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大学・研究所にある論文を検索できる 「SKP1-CUL1-F-box (SCF) 型ユビキチンリガーゼによる筋萎縮性側索硬化症関連タンパク質の量的制御機構」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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SKP1-CUL1-F-box (SCF) 型ユビキチンリガーゼによる筋萎縮性側索硬化症関連タンパク質の量的制御機構

渡辺 靖章 東北大学

2020.09.25

概要

ユビキチン・プロテアソーム系は細胞内のタンパク質恒常性を保つことで神経細胞の機能維持に必須の役割を果たしている。代表的なユビキチンリガーゼである SKP1-CUL1-F-box (SCF) 複合体は近年、パーキンソン病やポリグルタミン病といった神経変性疾患の病態形成に関わるという報告が相次いでいる。運動ニューロン特異的な難治性変性疾患である筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic Lateral Sclerosis: ALS) は約 1 割が家族性に発症することが知られ、2016 年に関連遺伝子として C21ORF2 (Chromosome 21 Open Reading Frame 2)と NEK1(Never in mitosis gene a-related kinase 1)が報告された。C21ORF2 は主に機能未知のロイシンリッチリピートから成るタンパク質であり、NEK1 はセリン・スレオニンリン酸化酵素として細胞周期制御や DNA 損傷修復等の生理学的プロセスに関わる。両者は繊毛病においても変異が報告されており、同一の経路で機能していると考えられる。既報ではプロテオミクス解析により C21ORF が SCF 複合体の構成タンパク質と結合することが判明し、SCF 複合体が ALS 病態にも関与する可能性が示唆されている。本研究では SCF 複合体による C21ORF2 の分解機構を解析し、C21ORF2 のタンパク質量の変動が NEK1 の細胞内代謝機構へ与える影響を明らかにすることを通して、C21ORF2 変異が病原性を獲得する機序と、ALS 病態の主座である運動神経の表現型へ及ぼす効果を検証した。培養細胞 (HEK293T, mIMCD3, SH-SY5Y) および試験管内 (in vitro) での実験系にて各タンパク質間の相互作用の解析を行った。表現系解析においては C21orf2 変異を導入したマウス ES 細胞から転写因子(Neurogenin2, Islet1, Lhx3) の発現により分化誘導した運動ニューロンの総神経突起長を指標とした。その結果、FBXO3 を基質受容体タンパク質とする SCFFBXO3 複合体が実際に C21ORF2 野生型タンパク質をユビキチン・プロテアソーム分解に導くこと、この C21ORF2 の分解機構は NEK1 による C21ORF2 のリン酸化によって抑制されることを明らかにした。興味深いことに、ALS 関連C21ORF2 変異型タンパク質は FBXO3 に結合せず分解されないこと、この差異は NEK1 による C21ORF2 のリン酸化の受けやすさの違いから生じること見出した。また、NEK1 の安定性は C21ORF2 に依存しており、FBXO3 欠損細胞では C21ORF2 のみならず NEK1 の蓄積もみられた。C21orf2 変異を導入したマウス ES 細胞では C21orf2 と Nek1 タンパク質の過剰な安定化がみられ、分化誘導した運動ニューロンでは神経突起の伸長不全がみられた。以上から、C21ORF2 は SCFFBXO3 複合体によるユビキチン化と NEK1 によるリン酸化によってタンパク質安定性が制御されること及び、SCFFBXO3 複合体は C21ORF2 のみならず、NEK1 も間接的に抑制していることが明らかとなった。また、C21ORF2 変異型タンパク質は NEK1 により過剰にリン酸化されることで分解を受けず安定化しており、NEK1 の蓄積と運動ニューロンの異常を引き起こすことが示唆された。これらの知見は SCFFBXO3 複合体による C21ORF2 の量的制御機構の破綻が ALS 病態を誘導することを示唆しており、C21ORF2 変異 ALS では C21ORF2 と NEK1 両タンパク質の蓄積が運動ニューロン死の一因となっている可能性がある。

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