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大学・研究所にある論文を検索できる 「Clinicopathologic Analysis of Primary Adrenal Diffuse Large B-Cell Lymphoma : A Reappraisal of 23 Japanese Patients Based on EBV Association and PD-L1 Expression in Tumor Cells」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Clinicopathologic Analysis of Primary Adrenal Diffuse Large B-Cell Lymphoma : A Reappraisal of 23 Japanese Patients Based on EBV Association and PD-L1 Expression in Tumor Cells

河野, 奨 名古屋大学

2022.04.22

概要

【緒言】
副腎原発びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(PA-DLBCL)はびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫のまれな一亜型であるが、予後不良であり再発リスクも高い。

Programmed cell death-ligand 1(PD-L1)は近年注目されている免疫チェックポイント分子で、DLBCL を含む様々な腫瘍においてその発現が検討されており、予後予測に役立つバイオマーカーの 1 つであると考えられている。

Epstein-Barr virus(EBV)は世界中の多くの人に潜伏感染しているウィルスで、高齢者や免疫不全のある人は、EBV の再活性化による EBV 関連リンパ増殖性疾患(LPD)のリスクが高いとされる。

PD-L1 や EBV の発現は中枢神経や消化管の DLBCL では予後の指標となりうることが示されているが、PA-DLBCL においてはいまだ解析がなされていない。本研究においては PA-DLBCL の日本人患者 23 人について、PD-L1 および EBV に焦点を当てた臨床病理学的解析を行った。

【対象および方法】
2005 年から 2020 年にかけて当院および協力機関にて診断された PA-DLBCL 患者 23名について後ろ向き解析を行った。片側または両側の副腎に発生した組織学的に証明された DLBCL であり、他部位にリンパ腫の既往がなく、副腎病変が最も主要な病変であるものを PA-DLBCL とした。

23 例について PD-L1(clone SP142 を使用した)の免疫組織化学染色を行い、また EBVについては EBV-encoded small ribonucleic acids(EBER)に対する in situ hybridization 法を用いて検討した。PD-L1 については陽性率 5%、EBER-ISH については陽性率 80%を閾値とした。CD274 / PD-L1 遺伝子のコピー数の状態を、蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)により検討した。MYC、BCL6、BCL2 の break-apart を FISH により検討した。

EBER+の患者と EBER−の患者の間、または EBER−PD-L1+の患者と EBER−PD-L1−の患者の間で臨床病理学的特徴及び生存期間を比較した。

本研究は、名古屋大学医学部附属病院の倫理委員会により承認を受けた。

【結果】
23 症例のうち男性 17 例、女性 6 例であり、年齢の中央値は 74 歳、範囲は 40〜86歳であった。8 例で腫瘍性疾患の既往があり、2 例では Methotrexate(MTX)関連 LPD の既往があった。この 2 例を含む、9 例(39%)のサンプルで EBER-ISH 陽性を示した。 PD-L1 の発現は、EBER+症例 1 例および EBER−症例 5 例を含む 6 例(26%)で認められた。4 例(17%)が血管内増殖パターンを示し、その 4 例すべてで腫瘍細胞は PD-L1 陽性を示した。それらのうち、3 例では腫瘍細胞のびまん性血管外増殖を伴う血管内増殖パターンを示し、1 例は血管内大細胞型 B 細胞リンパ腫と診断された。

PD-L1 陽性例のうち 5 例を用いて PD-L1 遺伝子増幅の検討を行った。1 例に PD-L1遺伝子増幅が認められ、2 例は陰性、2 例は標本劣化のため検討困難であった。また全 23 症例のうち 21 例で MYC 遺伝子再構成について検討した。1 例で MYC 再構成が認められ、14 例が陰性、6 例は標本劣化のため検討困難であった。この MYC 再構成が認められた 1 例において BCL2 及び BCL6 の遺伝子再構成について検討したところ、 BCL6 遺伝子の再構成が見られたが BCL2 遺伝子の再構成は見られなかった。

23 例中 17 例がリツキシマブを含む多剤併用化学療法を受けており、17 例中 10 例が化学療法単独、10 例が外科手術と化学療法を受けていた。17 例中 14 例が完全寛解 (CR)または部分寛解(PR)となり、2 例が病勢安定(SD)、1 例は病勢進行(PD)となった。放射線治療を受けた症例はなかった。

23 人の患者を EBER+(n = 9、39%)、EBER−PD-L1+(n = 5、22%)、および EBER−PD-L1−(n = 9、39%)の 3 群に分け、臨床病理学的特徴の比較、および生存期間の比較を行った。 EBER−群と比較して、EBER+群は副腎以外の節外病変の発生率が有意に高かった(P = 0.023)。EBER−PD-L1−群と比較して、EBER−PD-L1+群は、両側副腎病変(P = 0.031)、高 Performance Status(P = 0.028)、および血管内腫瘍増殖パターン(P = 0.005)がより高頻度に見られた。3 群間で生存期間を比較すると、全生存期間(OS)に有意に差が見られた(P = 0.034)。EBER+群の予後は最も悪く、EBER−PD-L1−群の予後は最も良好であった。無増悪生存期間(PFS)でも同様の傾向が見られたが、有意ではなかった(P=0.116)。また、リツキシマブを含む化学療法を受けた 3 つの群間の結果を比較したところ、 OS(P <0.001)と PFS(P = 0.002)の両方が群間で有意に異なっていた。EBER+群は、他の 2 つの群と比較して結果が劣っていた一方、EBER−PD-L1+群と EBER−PD-L1−群の生存曲線は重なっていた。

【考察】
日本人集団における PA-DLBCL 患者 23 人を後方視的に分析した。PA-DLBCL の臨床的および病理学的特徴は、先行研究のデータとほぼ一致していた。

本研究では、PA-DLBCL 23 例のうち、6 例(1 例は EBER+、5 例は EBER−)が腫瘍細胞で PD-L1 発現を示した。以前に当研究室では節外 EBV 陰性 DLBCL 患者 108 例中 6例(6%)および IVLBCL 患者 34 例中 12 例(35%)において、腫瘍細胞における PD-L1 陽性像を示し、PD-L1+ 節外 EBV− DLBCL と PD-L1+ IVLBCL のいくつかの重複する特徴を報告している。その結果、これら 2 つの状態が免疫逃避関連節外 DLBCL と呼ばれる 1 つの疾患群と見なすことができることを示唆した。

本研究では、23 例中 9 例(39%)で EBER 陽性が検出された。免疫抑制関連リンパ腫は非常に高頻度に EBV と関連しており、実際、本研究における EBER+ PA-DLBCL 9 例のうち、4 例は関節リウマチによる MTX 治療歴や癌腫の治療歴を有し、医原性免疫不全関連 LPD の側面を示唆した。

本研究では、PA-DLBCL の 23 人の患者が、EBER および PD-L1 の発現に基づいて、 EBER+、EBER−PD-L1+、および EBER–PD-L1–群の 3 つの群に分類された。OS は、患者がリツキシマブを含む化学療法を受けたかどうかに関係なく、EBER−PD-L1−群と比較して EBER+群で有意に悪化した。EBER−PD-L1+群は、他の 2 つの群の中間の予後を示した。リツキシマブを含む化学療法で治療された 17 人の患者のうち、EBER−PD-L1−および EBER−PD-L1+群は OS 曲線にプラトーを示したが、EBER+群は徐々に悪化する臨床経過を示した。EBV+ DLBCL-NOS は一般に、高齢患者の間で進行性リンパ腫として認識されており、EBV の再活性化が予後不良の指標であることを示唆している。さらに、腫瘍細胞における PD-L1 の発現は、DLBCL や成人 T 細胞白血病/リンパ腫などの様々な悪性腫瘍の予後不良と関連していることが報告されている。本研究では、PA-DLBCL 患者の各群の予後は、他のリンパ腫に関する先行研究と一致していた。

本研究では、MYC と BCL6 の両方の遺伝子再構成が陽性であったのは 1 例のみであり、double hit lymphoma と分類された。このカテゴリーの疾患は通常、予後不良であるが、患者は 135 ヶ月の追跡期間で CR のままであった。PA-DLBCL における MYC、 BCL6、および BCL2 の転座は完全には調査されておらず、これらの遺伝子が関与する転座の予後的意義を確立するには、より多数の症例を集積したさらなる研究が必要である。

【結語】
PA-DLBCL23 症例を EBER+、EBER−PD-L1+、および EBER−PD-L1−の 3 群に分けて検討し、それぞれに固有の臨床的、病理学的、および予後の特徴があることを見出した。本結果は、免疫老化、医原性免疫不全、および免疫逃避が PA-DLBCL の発症に寄与することを示唆した。PA-DLBCL の定義はまだ十分に確立されておらず、今回の定義には、免疫不全および免疫逃避に関連するさまざまな種類のリンパ腫が含まれていた可能性があり、より大きなコホートでのさらなる研究が必要である。

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