終了時、およびSVR12のものを使用し血清IP-10を測定した。

(結果)
慢性肝炎群(CH群)の平均IP-10は、治療前 367 pg / ml、治療終了時 102 pg / ml、SVR12 68 pg/ ml、代償性肝硬変群(cLC群)の平均IP-10は、治療前 215 pg / ml、治療終了時 91 pg / ml、SVR12 77 pg/ml、非代償性肝硬変群(dLC群) の平均IP-10は、治療前 283 pg / ml、治療終了時 131 pg / m l、SVR12 182 pg/ml、治療前と治療終了時の平均IP-10は3群間で有意な差を認めなかったが、SVR12での平均IP-10はCH群、cLC群それぞれがdLC群と比較して有意に低値となった(CH vs dLC:P = 0.0048 , cLC vs dLC:P = 0.0062)。またCH群、cLC群の治療前の平均IP-10は治療終了時、SVR12それぞれで有意な低下を認めたが、dLC群では有意な差を認めなかった。
dLC群 15例をSVR12の時点でChild-Pugh Score が1点以上改善したか否かで分けた場合、Child-Pug hスコアの改善を認めたのが10例(67%)、認めなかったのが5例(33%)であった。改善群の平均IP-10は、治療前 375 pg / ml、治療終了時 126 pg / ml、SVR12 143 pg / ml、非改善群の平均IP-10は、治療前 100 pg / ml、治療終了時 142 pg / ml、SVR12 260 pg / mlであった。改善群の治療前の平均 IP-10は非改善群に比べ有意に高値であった。(P = 0.0275)また改善群の治療前の平均IP-10は治療終了時、SVR12それぞれで有意な低下を認めたが、dLC群では逆に治療前よりもSVR12で平均IP-10が有意な上昇を認めた。

( 考察)
血清IP-10はHCV感染時に高値で、IFNおよびDAA療法後に有意に低下し、治療が成功した後には正常群と同程度まで低下するとされていた。しかし、今回CH群、cLC群、dLC群に分けてIP-10の値とその推移を調べたところ、dLC群、特に治療後にC-Pが改善しなかった症例はIP-10の値が治療前に低く、治療成功後にも低下せず、逆に上昇するという特異な傾向があり、治療後の肝機能改善を予測するマーカーになりうると考えた。

(結論)
DAA治療をおこなったHCV感染患者47例を分析した。CH群、cLC群の平均IP-10は、治療前からSVR後12週間までの間に有意に低下したが、dLC群では、治療前からSVR12週間までの間に有意な変化は認めなかった。治療前のIP-10の値、その後の推移が治療後の肝機能の評価に有用である可能性が示された。

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