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書き出し

マウス脳梗塞モデルに対するヒトMuse細胞静脈投与による脾臓での免疫調整効果の検討

加藤, 侑哉 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation

マウス脳梗塞モデルに対するヒト Muse 細胞静脈投与による脾臓での免疫調整効果の検討

東北大学大学院医学系研究科 医科学 専攻
神経・感覚器病態学講座神経外科学
氏名 Name

分野

加藤侑哉

【研究背景と目的】脳卒中は、世界的に年間で 1700 万人と、罹患率が高く身体障害の主要な原因となってい
る。現在、脳梗塞がもたらす不可逆的な脳障害に対しては再開通療法などの超急性期の治療はあるものの、時
間経過した症例に対しては有効な治療法がない。幹細胞治療は、脳梗塞後の神経機能回復のための有望な戦略
の一つとされており、損傷を受けた神経細胞を置換する「細胞置換効果」と周囲の炎症を軽減する「bystander
効果」の二つが提唱されている。脳梗塞後に投与された幹細胞は脳に遊走、生着するものの他に受動的に脾臓
に遊走し、脳梗塞後の免疫を調節することで二次的な脳梗塞後の炎症を軽減することが過去に様々な種類の細
胞で報告されている。これまでにヒト骨髄由来の MSC(mesenchymal stromal cells; 間葉系幹細胞)や MAPC
(multipotent adult progenitor cells; 成体多能幹細胞)を用いた数多くの基礎研究や、臨床研究が行われ
ているが、実臨床においてその有効性を示すことができたものは少ない。Muse 細胞
(multilineage-differentiating stress enduring cells)は、内因性の多能性幹細胞であり、過去に脳梗塞
モデルマウスで免疫抑制の環境下において、
「細胞置換効果」を主体とした機序により脳梗塞後の機能改善に
寄与した。しかしながら、脳梗塞に対する Muse 細胞による治療効果のメカニズムは未だ不明な点が多く、脳
以外での役割を示した報告はない。本研究では、脳梗塞後に Muse 細胞を投与したときの脾臓における免疫学
的な変化について検討した。
【方法】dMCAO(distal middle cerebral artery occlusion; 遠位中大脳動脈閉
塞)の 48 時間後にマウスに Muse 細胞を静脈内投与し、シリンダーテストで運動機能を評価した。免疫抑制剤
は投与しなかった。対照は溶媒のみ(Vehicle)とした。2 週間後に、Muse 細胞の生着と脾臓の細胞変化、サ
イトカイン発現、トランスクリプトームを解析した。さらに dMCAO 2 週間後のマウスの脾臓細胞を dMCAO の
48 時間後のマウスに経静脈的に投与し、in vivo での脾臓細胞の効果を評価した。
【結果】dMCAO 後、Vehicle
群と比較して、Muse 細胞投与群では有意にシリンダーテストにおける非対称性スコアが高く、それは 4~8 週
の間維持された。一方で、脾臓摘出したモデルでは Muse 細胞投与群でも非対称性スコアの上昇を認めず、
Vehicle 群と比較して有意な差を認めなかった。GFP を標識した Muse 細胞投与後、8 週間まで脾臓に Muse 細
胞が生着していた。Muse 細胞投与後の脾臓では脳梗塞後 2 週間時点で認められた好中球の上昇を認めなかっ
た。また、mRNA レベルで炎症性、抗炎症性サイトカインともに発現量が上昇していた。免疫グロブリン産生
とタンパク質折り畳みに関連する遺伝子の発現が上昇していた。dMCAO 後に Muse 細胞を投与した後の脾臓細
胞を dMCAO 後のマウスに投与することで、Muse 細胞を投与していないマウスの脾臓細胞を投与した群と比較
して、投与翌日の非対称性スコアが有意に高値であった。
【考察】中大脳動脈を恒久的に遮断する dMCAO のマ
ウスにおいて、免疫抑制剤を使用することなくヒト由来の Muse 細胞経静脈投与が運動機能の改善に有効であ
ることが示された。また、Muse 細胞の経静脈投与による運動機能改善効果は脾臓依存性であり、このモデル
においては従来報告されていた、脳実質への遊走及び神経系細胞への分化という「細胞置換効果」とは異なる
作用機序が考えられた。
「bystander 効果」の一つとして、脾臓における細胞分画の変化や mRNA レベルでのサ
イトカイン発現量の変化などが一部を担っていると考えられた。また、Muse 細胞そのものだけでなく Muse 細
胞を投与した後の脾臓細胞の投与によって、運動機能の改善を認めたことは、Muse 細胞によって惹起された
免疫応答を担う細胞が運動機能の改善に役立っている可能性を示唆する。
【結論】dMCAO 後のマウスにおいて
経静脈的に投与された Muse 細胞は脾臓に生着し免疫細胞や末梢免疫に関わるサイトカインの発現に影響を及
ぼすことで、脳梗塞後の運動機能を改善させる可能性が示唆された。 ...

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