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大学・研究所にある論文を検索できる 「エネルギー機能材料の電子構造と光物性」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

エネルギー機能材料の電子構造と光物性

蜂谷, 寛 京都大学

2023.03

概要

令和 4 年度

京都大学化学研究所 スーパーコンピュータシステム 利用報告書
エネルギー機能材料の電子構造と光物性

Electronic states and optical properties of the functional energy materials
京都大学 大学院エネルギー科学研究科 エネルギー基礎科学専攻
量子エネルギープロセス分野 蜂谷 寛
研究成果概要
チタン酸ストロンチウム(SrTiO3, STO)に電子伝導性を付与した n 型半導体として、
La/Nb ドープ STO (STO:La/ STO:Nb) が知られている。不純物置換による電子ドープは、La
ならば Sr サイトを、Nb ならば Ti サイトを置換することによって起こるとされる。その際、
不純物サイトを囲む Ti イオンがずれ、La ドープの場合には不純物サイトを挟んで対称に起
こるということが実験により確認されている。また、ドープによって立方晶は正方晶とな
り対称性は下がるが、ほぼ立方晶とみても問題ないと言えるレベルの変化であるというこ
とも分かっている。本研究では、この構造解析や光電子分光の結果を再現する電子状態計
算を行うことを目的とし、Quantum ESPRESSO を用いた計算を行った。
交換相関ポテンシャル PBEsol, PAW 擬ポテンシャルを用いた。STO:La に関しては2×2
×2のユニットセルを、
STO:Nb に関しては 3×3×3 のユニットセルをスーパーセルとして、
構造緩和、バンド構造、状態密度、電荷密度分布の計算を行った。DFT+U 法による計算を
行い、無ドープの STO でバンドギャップ値 Eg 格子定数 a のパラメータ U への依存性を調
べたところ、U = 9.0 eV で最も Eg を再現した。
STO:La で正方晶を仮定して構造最適化と格子定数の緩和を行っても a = c の立方晶と
なった。実験値 a = 3.906 Å, c = 3.907 Å に対して、計算値は a = c = 3.958 Å となった。実験
では La を囲む Ti-O-Ti のなす角が、ドープ量によるが、〜170°へと O が La に引きつけられ
るように歪むのに対し、2×2×2 スーパーセルの周期境界条件での計算では 176°へと歪んだ。
これは、Ti が一層を挟んで外側にも力を受けるため、歪みが小さくなったのだと思われる。
電子状態に関しては、ドープによって伝導帯が下がり、フェルミ準位(EF)が無ドープの場
合のバンドギャップ内から伝導帯の中に少しだけ入り込んで、金属的な電子伝導が生じ、X
線光電子分光(XPS)ではいちばんフェルミエネルギー直下に鋭いバンドが観測されること
が明らかになっているが、本計算ではこの状態は La を囲む 8 個の Ti 原子の 3d 軌道から成
ることがわかった。
STO:Nb では、
ユニットセル 3×3×3 で中央の Ti を Nb に置き換えて同様の計算を行った。
置換した単位格子の外側を囲む単位格子は等方的に膨張し、中心の境界の単位格子の原子
はわずかに内側に歪んだ。電子状態の変化は La ドープの場合と比べると小さいことがわか
った。フェルミエネルギー直下に鋭いバンドを形成する状態は、外側の単位格子の Ti 原子
の 3d 軌道およびその O 原子の 2p 軌道との混成状態から成るということがわかった。した
がって、置換原子が伝導面である Ti-O 面内にあるにもかかわらず、n 型半導体としてのキ

- 61 -

ャリア伝導は、置換されていない光子の Ti-O 面のフェルミ面直下の状態でじゅうぶんに起
こりえることが明らかになった。

Sr

Ti

Ti

O

O
Sr

Ti
Sr

0.2

Ti

O

O
La

Ti
Sr

0.3

O

Sr

0.1

Ti
O

Sr

0

図 1 Total and partial density of states for

図 2 2D charge density plots for SrTiO3:La

SrTiO3:La calculated with DFT+U (U = 9.0 eV)

calculated with DFT+U method plotted for

method.

the (110) plane (U = 9.0 eV).

0.3
0.2
0.1
0

図 3 Total and partial density of states for

図 4 2D charge density plots for SrTiO3:Nb

SrTiO3:Nb calculated with DFT+U (U = 9.0 eV)

calculated with DFT+U method plotted for

method.

the (110) plane (U = 9.0 eV).

発表論文(謝辞なし)
[1] B. Zhou, T. Hayashi, K. Hachiya, T. Sagawa, Thin Solid Films, 757, 139389 (2022)
[2] Y. Okazaki, M. Kimura, K. Hachiya, T. Sagawa, J. Mater. Chem. ...

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