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大学・研究所にある論文を検索できる 「Analysis of indoxyl sulfate toxicity on skeletal muscles」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Analysis of indoxyl sulfate toxicity on skeletal muscles

東原, 崇明 東京大学 DOI:10.15083/0002007020

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 東原 崇明
本研究は、尿毒症性サルコペニアの原因の一つとして未だ十分に明らかになっていな
い、尿毒素が直接的に骨格筋に負の影響をもたらす機序とその治療法について明らかにす
るため、マウス骨格筋細胞株 C2C12 とマウスに対して代表的な尿毒素:インドキシル硫
酸を投与する系にて、骨格筋に対する影響について解析し、それに対する治療的介入探索
としてβ2 刺激薬を使用して解析を試みたものであり、下記の結果を得ている。
1、まず初めに、動物モデルにおいてインドキシル硫酸の投与により実際にサルコペニア
が誘導されるのかを確認するため、マウスを用いた動物実験プロトコルの選定を行い、
最終的に片腎摘と高用量 (600 mg/kg/day)のインドキシル硫酸の腹腔内投与により筋湿
重量や運動能に変化が起こった。運動能においては、トレッドミルによる持久力テスト
では両群で差が出なかったが、瞬発的な筋力を示す握力テストにおいてはインドキシル
硫酸群で有意な低下を示し、筋重量/体重比においては速筋繊維が主体の腓腹筋において
IS 群で減少の傾向が確認された。腓腹筋における速筋・遅筋繊維のサイズを蛍光免疫染
色により計測したところ、速筋繊維において IS 群における有意な低下の傾向を示し
た。同様に、腓腹筋の蛋白を、速筋・遅筋繊維蛋白抗体にて解析したところ、IS 群で速
筋繊維有意に低下を示した。この実験プロトコルにおいて、結果に影響を与えるような
腎機能障害、貧血や心肥大など明らかな臓器障害は認めなかった。
2、続いて、インドキシル硫酸投与による速筋優位の筋萎縮に関して、蛋白分解と合成の
どちらが寄与しているのかを調べた。マウスの腓腹筋では、インドキシル硫酸投与群に
おいても、ユビキチン・プロテアソーム系の蛋白分解関連遺伝子の発現上昇は認めなか
った。蛋白合成に関しては、ピューロマイシンを用いた SUnSET 法と呼ばれる手法を
用い、Western blot によりピューロマイシンで標識された蛋白がピューロマイシンを投
与されたマウスのみに発現し、インドキシル硫酸群で低下していることが判明した。
3、次に、このインドキシル硫酸による sarcopenic な変化に対して治療薬の探索として、
既存の治療薬の中で、世界アンチドーピング協会の禁止薬リストにヒントを得て、
筋力増強効果があると言われているβ2 刺激薬、clenbuterol に着目した。今回の動物実
験プロトコルにクレンブテロール治療群を加え、筋重量や運動能等の評価を行ったとこ
ろ、インドキシル硫酸投与による相対的な筋重量・体重減少に対して、クレンブテロー

ル治療群は、インドキシル硫酸単独投与群に比べ、有意に体重と腓腹筋の筋湿重量の増
加をもたらした。更に、クレンブテロール投与群においては、インドキシル硫酸による
ミオシン重鎖蛋白発現量の低下に対して改善効果を認めた。しかし、筋量が増加したに
も関わらず、瞬発的筋力である握力の改善効果は認めなかった。
4、続いて、動物実験に平行し、マウス筋芽細胞 C2C12 を用いた細胞実験も行った。分化
した筋管細胞に対するインドキシル硫酸添加により、細胞の長径・短径の縮小が確認さ
れた。また、インドキシル硫酸で惹起されると言われている酸化ストレスに着目し、蛍
光色素 CM-H2DCFDA を用いて評価を行い、分化後の筋管細胞に対してインドキシル
硫酸添加、及び clenbuterol または、抗酸化作用をもつ L-アスコルビン酸の添加をした
ところ、インドキシル硫酸単独で有意に発現が上昇し、アスコルビン酸により有意に抑
制されるだけでなく、興味深いことに、clenbuterol でも抑制が得られた。マウス腓腹筋
の検体において、脂質酸化の指標である 4-HNE 抗体を用いて、酸化ストレスの評価を
行うと、インドキシル硫酸単独で有意に発現が上昇し、clenbuterol 加療群で抑制する傾
向が得られた。
以上、本論文はインドキシル硫酸投与により酸化ストレスの上昇や蛋白合成能の低下を
介して速筋優位のミオシン蛋白減少を認め、瞬発的筋力の低下と併せて、臨床的なサルコ
ペニアを模倣する事を明らかにした。また、それに対してβ2 刺激薬である clenbuterol は
インドキシル硫酸による酸化ストレス上昇を抑制し、筋湿重量、ミオシン重鎖蛋白の上昇
が得られることが判明したが、瞬発的な筋力低下に対しては拮抗作用が得られないことか
ら、筋湿重量とは独立してインドキシル硫酸が筋力に悪影響を与えている可能性が考えら
れた。本研究では、インドキシル硫酸の投与モデルにおいて、初めて速筋優位の筋繊維蛋
白とサイズの低下をもたらし、筋力低下に寄与する事を示した。また、治療的介入の一つ
として、筋量増加の観点ではβ2 刺激薬が有用であることがわかり、尿毒素が骨格筋に負
の影響を与える機序解明において重要な貢献をなすものと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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