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大学・研究所にある論文を検索できる 「Porphyrins ameliorate spinocerebellar ataxia type 36 GGCCTG repeat expansion?mediated cytotoxicity」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Porphyrins ameliorate spinocerebellar ataxia type 36 GGCCTG repeat expansion?mediated cytotoxicity

平柳, 公利 ヒラヤナギ, キミトシ Hirayanagi, Kimitoshi 群馬大学

2021.06.30

概要

現在までに、エクソン、イントロン、5'または3'側の非翻訳領域に位置するマイクロサテライトリピート伸長に起因する、さまざまな神経・筋疾患が同定されている。脊髄小脳失調症 36型(SCA36 )は、Nucleolar protein 56 (NOP56 )遺伝子のイントロン1 における、GGCCTG hexanucleotide repeat(HNR)の病的伸長に起因し、HNR伸長によって生じることが明らかとなった最初の遺伝性脊髄小脳変性症である。SCA36の発見に続き、c9orf72遺伝子のイントロン1における、 GGGGCC HNRの病的伸長が、家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)/前頭側頭型認知症(FTD)を生じることが明らかとなった。両者の伸長HNRモチーフには類似性があることから、臨床的には異なるこれらの疾患の分子病態に共通性があるのかどうか注目されている。

 これら非翻訳マイクロサテライトリピート伸長病では、相互に共存しうる3つの病態、すなわち、 protein loss-of-function, toxic RNA gain-of-function, repeat associated non-ATG (RAN) translationが疾患形 成に関与していると考えられている。また近年、グアニンに富む塩基配列によって形成される、4 重鎖のDNAまたはRNAの2次構造であるG-quadruplex(GQ)が関与する分子病態も提起され、注目を集めている。

 GQは転写、翻訳、組換え、エピゲノム制御など、さまざまなDNAやRNAの機能に関与していると考えられており、GQを介した遺伝子調節の異常が神経変性を引き起こすことが示唆されている。実際に、c9orf72におけるGGGGCC HNRでは、RNA-GQがRNA結合タンパクと相互作用し、スプライシングを阻害する知見が示されている。GQはc9orf72-ALS/FTDの潜在的な治療標的と考えられ、いくつかの治療候補低分子化合物が同定されている。これらのうち、テロメラーゼ阻害剤であるカチオン性ポルフィリン TMPyP4は、GGGGCC HNR RNA-GQに結合し、RNA結合タンパクとGQとの相互作用を阻害することが示され、c9orf72-ALS/FTDの治療候補化合物と考えられている。

 SCA36 GGCCTG HNRもGQを形成する可能性が報告されているため、TMPyP4や他のポルフィリン誘導体がSCA36の潜在的な治療候補化合物になりうると仮定して本研究を行った。初めに合成 RNAオリゴヌクレオチドを用いて、円偏向二色性(circular dichroism; CD)スペクトロスコピーにより、SCA36 GGCCUG HNR-RNAがGQを形成するかどうかを調➴た。CDスペクトルによる解析では、GGCCUG HNR-RNAはGQを形成するものの、GGGGCC HNR-RNAが形成するGQと比較して不安定であり、in vitro 条件ではA型ヘアピン構造が優位であると推測された。次に、人工合成した伸長HNRを導入したSCA36細胞モデルおよびc9orf72-ALS/FTD細胞モデルを作成して、細胞モデル内でのRNA-GQの局在について、抗GQ抗体による蛍光免疫染色とRNA FISHの組み合わせ解析によって検討した。結果として、SCA36細胞モデルではc9orf72-ALS/FTD細胞モデルと同様に核内において、伸長HNRの凝集体であり、病態マーカーでもあるRNA fociとGQ構造の共局在を認めた。

 また、SCA36細胞モデルにTMPyP4を添加して培養したところ、RNA fociの形成が著明に抑制された。この結果を受け、ポルフィリン誘導体がRNA fociの形成を抑制するクラスエフェクトを有することを仮定し、すでに臨床使用されているポルフィリン誘導体についても検討を行った。SCA36細胞モデルにTMPyP4、cyanocobalamin (CC)、sodium copper chlorophyllin (SCC)、hemin chloride (HC)をそれぞれ添加して培養したところ、SCCとHCはTMPyP4と同様にRNA fociの形成を抑制したが、 CCではRNA fociの形成抑制効果は認められなかった。さらにRNA fociの形成抑制が、GGCCUG HNR-RNAによりもたらされる細胞毒性に対する治療効果を検討するため、LDH cytotoxicity assay、 cell viability assayにより解析した。その結果、SCCとHCはいずれもcytotoxicityを低減し、cell viabilityも改善したが、TMPyP4とCCはいずれも有意な治療効果を示さなかった。

 SCCは胃十二指腸潰瘍の治療薬や食品添加物として、HCは急性間欠性ポルフィリン症の治療薬や鉄分のサプリメントとして既に臨床利用されている。それらの安全性、副作用に関するデータは十分に蓄積されているため、ドラッグリポジショニングの観点からSCCとHCは、SCA36に対する治療候補化合物として有望と考えられる。

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