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大学・研究所にある論文を検索できる 「Learning Fertility Knowledge and Making Informed Reproductive Life Plan」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Learning Fertility Knowledge and Making Informed Reproductive Life Plan

足立, 朋子 大阪大学

2021.03.24

概要

【背景】
 近年、晩産化が進むなか年齢による妊孕性の低下について知識をもった上でリプロダクティブ・ライフプランを立てることが推奨されている。日本では、2015年の少子化社会対策大綱のなかで妊孕性知識の教育に取り組むことが明記され、思春期からの教育が求められている。しかし、教育現場の状況や妊孕性知識を習得する意義は明確ではない。そこで、本研究では妊孕性知識の教育を学校教育へ導入することを目指し、中学校教員の妊孕性知識の現状と不妊治療中の男女の意見を通して、妊孕性知識を習得する意義について検討した。

【研究1】中学校教員の妊孕性知識量と妊孕性教育に対する負担感
目的:
 中学校教員の妊孕性知識量と妊孕性教育の負担感を明らかにする

方法:
 大阪府下の公立中学校6校の教員を対象に自記式無記名質問紙調査を行い、有効回答125部を分析対象とした。妊孕性知識量と妊孕性知識の教育に対する負担感との関連については、「負担あり群」と「負担なし群」に分け、カーディフ妊孕性知識尺度(CFKS-J)の平均正解項目数を対応のないt検定で比較した。

結果:
 CFKS-Jの平均正解率は57.7%であり、国が目標としている正解率70%より低かった。妊孕性教育に対する負担感を感じる教員の正解項目数は、負担感を感じない教員より有意に低かった(8.1±2.6 vs 6.8±3.0, p=0.016)。

【研究2】
 妊孕性知識が不足した状態での意思決定と妊娠の計画時期の遅れに対する後悔目的:妊娠の計画時期が遅れたことに対する後悔と遅れた理由との関連を明らかにする

方法:
 全国の特定治療支援事業の指定医療機関9施設に通院するカップルを対象に自記式無記名質問紙調査を行い、子どものいない男女388名の回答を分析対象とした。妊娠の計画時期が遅れたことに対する後悔は7段階で尋ね、遅れた理由は先行研究をもとに8項目を提示し、各項目が当てはまるかどうか7段階で尋ねた。後悔と理由の関連の分析には重回帰分析を用いた。

結果:
 妊娠の計画時期が遅れた理由のなかで後悔と関連がみられた理由は、女性では「妊孕性知識の不足」( β= 0.232、95% CI=0.075 to 0.318、p=0.002)、男性では「妊孕性知識の不足」(β=0.238、95% CI=0.083 to 0.371、p=0.002)と「健康問題」(β= 0.196; 95% CI=0.039 to 0.332、p=0.013)であった。

【研究3】
 妊娠の計画時期の遅れに対する後悔と人生満足度の関連

目的:
 妊娠の計画時期が遅れたことに対する後悔と人生満足度の関連を明らかにする

方法:
 全国の特定治療支援事業の指定医療機関9施設に通院するカップルを対象に自記式無記名質問紙調査を行い、男女449名の回答を分析対象とした。人生満足度の測定にはSatisfaction With Life Scale (SWLS)を使用し、妊娠を計画する時期の遅れに対する後悔は7段階で尋ねた。後悔と人生満足度との関連の分析には重回帰分析を用いた。

結果:
 女性では、妊娠の計画時期が遅れたことに対する後悔は人生満足度と負の関連があった(β=-0.155、95% CI=- 0.938 to -0.093、p=0.017)。男性では、これらの因子と人生満足度に有意な関連はなかった。

【総括】
 妊孕性知識をもってリプロダクティブ・ライフプランを立てることが、後悔のないリプロダクティブ・ライフ、満足のいく人生につながる可能性が示唆された。学校教育のなかで妊孕性知識を伝えていけるように、医療者と教員が協働する必要がある。