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大学・研究所にある論文を検索できる 「砂州形態の変化に伴う蛇行流路形成と河岸浸食に関する移動床水理研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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砂州形態の変化に伴う蛇行流路形成と河岸浸食に関する移動床水理研究

加藤, 千惠 カトウ, チエ 群馬大学

2021.09.30

概要

近年,複列砂州における河道特性の変質として,複列砂州の特徴である 2 列蛇行流路が 1 列の蛇行流路に集約する(単列化)が生じており,これによって洪水流が集中して流下し大きな河岸被災が生じている.また,このような河道特性は河道固定や砂州の樹林化をもたらすことから治水,河川環境面も好ましくなく,その改善が河道管理上の重要な課題である.本研究は,この河道特性の変質,すなわち複列砂州の変形としての単列化に伴う蛇行流路形成とそれが引きおこす河岸侵食の機構を明らかにすることを目的として,現地河川資料解析,移動床水理実験および流況・河床変動解析から検討したものである.

第 1 章では,本研究の序論として,複列砂州の単列化すなわちモード減少に関する既往研究と本研究での位置づけを明確にし,本研究の目的を述べた.

第 2 章では,砂州領域の異なる実河川での河岸被災事例から,特に砂州形態の変化に着目して,河岸侵食の発生要因及びその過程を検討した.複列砂州河道での河岸被災は,複列砂州の 2 列蛇行が単列化するときに生じ,その蛇行頂部に形成した水衝部で河岸被災が発生していることを示した.複列砂州から単列砂州への変形では,砂州への植生の侵入をきっかけとした流れの偏在によることを示唆した.

第 3 章では,複列砂州河道において,複列砂州の変形としての単列蛇行化とその蛇行流による河岸侵食の進行状況に着目し,直線水路を用いた水理模型実験及び数値解析により,その素過程について考察した.複列砂州河道から単列砂州化が進行する過程(複列砂州の単列化)は,左右岸対象に位置する河岸砂州のいずれかの河岸砂州の発達により,複列砂州の対称性が崩れ,これをきっかけとしてその下流に向かって進行することを示した.

第 4 章では,単列化を強める外部条件として,上流からの土砂供給に着目し,移動床水理実験と数値解析から,複列砂州の単列化とその蛇行流の進行に与える土砂供給の影響を検討した.河床低下傾向にある区間では複列砂州は形成されず,土砂輸送が活発になる区間,特に河床上昇傾向の区間では,複列砂州の形成とその変形過程として単列蛇行流路の形成が見られ,側岸侵食が進行することを示した.

第 5 章では,単列蛇行化を強める外部条件として,側岸侵食が砂州形態の変化に与える影響に着目し,移動床水理実験と数値解析から,蛇行流路形成と側岸侵食,側岸からの土砂供給の関係について,蛇行と河岸侵食の相互作用系としての観点からその素過程解明につながる知見を得ることを目指した.側岸を固定しない場合では,側岸侵食により生じた 供給土砂が河岸沿いの侵食域の下流に堆積することで砂州が形成され,側岸からの土砂供 給と川幅拡幅による掃流力の減少により堆積傾向が強まる中で単列化が進むことを示した.断面流砂量は,側岸条件に関わらず経時的に減少しているが,側岸を固定しない場合では, 河岸侵食区間では蛇行頂部(水衝部)付近で縦断方向流砂量が大きくなり,その直下流で の流砂量の減少から堆積域が生じ,これにより流向が変化し,それが縦断方向で繰り返し 生じて単列蛇行化がさらに強調される.単列化の発達過程において,縦断方向流砂量の縦 断方向および横断方向の偏在が寄与しているとの知見を得た.

第 6 章では,単列蛇行化を強める外部条件として,砂州への植生の侵入に注目した.併せて河岸条件(固定,非固定)の影響も数値解析により検討した.単列砂州形成の水理条件において単列砂州形態を維持する中で,砂州の植生化は単列蛇行流路の発達を促すこと,護岸の設置は護岸に沿うみお筋の形成(直線化)を促すこと,さらに河岸侵食が生じることで蛇行偏角の大きな単列蛇行流路が形成されることを定性的ではあるが数値実験から提示した.次に,単列・複列砂州形成の境界に位置した水理条件では,植生の侵入は複列砂州河道の段階で発生し,単列蛇行化のプロセスにおいて,植生が流砂量の縦横断方向の偏在を強調する役割を有していることを示した.河岸侵食による側岸からの土砂供給で形成された堆積域周辺では掃流力の減少が生じ,堆積域への植生の侵入によりさらに掃流力を減じ,次第に砂州が固定されることで蛇行流路と水衝部の固定が生じ、縦断方向に繰り返しが発生する過程を示した.

第 7 章では,第 2 章で見た実河川の被災の発生過程について,第 3 章から第 6 章までの考察で得た知見を対応させ,河岸防護必要箇所や水衝部の把握に資する管理指標の抽出し,今後の河道管理への活用を試みた.管理指標は現地への適用性を考慮し,新たなデータ取得や複雑な解析を必要とせず,現地での目視,各河川で定期的に取得している横断測量データや航空写真等の基礎データから整理可能なものとし,砂州の固定化による河道の二極化の状態を示す「横断比高差」,および移動性の砂州と固定化した砂州の混在状況を示すものとして「川幅または川幅水深比の縦断変化」,砂州波長の縮小を示すものとして「蛇行波長,蛇行角度」を提案した.

第 8 章では,本研究の成果と今後の課題についてまとめた.
本研究から得られた知見は今後の河川管理の工学的な進展に貢献するものであると考える.

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