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大学・研究所にある論文を検索できる 「Effect of left ventricular assist device implantation on right ventricular function: Assessment based on right ventricular pressure–volume curves」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Effect of left ventricular assist device implantation on right ventricular function: Assessment based on right ventricular pressure–volume curves

金丸 栄樹 横浜市立大学

2021.01.31

概要

【序論】
重症心不全患者に左室補助人工心臓(left ventricular assist device: LVAD)を装着した場合に右心不全を発症すると有意に死亡率が上昇する(Kirklin et al., 2015).LVAD装着前は重度の左心不全のため右心機能の悪さが顕在化していないことも多く,LVADを作動させて初めて重度の右心不全の存在に気づくことも多い.LVAD装着後の右心不全は元々の右心機能の悪さに起因している可能性があるが,一方でLVADを作動させること自体がエネルギー論的に右心機能を低下させるのか否かはまだわかっていない.エネルギー論的右室機能評価のゴールドスタンダードは,圧容量曲線を用いた評価法である(Houston et al., 2017).動物実験において,圧容量曲線を描く最もスタンダードな方法は,コンダクタンスカテーテルを用いた方法である(Wei et al., 2014).しかし,コンダクタンスカテーテルを用いた方法は,侵襲的かつ手間がかかり,さらにコストも高くつくことから臨床の場では使われていない.一方で,臨床において右室容積や右室機能の評価ツールのゴールドスタンダードは心臓MRIであるが術中の評価には使えない(Jenkins et al., 2007).近年3次元心エコー(以下3D心エコー)の技術の進歩に伴い,3D心エコーによる右室容積や右室機能の評価結果は,心臓MRIによるものと非常に良く相関すると報告されている(Jenkins et al., 2007).我々は本研究に先行し,3D経食道心エコーと肺動脈カテーテルを用いて右室圧容量曲線を描くことで,左心疾患に伴う肺高血圧症の有無による右室機能のエネルギー論的相違に関する研究報告を行った(Kanemaru et al., 2020).この先行研究で用いた方法により右室圧容量曲線を描くことで,LVAD植込みの右心機能へのエネルギー論的影響について調査することが本研究の目的である.

【方法】
本研究は仮説探索的研究であり,国立循環器病研究センターにて2016年9月から2018年1月の期間で実施された.本研究期間に新規にLVADを植込むことになった重症心不全患者22人を対象とした.右心機能のエネルギー論的指標として,前負荷や後負荷の影響を受けない収縮能の指標である収縮末期エラスタンス(end-systolic elastance: Ees),右室の受ける動的な後負荷の指標である実効動脈エラスタンス(effective arterial elastance: Ea),右室の仕事効率の指標である右室-肺動脈カップリング(right ventriculo-arterial coupling: Ees/Ea),1心周期に右室の行う仕事量係数(以下RVSWI)),1分間に右室の行う仕事量係数(以下RVMWI)を計測しLVAD装着の前後で比較した.その他にも経食道心エコーと肺動脈カテーテルを用いて計測した右心機能評価項目をLVAD装着の前後で比較した.またLVAD装着前後での右室圧容量曲線の形状の変化を観察した.

【結果】
Ees,EaはLVAD装着後に有意に減少していた.一方で,Ees/EaはLVAD装着後に有意に増加していた.前負荷の指標である平均右房圧や右室拡張末期容積係数はLVAD装着前後で有意な変化を認めなかった.RVSWIはLVAD装着前後で変化しなかったが,LVAD作動に伴う心拍出量の増加に追従してRVMWIは有意に増加していた.また右室脈圧の減少と右室収縮末期容積係数の減少を反映して,右室圧容量曲線の高さは低くなり,底辺は広くなっていた.

【考察】
本研究によりEes/EaはLVAD植込み後に有意に増加しており,右室の仕事効率が改善していることが示唆された.LVAD作動により右室後負荷が低下することで右室収縮末期容積係数は有意に小さくなり,圧容量曲線の底辺は広がり前方拍出は促されることになる.一方で右室収縮能も低下しており前方拍出は抑制されることになる.前方拍出に関して,右室後負荷の低下と右室収縮能の低下は逆の作用を及ぼすことになるが,本研究においてLVAD装着後の右室圧容量曲線の底辺が広くなったことから右室後負荷軽減の効果の方が右室収縮能の低下の効果より大きかったことがわかる.つまりLVAD装着前後でRVSWIに変化はなかったが,右室圧容量曲線はより前方拍出が促されるような形状に変化しており,右室の仕事効率は向上していることが伺える.さらにLVAD作動による全身への心拍出量の増加に追従し,右室は心拍出量を有意に増加させることができており,そのことに一致してRVMWIも有意に増加していた.以上の知見からLVADを作動させること自体が右心機能を悪化させることはないと考えられる.

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