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大学・研究所にある論文を検索できる 「自脱コンバインの燃費性能評価手法」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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自脱コンバインの燃費性能評価手法

山﨑, 裕文 筑波大学

2022.11.16

概要

米生産における光熱動力費は、経営面積の増加に伴って、物財費全体に占める割合を上昇させる傾向にある。物財費の更なる削減のために、農業機械の燃料消費用の低減、すなわち燃費性能の向上は重要な意味を持つ。さらに、内燃機関を動力とする農業機械の燃費性能向上は、近年世界中で取り組まれている温室効果ガスの排出削減にも貢献することができる。しかしながら、農業機械は、自動車と異なり、燃費の目標基準値の設定や燃費性能の表示義務がないのが現状である。しがたって、農業機械においても、異なる型式間での燃費の比較や市販に際しての目標基準値を設定して、エネルギー効率の高い機械の普及を促す必要があると考えられる。主要な農業機械である自脱コンバインにおいては、収穫作業の前後に燃料タンクを満タンにして、燃費を計測する方法が、従来から用いられてきた。しかし、この計測方法では、燃費計測時の土壌条件や作物条件等により、得られる値が変動するため、公正公平に型式間の比較を行うことが難しい。そこで、本論文において著者は、自脱コンバインを対象に、型式間の燃費比較を可能とする燃費性能評価方法の開発を実施した。

 著者は第一章において、自脱コンバインの燃費性能に関連した知見を整理し、本研究で目的とした型式間の燃費性能評価方法の開発に向けて、研究対象とする事象を明らかにした。本研究では、自脱コンバインの作業構成に着目し、燃費を走行、収穫、旋回、排出場所への移動、穀粒排出の5つの燃料消費に分類した。

 著者は第二章において、走行に関する燃料消費量に対して土壌表面硬度が及ぼす影響、及び穀粒タンクの籾重量増加による影響について検討を行った。山中式土壌硬度計による指標硬度(mm)と燃料消費量(L/h)の間には相関があり、指標硬度が23mm程度まで硬くなった時に、コンクリート路面で走行した際の燃料消費量と同等の値を示した。この結果を踏まえて、供試した機械の指標硬度と燃料消費量との関係式を算出することにより、任意の土壌硬度における燃料消費量に補正する方法を開発した。また、穀粒タンクの籾重量の増加に応じて、燃料消費量が増加することも確認され、籾重量が増加することで追加される燃料消費量の値を算出する方法を明らかにした。上記により、走行に関する燃料消費量に対して、土壌表面硬度と籾重量増加による影響を補正・評価する方法を開発した。

 著者は第三章において、作物条件が収穫による燃料消費量(収穫作業を行った際の燃料消費量から走行の燃料消費量を差し引いた値)に及ぼす影響について検討を行った。その結果、収穫による燃料消費量について、乾燥作物流量(kg/s)、籾1g当たりの籾数(1/g)、籾の含水率(%)を説明変数とする重回帰式で表すことができた。つづいて、重回帰式作成に供した型式と、これから燃料消費量を評価したい型式の関係式を求め、任意の作物条件時の燃料消費量を得る方法を考案し、刈取条数や馬力が異なる5型式の自脱コンバインで検証し、その有効性を確認した。その結果、収穫による燃料消費量に対して、試験時の作物条件に拠らず、評価者が定めた任意の作物条件収穫時の燃料消費量を得ることが可能となった。

 著者は第四章において、自脱コンバインの機械要素や収穫する穀物条件と、第二章、第三章で開発した補正方法を考慮した上で、5つの各燃料消費量を容易に合算するアルゴリズムについて検討した。アルゴリズムの作成にあたっては、機種間の比較が公平にできることを主目的として、収穫作業の設定や排出作業位置の検討を行い、Excel-VBAを用いて3000m2収穫時の燃費の合算ソフトウェアを作成した。既に実際の収穫との整合性が確認されている能率シミュレータと比較した結果、ここで作成したソフトウェアとの相対誤差は2.9%と小さく、その有効性が確認された。よって、自脱コンバインの3000m2収穫時の燃費を構成する各燃料消費量を容易に合算することが可能となった。

 以上を総括すると、本論文において著者は、自脱コンバインを対象に、燃費性能評価試験時の土壌条件、作物条件、及び収穫によって増加する穀粒タンクの籾重量が燃料消費量に及ぼす影響について検討を行った。その結果、燃費性能評価者が任意に定めた条件時の値に補正する方法を開発した。さらに、それらの方法、及び収穫によって増加する穀粒タンクの籾重量の影響も加味し、各燃料消費量を型式間の比較が可能な形で合算し、3000m2収穫燃費を算出するソフトウェアを開発したことにより、自脱コンバインにおける異なる型式間での精度の高い燃費性能比較が可能となった。

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