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大学・研究所にある論文を検索できる 「Multilineage-differentiating stress enduring (Muse) 細胞による自己免疫性心筋炎モデルラットに対する細胞治療効果の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Multilineage-differentiating stress enduring (Muse) 細胞による自己免疫性心筋炎モデルラットに対する細胞治療効果の検討

鷹谷 紘樹 東北大学

2020.03.25

概要

背景:心筋炎は種々の病因により引き起こされる心筋を主座とした炎症性疾患であり,重症化した場合,激しい心筋破壊が生じる.抗炎症薬による治療や免疫抑制療法等の対症療法が試みられているが,未だエビデンスは確立されていない.これまでの間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell: MSC)を用いた研究では,paracrine効果による心機能改善効果が示されているが,心筋再生が得られたとする報告はなく,治療効果も限定的である.Multilineage-differentiating stress enduring (Muse) 細胞はヒト内在性の多能性幹細胞であり,静脈投与により障害組織に遊走し,自発的に組織特異的な細胞へと分化することで組織修復がもたらされることが報告されている.今回,ラット心筋炎モデルに対する Muse 細胞の治療効果を検討し,奏功機序を解明することを目的とした.

方法:ブタ由来ミオシンをラットに皮下注射し自己免疫性心筋炎モデルを作製した.ヒト骨髄由来 MSC を用いて,多能性マーカーである stage-specific embryonic antigen-3 により MSC 中の Muse 細胞を標識し, magnetic-activated cell sorting により Muse 細胞を分離した.心筋炎が最も重症化する心筋炎誘導後 3 週目に,Muse 細胞 200,000 細胞,MSC 200,000 細胞,MSC 3,000,000 細胞(Muse 200,000 細胞と同等の SSEA-3陽性細胞を含む)または vehicle(生理食塩水)を静脈投与した.心筋炎誘導後 3 週目に加えて 4 週目にも Muse 細胞 200,000 細胞ずつ投与する群も設けた.また,投与された Muse 細胞の生体内分布および分化能を評 価 す る 目 的 で Nano-lantern ま た は green fluorescent protein を 導 入 し た Muse 細 胞 を fluorescent-activated cell sorting により分離し,それぞれin vivo imaging system (IVIS) または蛍光免疫染色を行った.いずれにおいても免疫抑制剤は使用しなかった.細胞投与後 2 週目および 8 週目に magnetic resonance imaging による心機能評価を行った.組織学的評価は細胞投与 3 日目にTdT-mediated dUTP nick end labeling (TUNEL) 染色によるアポトーシスを起こした細胞数,2 週目に透明化した心筋炎組織内の血管内容積,および 8 週目にMasson-Trichrome 染色による線維化面積を各群間で比較検討した.

結果:細胞投与後 2 週目において,投与された Muse 細胞は障害組織である心臓へ遊走・生着し,心筋細胞および血管構成細胞への分化した.また,Muse 細胞は心臓のみに集積し,他臓器には認めなかった.左室駆出率は Muse 細胞単回投与群で 73.1±1.9%であり,MSC 200,000 細胞群 (66.7±2.4%, p<0.001) , MSC 3,000,000 細胞群(68.3±2.3%, p<0.01),Vehicle 群 (60.8±2.4%, p<0.001) に比べて有意に高かった.Muse細胞単回投与群は Muse 細胞複数回投与群(73.2±2.0%)と同等の心機能改善効果を認めた.3 日目の組織評価では,Muse 細胞単回投与群でTUNEL 陽性細胞の有意な減少を認めた(TUNEL 陽性細胞数,Muse 細胞単回投与群 1.8±0.4 細胞/mm²; Vehicle 群 7.0±1.6 細胞/mm², p<0.05; MSC 200,000 細胞群 3.6±0.4 細胞/mm2; MSC 3,000,000 細胞群 4.4±0.9 細胞/mm2).2 週目の血管新生評価では,Muse 細胞単回投与群で有意な血管容積の増大を認めた(%血管内容積/心臓組織体積,Muse 細胞単回投与群 7.4±1.2%; Vehicle 群 3.2±0.5%, p<0.05; MSC 200,000 細胞群 5.5±0.3%).8 週目の組織評価では,Muse 細胞単回投与群で線維化面積の有意な減少を認めた(%心臓線維面積/心臓断面積,Muse 単回投与群 6.0±2.0%; Muse 複数回投与群 4.8±3.4%; Vehicle 群 12.1±4.5%, p<0.05; MSC 200,000 細胞群 8.6±2.6%; MSC 3,000,000 細胞群 8.5±4.5%).

結論:心筋炎モデルラットに対する Muse 細胞の静脈投与により,Muse 細胞は障害心筋組織へ遊走し,心筋細胞および血管構成細胞へ自発的に分化した.さらに,Muse 細胞による抗アポトーシス効果,抗線維化作用,血管新生の複合的な効果により MSC を上回る心機能改善効果が得られた.Muse 細胞は非障害臓器への遊走・生着も極めて少ないことなど,安全性の面からも心筋炎に対する細胞治療の細胞源として有望であることが示唆された

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